種苗会社での経験を生かし、地元・糸島でトルコギキョウを育てる
父の他界をきっかけに糸島へ戻り、28歳で就農した武藤寛和さん。

武藤寛和さん
幼いころから花き農家だった父の背中を見て育ち、小学校の卒業文集には「将来は花き農家になる」と書いていたそうです。高校卒業後は埼玉県の園芸専門学校へ進学し、卒業後は花き種苗会社に就職。8年間にわたり品種管理や商品開発に関する業務に携わりながら、花づくりを多角的に学びました。
父が手がけていたのは、クルクマを中心とした花き栽培。武藤さんはそのハウスを引き継ぎ、トルコギキョウの栽培へと切り替えました。トルコギキョウを選んだ理由は、種苗会社時代に最も深く関わっていた花であり、培った知識と経験を生かせること、そして市場ニーズが高く、安定した需要が見込めたことでした。現在では、その経験が圃場管理や品種選定にも大きく役立っているといいます。

温度や湿度の微妙な変化に気を配りながら、日々花と向き合う武藤さん
就農当初は3棟からのスタートでしたが、毎年1棟ずつハウスを増やし、現在は11棟・約1180坪の規模にまで拡大。環境整備や温度管理の改善を重ねながら、少しずつ理想に近い栽培体制を築いてきました。
トルコギキョウは温度や湿度の変化に敏感で、繊細な管理が求められます。武藤さんは日々の観察を欠かさず、気候や光量に合わせて水やりや換気を調整。品質を安定させ、より長持ちする花を育てるための工夫を続けています。
また、品種の選定は、色味や花の形状、開花スピードなどを総合的に考慮。市場の動向を見極めながら、圃場の規模や作業体制に合わせた品種を組み合わせているそうです。「育てやすい品種を8割、挑戦的な品種を2割の割合で栽培しています」と武藤さん。安定した生産と新しい試みによる品質向上の両立を見据え、日々花づくりに向き合っています。
Q.就農にあたって、「JA糸島」からはどんなサポートを受けましたか?

Q.糸島という土地で花を育てる魅力はどんなところにありますか?

小規模でも利益を上げやすい!花き栽培の大きな魅力
現在、武藤さんは「JA糸島花卉部会 トルコギキョウ研究会」の会長を務めています。研究会では、秋に開催される福岡県の品評会に向けて、メンバー同士で圃場を見学し合いながら栽培方法や出荷時期の調整を共有。どうすればより良い花を咲かせるために意見を交わし、技術の底上げを図っています。
「糸島は花き栽培の歴史が古く、経験豊富な生産者が多い地域です。互いに意見を交わしながら高め合える環境があることが強みですね」と武藤さん。生産者同士のつながりが強く、営農技術や農業経営のスキルを学び合えるのも、この地域ならではの魅力です。

日々の管理が品質を左右するため、花の状態を一株ずつ確認。繊細な作業の積み重ねが、美しく咲く花を育てます
また、糸島地域は日本海側に位置し、秋口にかけて気温が下がるのが早いため、需要期となる10月・11月に出荷できるのも大きな強み。供給が少ない時期に良質な花を届けられることで、市場からの信頼も厚くなっています。
「花きは小規模でも利益を上げやすく、やった分だけ結果が見えるのが魅力です」と武藤さん。努力が成果に直結する手応えが、日々の励みになっているといいます。繁忙期は休みが取りにくい一方で、出荷のない夏場は家族と過ごす時間を確保できるなど、自分のペースで働ける点も農業の魅力です。

今後は、これまでに培った経験を生かしながら、地域全体の技術向上に貢献していくことをめざしています。研究会などの活動を通じて学びの場を広げ、次世代の生産者が安心して花づくりに取り組める環境づくりにも力を注いでいます。
糸島の風土に根ざした花づくりを、次の世代へとつないでいく。その思いが、これからの福岡の花き栽培をさらに豊かにしていきます。
Q.花き栽培の楽しさややりがいは、どんなところにありますか?

Q.新規就農をめざす人に向けてアドバイスをお願いします

花き栽培が盛んな糸島で、2026年度より新規就農研修が本格始動!
福岡県では、新規就農者の確保と育成に力を入れており、国や県、市町村、JAが連携した支援体制が整っています。なかでも糸島地域は、温暖な気候と豊かな自然環境に恵まれ、野菜や果樹に加え、花きの生産も盛んな地域です。一般的には野菜の産地として知られていますが、実は花の生産者が多く、長い年月をかけて多様な花づくりが根づいてきました。
武藤さんのインタビューの後、「JA糸島」で花きの営農指導員として新規就農支援もサポートしている森本智憲さんにも研修制度や今後の展望についてお話を伺いました。

新規就農者の研修受け入れを控え、意見を交わす武藤さん(右)と「JA糸島」の森本さん(左)。地域全体で次世代の花づくりを支える体制づくりが進んでいます
「糸島は特定の品目を大量に生産する産地ではなく、さまざまな花を育てているのが特徴です。多様な花があるからこそ選択肢が広く、自分に合った栽培スタイルを見つけやすい」と森本さん。花きは収益性が高く、小規模でも生計を立てやすい作物。高齢化により離農する生産者が増える中で、新たに花づくりに挑戦する人が加わることが、糸島の花き栽培に新しい風を吹き込むはずです。
「JA糸島」では、イチゴやアスパラガスに続き、2026年度から花き分野の研修受け入れを本格的に開始します。花き生産の歴史が古い地域であることから、栽培技術が高い先輩農家が多く、必要な営農技術や経営スキルを学びやすいのが特徴です。研修は1年間のプログラムで、苗づくりから出荷調整までを実践的に学ぶ内容。独立後も花卉部会との連携により、資材調達や販路拡大の相談など、継続的なサポートを受けられる環境が整っています。
就農や花き栽培に興味のある方は、ぜひ気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

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JAグループ福岡新規就農相談窓口一覧
| JA名 | 相談窓口部署 | 住所 | 電話番号 |
| むなかた | 営農振興部 営農企画課 |
宗像市東郷4-2-7 | 0940-36-2374 | 粕屋 | 営農経済部 営農企画課 |
糟屋郡粕屋町大字大隈1229 | 092-938-2544 |
福岡市東部 | 営農経済部 営農生活課 |
福岡市東区筥松2-19-16 | 092-621-4696 |
福岡市 | 指導部 農業振興課 |
福岡市中央区天神4-9-1 | 092-711-2063 |
糸島 | 営農部 営農企画課 |
糸島市志摩小富士14-34 | 092-327-2737 |
筑紫 | 営農生活部 農業振興課 |
筑紫野市杉塚3-3-10 | 092-924-1313 |
筑前あさくら | 営農部 営農支援課 |
朝倉市甘木221-1 | 0946-23-8059 |
にじ | 営農企画部 担い手支援課 |
うきは市吉井町350-1 | 0943-75-4200 |
みい | 営農部 営農企画課 |
久留米市北野町今山856 | 0942-78-3037 |
くるめ | 営農事業部 農業振興課 |
久留米市篠原町4-7 | 0942-35-9901 |
みづま | 営農経済部 農産課・特産課 |
久留米市三潴町田川211 | 0942-64-2213 |
福岡大城 | 営農経済部 営農企画課 |
三潴郡大木町大字八町牟田330 | 0944-32-1316 |
ふくおか八女 | 営農指導部 農業振興課 |
八女市本村422 | 0943-23-1378 |
柳川 | 営農部 営農企画課 |
柳川市大和町栄360-2 | 0944-76-5155 |
みなみ筑後 | あぐり支援室 | みやま市高田町田尻1567 ふれあいプラザ高田東部内 | 0944-32-8020 |
北九 | 営農部 営農課 |
北九州市八幡西区金剛2-3-3 | 093-619-2368 |
直鞍 | 営農生活課 | 宮若市本城556-1 | 0949-32-3755 |
ふくおか嘉穂 | 営農部 農業振興企画課 |
飯塚市小正306-5 | 0948-24-7206 |
たがわ | 営農部 営農企画課 |
田川市大字伊田3550 | 0947-44-3380 |
福岡京築 | 営農部 営農企画課 |
行橋市中央1-2-3 | 0930-24-2961 |
※サポート内容はJAによって異なります。
















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