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コメ農家に聞いた「この2年で何買った?」総額6000万円超の設備投資リアル事情

コメ農家に聞いた「この2年で何買った?」総額6000万円超の設備投資リアル事情

コメ農家の皆さん、「令和の米騒動」をきっかけに設備投資を行いましたか?不安定な米価や設備・燃料費の高騰、さらには農地集約による構造転換など、経営判断が難しさを増すなか、農家はどのように投資を進めているのでしょうか。
石川県金沢市で55haの農地を営む農事組合法人五坊商店の協力を得て、その実態をご紹介します!

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冬の時代と米騒動 翻弄されるコメ農家

金沢市で江戸時代からコメを作り続けてきた五坊商店。代表理事の五坊隆一(ごぼう・りゅういち)さんを含む3人の他、繁忙期には先代である父親も手伝っています。生産したコメのおよそ8割は地元JAへ出荷。他は卸業者、一般消費者へと販売しています。
また五坊商店の特徴は、事務所に備えられた加工設備や作業場で米麹や味噌も手掛けていることです。特別な宣伝はしていないものの「こうじ味噌」を家族3代にわたって買い続ける客も居るといいます。
近年は離農する農家から譲り受けたことにより、農地が30haから55haとほぼ倍に。五坊さんは現在47歳で、周辺に拡大の余地もあるため、目先では80haの管理を視野に入れています。
「これまでには米価が低く収量も少なく厳しい“冬”の時期もありました。利益も少なく、投資まで手が回りにくい状態でした。その頃は、パート雇用の期間を短くして自分の労働力でカバーするなどして乗り切っていましたね」

設備投資への考え方と実態例

直近2年間で地域トップクラスの設備投資

五坊商店では基本的に、更新時期が分かっている設備については農業近代化資金によって、長期借入を行っています。
そんな中で起こったのが「令和の米騒動」でした。米価の高騰により投資余力が生まれた一方で、五坊さんは慎重に考えていたと話します。「『あれもこれも買う』というわけにはいきません。上がるときもあれば、また下がるときも来ますし」。
とは言いつつも、この3年では地域でもトップクラスに投資を掛けたのではと振り返ります。
以下は、五坊商店の直近2年間の投資設備の一覧です。

【令和6~7年度の実績(一部・概算)】

乗用コンバイン R6 1,370万円
田植機     R6 440万円
トラクター   R7 400万円
トラクター・ハロー一式 R7 1,250万円
軽自動車        R7 230万円
土地(取得・整地)   R7 520万円
ハウス(2棟)     R7 640万円
ボイラー        R7 140万円
穀物乾燥機       R7 360万円
5,350万円

「コンバインや田植え機などはだいたい7年更新くらいで考えています。うちは面積も広めなので傷みが早いのですが、直しながら使って『7年で元が取れるかな』という感覚です。去年は修繕費だけで930万円かかりました。故障すると作業が遅延するので迷っている暇はありません。痛い出費ですが、仕方ありませんでした」
管理面積が増えるにあたって、1台ずつでは回らなくなる機械もあったため、現在はコンバイン2台。今後も設備投資が増える可能性があるといいます。

来年度に3000万規模の投資を見込む

更に、来年度の設備投資は、現時点で3,600万円超を見込んでいます。

【令和8年度の予定(概算)】

乾燥調製施設、貯蔵タンク 620万円
自動販売機 100万円
コンバイン、田植え機 2,500万円
色彩選別機 300万円
トラクター(ハロー含む) 120万円
3,640万円

来年度はこれまでよりも大きな投資を予定していますが、その背景には現在の資材高騰や供給量不足といった事情もあるといいます。
「周囲の人から『コンバインとかは今から言っておかないと入らない(納品しない)よ』と聞きました。そこで先を見据えて発注をしたという状態です。昨今は燃料代についても上下が大きく、怖いですよね。設備投資についてはJAの職員や父など、いろいろな人に聞きますよ。それを総合的に捉えた上で、最後は自分で判断します」
国からの補助金は耕地面積や賃上げなどの要件や、公募期間などがあり、周囲から情報収集をしているといいます。

味噌販売の店番の負担を軽減すべく、味噌の自動販売機も購入した

経営方針と設備投資

一方で五坊さんが今後、力を入れたいというのが、こうじ味噌の販売です。
売り上げだけで見れば、味噌は全体の30分の1程度。しかし、五坊商店にとっては重要だと五坊さんは考えています。
というのも味噌の仕込みが農閑期である冬場に当たるため、通年にわたって仕事がある状態を作れるメリットがあります。また、こうじ味噌は五坊さんの曾祖父の代から作り続けている大切な商品。他の農家との差別化という観点からも重要だと捉えています。
そのため設備投資も怠りません。自動販売機の用途は「こうじ味噌」の販売です。
「現在はダイズの生産はしていませんが、いずれは自社生産して、全てを自社一貫体制で行いたいですね。その上で販路も増やしていきたい。ただ、あくまで目の届く範囲で、堅実にやっていきたいと思っています」

将来的には100haまで拡大していくことも見据えている五坊さん。
「経営に苦しむ農家は増えていると感じます。頑張っていて、続ける意志があっても、やめざるを得ないような様子を見ると心が痛みます。頑張っている人が報われる社会になってくれればいいですよね」
五坊さんは地域では一番若いため、農地が集まりやすくなっています。その分、急な設備投資も必要になります。この構図は一地域の特殊事例ではなく、全国的にも同様の流れがあると考えられます。より計画的な経営が求められる時代になってきたのではないでしょうか。

(編集協力:三坂輝プロダクション)

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