「自家製ウルフピー」と「悪魔の誘引剤」とは?

自家製ウルフピーとは、ハイイロオオカミの尿で作られた忌避剤の「ウルフピー®」を、日本犬の尿で代用したもの。
筆者宅の甲斐犬たちが代わる代わるおしっこをかけた棒を畑に立てて検証したところ、なんとその棒に囲まれた梅の木には、3週間イノシシが寄り付きませんでした。
もう一つ、「悪魔の誘引剤」とは、警戒心の強いイノシシが食いつく誘引剤を14種類から検証したもの。米ぬか、酒粕、砂糖、煮干しが特に人気で、米ぬかに酒粕や砂糖を混ぜると最初の食いつき速度や常習性が向上しました。
この2つを使って、野生動物の通り道を誘導し、畑を荒らすイノシシを捕獲できるのか検証してみます。
捕獲場所は自家製ウルフピーを検証した梅畑

イノシシ捕獲の舞台となるのは、自家製ウルフピーの検証をさせてもらった梅畑です。写真を見るとわかるように、背後に山が迫り、いろいろな野生動物が梅畑に来ています。
特にイノシシの被害は深刻で、梅畑を掘り起こしたり土手を崩したりと、持ち主さんも困っているそう。ところが、この場所はなかなか捕獲ができない難易度の高い立地なのです。
けもの道が多く、絞り切れないのが問題

赤い線はすべてけもの道。ここは特に多いが、山と梅畑が接する土手の長さは写真の10倍ほどはあり、少なく見積もっても10本以上のルートができている
その理由は、けもの道の多さと山と畑が接する面積の広さ。どこからでも侵入できてしまうため、わなを掛ける場所を絞り込むのが難しいのです。
しかも、この山に棲むイノシシたちは狡猾で、わなを掛けるとそのけもの道をピタリと通らなくなります。畑に残された足跡を見ても、かなり大きい個体が混ざっているため、百戦錬磨の知恵者がいるのでしょう。
以前、先輩猟師のYさんが一頭イノシシを捕獲したそうですが、それ以来まったく掛からなくなったのだとか。ただ、一度掛かると暫くは来なくなったそうなので、若い個体でも捕まえられれば再びイノシシたちの脚を遠ざけることはできそうです。
作戦1.甲斐犬の尿を沁み込ませた板でけもの道を封鎖

今回も協力してくれた先輩猟師のYさん。あちこちから捕獲を頼まれて有害駆除をしているベテラン
さっそく、けもの道を絞り込むために自家製ウルフピーを配置します。検証の時は棒に甲斐犬の尿を沁み込ませて梅の木の周りに立てましたが、今回はけもの道を塞ぐため、尿を沁み込ませた板を用意しました。

山側から梅畑へ続くけもの道の一つ。気配の濃い道だったが、板を置いた後はまったく使われなくなった
自家製ウルフピーを設置していないけもの道にわなを掛ける

けもの道の手前とはいえ、土手の上は広場になっていてどこを通るかはイノシシ次第。難易度の高い場所だ
けもの道をいくつか封鎖したところで、封鎖していないけもの道の近くにくくりわなを仕掛けます。梅畑は二段になっており、どちらにも山から下りてくるけもの道が複数ありますが、とりあえず低い段(梅畑B)に続くけもの道を封鎖し、高い段(梅畑A)へ続くけもの道の手前にYさんがわなを掛けました。

山により近い場所に新たにできていたけもの道。赤い丸の辺りにもくくりわなが仕掛けられている
余談ですが、筆者はこの時、まだ有害鳥獣捕獲の許可証が届いていませんでした。いろいろな手違いが重なったそうで、申請から実に3カ月も待たされていたのです。
このため、自ら掛けることができず、Yさんにお願いすることになったのでした。さらに、誘引剤の検証もこの時はしていなかったので、まずは自家製ウルフピーのみからスタートです。
自家製ウルフピーとわなで侵入は減ったものの……
しかし、ここから約2カ月、まったく動きはありませんでした。
まず、わなを掛けた途端に頻繁だったイノシシたちの侵入がグッと減りました。これは想定内ではあるものの、寄り付かなくなっては捕獲ができません。けもの道に犬の匂いがする板も置いてあるので、余計に警戒心を煽ってしまったかもしれません。
暫くすると、また畑に侵入をし始めた形跡があるものの、わなのあるけもの道は通らない。そのくせ、わなの近くに糞が落ちていたりして、完全に馬鹿にされているのでした。
作戦2.自家製ウルフピーを増やして悪魔の誘引剤も導入

梅畑に面した土手を登るとお狐様を祀った平地があり、その先が山へ続いている。黄土色の道がけもの道で、図のように自家製ウルフピーボード(茶色い四角)とくくりわな(赤い五角形)、誘引剤(黄色の粒)を配置した
Yさんがわなを掛けてから2カ月後、ようやく筆者にも許可証が降りました。許可証待ちの間に行っていた誘引剤の検証も終えたので、悪魔の誘引剤を引っ提げて参戦です。
上の図は、今回の地形と自家製ウルフピーボード、くくりわな、誘引剤の位置。くくりわなAとBはYさんが最初に掛けたものです。筆者はCとDにわなを掛け、くくりわなへ続くけもの道以外は自家製ウルフピーボードで封鎖しました。

改めて山の斜面まで歩き回り、自家製ウルフピーボードを8枚追加。数日後に見に行くと、板の手前を掘った跡があるものの、その先へ進んでいないため効果はあるようだ
くくりわなの前後に特製誘引剤を配置

米ぬかに、栗の甘露煮の煮汁と小魚ナッツを混ぜた特製誘引剤
今回使った誘引剤は、栗の甘露煮の煮汁を米ぬかに混ぜ、小魚ナッツを加えたもの。検証では砂糖や煮干しが人気があったので、いわばその上位互換です。いくらタケノコシーズンで飢えていないとしても、飛びつかずにはいられないはず?
誘引剤導入から一週間、待ちに待った一報が!

梅畑へ降りるけもの道の手前にYさんが掛けたわなに、見事にイノシシが掛かった
誘引剤を撒き、自家製ウルフピーボードを増やした日からちょうど一週間。Yさんから打ち上げ花火のスタンプが届きました。続いて、「梅畑、掛かりました!」のメッセージが!
急いで向かうと、梅畑へ降りる手前のくくりわなに、35kg程度のイノシシが掛かっています。
このわなの延長線上に置いた誘引剤がしっかり食べられており、わなの近くに撒いたものもなくなっていたため、狙い通り山から下りて来たのでしょう。
掛かっていたのはまだ若いイノシシです。本当に警戒心の強い老獪なイノシシはまだ山の中にいるはずですが……これでまた暫くは来ないはず!

誘引剤が食べられた跡。3カ所に置いていたが、すべて食べられていた。最後にわなの近くにあった誘引剤を食べに行ってお縄になったようだ
まとめ
今回はけもの道が多かったことや、土手の上が広場になっていてわなを掛ける場所が限定しにくかったこともあり、自家製ウルフピーだけではなかなか効果が上がりませんでした。
誘引剤を使用して一週間でわなに掛かったので、やはり「封鎖しておびき寄せる」合わせ技が効果的なようです。ただ、誘引剤はみだりに使うと獣を呼び寄せてしまうため、使用する場合は周囲への影響も考慮した上で行いたいもの。そのうえでうまく使えば、効率的な捕獲ができそうです。









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