干ばつでも大玉に。北海道の生産者向け新品種「そらたま」を従来品種と比較検証

公開日：2025年10月15日

北海道のタマネギ栽培といえば、大面積で地平線まで続く緑色の畑を想像しますよね。今、その畑に変化が起きていることをご存じですか？初夏から夏にかけて雨が降らず、高温乾燥状態が続いた圃場で、例年よりも早期に倒伏しているタマネギの姿が目に付くようになったのです。しかしそのような状況の中で「まだ葉が立っている！」そんな頼もしい風景を作った品種がありました。その名も「そらたま」。ではなぜ、「そらたま」は過酷な環境でも倒伏を回避できたのか。その秘密に迫ってみたいと思います。

URLをコピー

北海道で進む“タマネギ小玉化”の現実

近年、北海道のタマネギ栽培では「小玉化」が深刻な課題となっています。その原因は、温暖化と気象変動による二重の影響。

・温暖化による早生化
気温上昇により、倒伏期が早まり、肥大期間が短縮。
玉が太る前に葉が倒れてしまうことで、小玉化が起きます。

・干ばつによる水不足
肥大期に水分が足りず、玉が十分に育たない。
これもまた、小玉化の大きな要因です。

この二つが重なることで、収量・品質ともに不安定になり、生産者の悩みは年々深まっています。

名前に込めた思い：「そらたま」が“そらたま”である理由

そんな中で登場したのが「そらたま」。

最後まで肥大を続けるたくましさと形状の安定性。そして加工・生食どちらにも向く品質。新規就農者から大規模生産者までを網羅できる、まさに北海道のタマネギ栽培のこれからを支える期待の品種です。

「そらたま」という名前には、私たちの願いと、生産者の皆さんへのエールが込められています。

品種名の由来のひとつは、その見た目。夜明け前の静けさを破るように、畑に並ぶその姿は、新しい一日の始まりを告げるような力強さを感じさせます。収穫された「そらたま」は、まるで朝焼けの空を映したような、明るい赤銅色。“そら”の名にふさわしい、希望を感じさせる色なのです。

そしてもうひとつは、そのたくましさ。高温でも、干ばつでも、最後まで葉を立たせ、玉を太らせる。まるで空に向かってまっすぐ伸びるようなその姿は、生命力を感じさせます。私たちはこの品種に、「空のように大きく育ってほしい」という願いを込めました。

苦しいとき、思うようにいかないとき、ふと空を見上げて気持ちを立て直す——なんて経験、ありませんか？

「そらたま」は、そうした“空を見上げる瞬間”を支える品種でありたい。それが私たちの願いです。一度聞いたら忘れない、そして一度育てたら忘れられない。そんな存在を目指して、この名前をつけました。

干ばつ年でも玉が育つ！「そらたま」の特長

この品種は、干ばつ年でも妥当な時期まで倒伏が起きないため、肥大期間をしっかり確保でき、小玉化を防ぎます。さらに、根量が多く、水分吸収力が高いのも特長。地中深くの水分をしっかり吸い上げ、乾燥した圃場でも玉が太る力を持っています。

実証データでもその力は明らかで、2023年の美瑛町における試験では、L大サイズ以上の球数率が76％。他社品種が43％だったのに対し、圧倒的な差を見せました。

過酷な環境でも倒伏しない「そらたま」

収益確保のためにも“計画性”を！「そらたま」はこう使える

収益確保の根拠となる「そらたま」の特長は以下の3点にあります。

・しっかりサイズを出しながら、ある程度の貯蔵性も実現
　※2～3月まで貯蔵可能ですが、年内～1月ごろまでに出荷を計画すると、収益性が高まります。
・サイズを見て根切りを行う必要があるが、肥大力があるので、倒伏後にも一伸びする
・真ん丸の形状でカット部分が少なく加工適性が高い

厳しい気象条件の中で、どうやって収益を守るか。それには、ただ作るだけではなく、計画性が必要になってきます。まずは収益につながるサイズをしっかり確保すること。そのために、どこまで玉を太らせることができるのか。そして、加工する場合は、せっかく収穫したタマネギの加工ロスをどれだけ減らせるか、など。こうしたひとつひとつの“小さな計算”の積み重ねが、最終的には、計画的な「収益」を生み出します。

「そらたま」は高温や干ばつといった厳しい条件下でも、L大サイズ以上の歩留まりが高く、加工適性にも優れているので、“収穫した分だけしっかり売り上げにつながる品種”と言えます。
つまり、収益確保のためにも、「そらたま」を選ぶことが、これからの経営の“計画性”につながると言えるのです。

※高温乾燥に強い一方、雨が多い年には注意が必要です。ぐんぐん肥大するので、サイズを見ながら早期の根切り作業が必要となる場合があります。

その他商品も大好評販売中！