ブドウの黒とう病とは
ブドウの黒とう病は、ブドウ栽培でよく知られる代表的な病気のひとつです。葉・新梢・果実などブドウの緑色の部分全般に発生し、雨や湿気といった環境条件が重なる時期に症状を広げます。原因は糸状菌(カビ)の一種で、ブドウの品質低下や収量減につながることがあるため、早期の発見と対策が大切です。
黒とう病の基本情報
黒とう病は主に葉・果実・新梢・巻きひげなどに発生します。葉では褐色〜黒褐色の小さな斑点が徐々に大きくなり、中心部が灰白色になることがあります。果実では径2〜5ミリ程度の病斑が形成され、症状が進むと果実の肥大不良や品質低下が生じることが確認されています。
黒とう病は日本国内でも広く発生が報告されており、欧州系ブドウでは罹病性(りびょうせい)が高い品種もあるため、生食用・ワイン用を問わず注意が必要です。
発生しやすい時期
黒とう病は春~梅雨にかけて発生しやすいとされています。越冬した菌糸から胞子が形成され、4~5月頃の降雨によって雨粒などで飛散し、葉や幼果、新梢に伝染します。
特に連続した降雨や湿った環境が続く時期には感染が起きやすく、梅雨の時期は発生が増えると報告されています。
症状の特徴
黒とう病は、葉・新梢・果実など、ブドウのさまざまな部位に症状が現れます。初期の小さな斑点を見逃さないことが、その後の広がりを防ぐポイントになります。
葉の症状

葉では、円形の褐色〜黒褐色の小さな斑点が現れます。斑点は次第に大きくなり、中心部が灰白色になって周囲が黒褐色に縁取られるのが特徴です。
発病が進むと斑点の数が増え、葉が変形したり、早期に落葉したりすることもあります。特に若い葉は感染しやすく注意が必要です。
果実の症状

果実では、最初は小さな黒い斑点として現れます。やがて病斑が広がり、果実が硬く縮んで黒くなることがあります。このようになってしまった果実は、翌年の感染源になるため、見つけ次第取り除くことが大切です。
新梢・枝の症状

新梢や葉柄、巻きひげなどにも黒褐色の病斑が現れることがあります。枝にできた病斑は、翌年の発生源となる可能性があるため、剪定時の確認と除去が重要です。
発生しやすい条件
黒とう病は、病原菌が存在するだけではすぐに広がるわけではありません。気温や降雨、栽培環境などの条件が重なったときに感染が進みやすくなります。ここでは、発生リスクを高める代表的な要因を見ていきましょう。
気象条件との関係
黒とう病は雨と湿度の影響を強く受ける病気です。越冬した病斑から形成された胞子が雨によって飛散し、葉や果実に感染します。特に春から梅雨期にかけて、雨が続くと発生が増えやすくなります。
気温は春から梅雨にかけてくらいの温暖な条件で感染が進みやすいとされています。極端な高温や低温では活動は鈍るとされています。また、葉や果実が長時間ぬれた状態になることが感染の引き金になります。
栽培環境との関係
黒とう病は、風通しが悪く湿気がこもりやすい環境で発生しやすくなります。枝葉が込み合っていると葉面が乾きにくく、病原菌の侵入が起こりやすくなります。剪定(せんてい)や摘房(てきぼう)によって風通しを確保することが予防につながります。
棚栽培と露地栽培では、雨の当たり方が異なります。雨よけ施設のある棚栽培では発生が抑えられる傾向がありますが、露地栽培では降雨の影響を直接受けるため、梅雨期の防除が特に重要になります。
さらに気をつけたいのが、病原菌の潜む残渣(ざんさ)です。病気になった果実や病斑の残った枝葉は病原菌の越冬先になり、翌春の感染源になります。落葉や剪定枝をそのまま圃場(ほじょう)に残すと、発生リスクが高まります。
防除方法
黒とう病は、発生してから治すというよりも、予防を中心に組み立てる病害です。病原菌の越冬源を減らし、感染しやすい時期に薬剤で守ることが基本になります。
発病部位の処理
発病した葉や果実は、早めに取り除きます。特に黒くなった果実や病斑のある枝は翌年の感染源になるため、圃場外で処分するようにしましょう。
使うことができる農薬
黒とう病は予防散布が基本です。とくに展葉期から開花前後は重点防除時期とされています。
国内でブドウの黒とう病で登録例のある代表的な薬剤には、次のようなものがあります。
症状が出てからでは抑えきれない場合もあるため、発生初期よりも前の段階で守ることが重要です。
なお、ここで提示した農薬はあくまで一例です。実際には専門家のアドバイスも受けながら、さまざまな農薬をローテーションして使用しましょう。
予防と栽培管理のポイント
黒とう病は、薬剤だけに頼るのではなく、日頃の栽培管理で発生しにくい環境をつくることが重要です。国内の各県防除指針でも、「感染源を減らす」「葉を早く乾かす」ことが基本とされています。ここでは、実践しやすい予防管理のポイントを整理していきます。
剪定と風通しの確保
黒とう病は、葉や果実が長時間ぬれた状態になると感染が進みやすい病気です。そのため、枝葉が込み合わないように剪定し、風通しを確保することが重要です。
剪定で不要な枝を整理することはもちろん、生育期にも込み合った新梢や副梢を適度に間引くことで、葉面が乾きやすくなります。
雨よけ栽培の効果
黒とう病は雨によって胞子が飛散します。そのため、雨よけ栽培は発生抑制に高い効果があるとされています。実際に露地栽培に比べて雨よけ栽培では発病が少ない傾向にあることがわかっています。葉や果実が直接雨に当たらないことで、感染リスクが大きく減るためです。
家庭菜園でも簡易的なビニール屋根や軒下栽培などで、雨を避ける工夫をするだけでも予防効果が期待できます。
越冬病原菌を減らす管理
黒とう病菌は、罹病した葉や果実、枝などで越冬し、翌春の感染源になります。
そのため、前年の残渣を圃場に残さないことが非常に重要です。
落葉はできるだけ回収し、病斑のある果実はすべて取り除きましょう。
また剪定した枝は圃場の外へ持ち出して処分することを心がけることが大切です。
まとめ
ブドウの黒とう病は糸状菌によって引き起こされる病害で、春から梅雨期にかけての雨や湿度が高い時期に発生しやすくなります。葉や果実、新梢に褐色の病斑が現れ、進行すると果実の肥大が止まるなど品質や収量に影響を及ぼします。
防除の基本は、発病部位を早めに取り除き、ほ場外で処分すること、そして成長段階ごとに農薬の予防散布を行うことです。また、剪定による風通しの確保や雨よけ栽培、落葉や剪定枝の適切な処理など、日頃の管理が発生リスクの低減につながります。
黒とう病は発生してから対処するよりも、発生させない環境を整えることが重要な病気です。気象条件を意識しながら、栽培管理と防除を組み合わせて安定した樹づくりを目指しましょう。







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