猟友会とはどんな組織? 役割と仕組みをシンプルに解説

猟友会は、狩猟免許を持つ人たちによって構成される狩猟団体です。狩猟のみならず、国や自治体とも連携して野生動物の保護と管理を担ったり、人々の生活や農林水産業の健全な発展に貢献するなど、その活動は多岐に渡ります。
こう聞くとハードルが高そうに感じるかもしれませんが、関わり方は人それぞれ。今回は「狩猟」にフォーカスして猟友会の実態に迫ります。
85年以上の歴史を誇る、ハンターの全国組織
猟友会は、1929(昭和4)年に設立され、1939(昭和14)年に社団法人化した歴史と伝統ある狩猟組織。猟友会以外にも狩猟団体はありますが、全国組織なのは猟友会だけです。
各都道府県には必ず「県猟友会」があり、その下に「支部(地区)猟友会」があります。それらを束ねているのが「大日本猟友会」。
入会時は自分が住んでいる地域の支部や地区猟友会に入るのが基本ですが、入会すると自動的に所属する都道府県の猟友会と大日本猟友会の会員にもなります。
主な活動は事故防止の啓発、鳥獣保護管理、狩猟の担い手の育成
猟友会の活動は冒頭でも書いたように多岐に渡るのですが、一狩猟者として特に恩恵を受ける活動は、「狩猟マナーの向上」や「事故防止の啓発」、「ハンターの育成」、「鳥獣の保護と管理」などです。
県や支部によってばらつきはあると思うのですが、筆者が所属している千葉県の猟友会では狩猟関連の講習会が定期的にあり、その中で狩猟マナーや事故の情報などが共有されます。
また、ハンター育成や会員同士の交流の場として猟友会主催の射撃大会も開催されていますし、市の要請による野生鳥獣の捕獲や追い払いといった、鳥獣の管理(数が増えすぎているものを捕獲すること。有害鳥獣捕獲もこれにあたる)も行っています。
【重要】任意団体であり、入会は「強制」ではない
覚えておきたいのが、猟友会は任意団体であること。狩猟をするからといって、必ず入らなくてはいけないものではありません。
例えば、ハンターや銃砲店に知り合いがいて、初心者であってもいろいろ聞くことができるのなら無理に入らなくても大丈夫です。ただ、教えてくれる人がまったくいない場合は、狩猟ルールやマナーを覚えたり、安全に狩猟に慣れていったりするためにも入ることをおすすめします。
猟友会の入会費用や条件

黄色いマーカーは実際に筆者が初めて猟友会に入会し、狩猟登録をしたときの費用一覧。第一種銃猟で狩猟税が高いのと、5カ所に会費を納入するため結構な出費になった
猟友会に入るには、どのくらいお金がかかる?
猟友会に入るために必要な費用は、条件によってかなり変わります。
必ずかかるのは「大日本猟友会」「都道府県猟友会」「地区(支部)」への会費で、それぞれ約5,000円。所属するのが地区や支部であっても、同時に都道府県猟友会、大日本猟友会の会員にもなるため、「最低」3カ所に支払う会費が必要です。
なぜ「最低」かというと、地域によっては「郡猟友会」「地区」と「支部」の両方など、団体が細分化されているからです。上の写真を見ると分かるように、筆者の地域では「大日本猟友会」「県猟」「郡猟」「地区」「支部」と、5カ所に会費を納入しています。
このほか、狩猟登録を同時にしたので狩猟税(第一種銃猟免許)16,200円、登録料1,800円、ハンター保険6,230円(地区や支部により、大日本猟友会会員付帯の共済とは別で保険に入ることがある)など、トータルで46,000円かかりました。
入会条件は狩猟免許を所持していること
猟友会に入会する条件は「狩猟免許を所持していること」だけです。わな猟免許や網猟免許でもOKで、その場合は銃に比べて入会費も安く済みます。
猟友会に入る「5つの大きなメリット」
猟友会に入るメリットはいろいろありますが、多くの人が実感できるメリットといえば以下の5つだと思います。順番に見ていきましょう。
1. 面倒な狩猟者登録手続きを「丸投げ」できる
猟期前の狩猟者登録は、慣れないうちはちょっと面倒。また、猟期が終わると狩猟者登録証や野生動物調査票などを県へ返却・提出しなくてはいけないのですが、そうした手続きもすべて猟友会が代行してくれます。
2. ハンター保険(狩猟事故賠償責任保険)へ加入できる
狩猟者登録の時に必要な書類に、「3,000万円以上の賠償能力を証明する書類」というものがあります。資産が3,000万円以上ある人はいいのですが、ほとんどの人はハンター用の保険に加入することになります。
大日本猟友会の会費4800円(2026年4月現在)には、4,000万円の損害補償がある共済掛金が含まれているため、入会するだけでこの条件をクリアできます。
3.猟場や不文律などの情報が入る
実際に狩猟を始めると、「わなを掛けたいけど、この土地の持ち主は誰?」「獲れた獲物の解体はどこでしたらいいの?」といった問題に行きあたります。
こうしたことは、先輩猟師たちに聞くのが一番。地主さんを紹介してくれたり、個人で使っている解体場(田舎ではみんな自宅で解体スペースを持っていることが多いみたいです)を貸してくれたりと、個人では解決に何カ月もかかりそうな狩猟の壁が即突破できます。
他にも、例えば「あそこのエリアは●●さんがわなを掛けているから、事前に声を掛けよう」など、トラブルを未然に防ぐための情報も手に入ります。
4.凄腕ハンターとのコネクションができる

自分で試行錯誤するのも楽しいですが、やはり上手な人に聞くと上達も早いもの。射撃練習に参加したり、猟友会の懇親会に参加したりする中で、凄腕ハンターたちと仲良くなれることもあります。
また、猟友会にはいろいろな狩猟スタイルの人がいるので、自分が目指す方向に近い人と知り合える可能性も大。お近付きになって狩猟やわなの見回りに同行させてもらえれば、グンと知識が増えるはずです。
5. 有害鳥獣捕獲従事者になれる
地域によって異なりますが、農林業への被害を及ぼす「有害鳥獣」の捕獲従事者になるために、猟友会への入会が必須なことがあります。
弾丸購入やわなの作成など、狩猟は何かとお金が掛かるもの。有害鳥獣捕獲は、指定されている鳥獣を捕獲することで報奨金が出るため、捕獲従事者になることで経費の補填をしているハンターも多くいます。
ハンター目線でぶっちゃける「3つのデメリット」

次に猟友会に入会するデメリットを挙げてみました。幸運にも、筆者が所属している猟友会はいい意味で期待を裏切る居心地の良さなので、他の支部や他県のハンターから聞いた話も含みます。あくまで「支部による」ことを前提の上、参考にしてください。
1.毎年それなりに費用がかかる
これだけは全会員共通のデメリットかもしれません。メリットの項目で挙げたように、金額以上の恩恵を受けているのは確かなのですが……。毎年46000円(※)はキツイです。
ですが、実は有害鳥獣捕獲従事者になると大日本猟友会の会費が半額になるので、来期以降は38000円。それでも予め用意していないと、パッと出すには少し勇気のいる金額です。
※筆者の場合は所属する会が多いということや、銃猟だから保険に別途入らなくてはいけないという地域的要因もあるので、一概に全員がこの金額ではありません
2.支部によって異なるカルチャー。ノリが合わないと辛いかも?
これは猟友会に入る前に他のハンターから聞いていて、最も入会への腰を重くした話でした。地域によっては、昔からの猟師と若手猟師との間で確執が起きて雰囲気が悪いとか、わなをわざと外すなどの嫌がらせを受けることもあるそうです。
また、筆者は女性ですが、どうしても男性が多い世界なので、他の女性ハンターからは「ノリについていけない」という愚痴を聞いたこともあります。
幸い、筆者の所属する会はいい人ばかりなので楽しくやっていますが、こればかりは運かもしれません。
3.駆除の出動要請や有害鳥獣の追い払い要請があることも

市から要請されてサルの追い払いやイノシシの駆除をすることがあります。筆者の住む地域でも定期的にサルの追い払いのパトロールをしていますが、休日の早朝から集合になるので、面倒と感じる人にはデメリットかもしれません。
また、クマ被害が多い地域においては、「クマの駆除」が他人事ではなくなります。強制ではありませんが、クマの駆除の現場に最も近い立場であることは意識しておくべきでしょう。
新米ハンターこそ猟友会に入るべき理由

誘ってもらったグループ猟で先輩猟師が仕留めたイノシシ。写真は有害鳥獣捕獲の記号を書いているところ
俯瞰して見た猟友会に入るべきメリットは前述しましたが、ここでは初心者目線で入るべき理由を3つ紹介します。まさに猟友会入会一年目だった今季の狩猟で、筆者が「猟友会、入ってよかった~!」と思ったベスト3がこちらです。
1.獲物の止め刺しや解体を助けてくれる仲間ができる
これが狩猟へのハードルになっている人は多いと思います。銃にせよわなにせよ、いざ獲物が獲れたとして「これ、どうしたらいいの!?」と途方に暮れますよね。
一年前の筆者はまだ生きている獲物にどうやって止めを刺したらいいのか分かりませんでしたし、解体方法や、残った残渣をどうしたらいいのかも分かりませんでした。
そうしたハウツーを実践で教えてくれる先輩に会えるのは猟友会ならではだと思います。しかも、同じ支部だと大体がご近所なので「獲れたから解体くるー?」と気軽に声がかかります。
2.グループ猟に誘ってもらえる
筆者は一銃一狗(猟師一人に猟犬一匹のスタイル)のつもりでしたが、いざ猟期になると、まったくの素人がいきなり犬と山の中に入るのは無謀かもしれないと思いました。
銃の扱いにも慣れていなければ、民家のある方角もいちいち地図アプリを見なくてはわからないし、獲物の下ろし方もわからない。となると、まずは先輩たちに付いて行って、銃の扱いと猟場に慣れることが必要です。
普通なら素人を連れて行ってくれるグループ猟なんてなかなかないと思いますが、猟友会に入れば気さくな先輩たちが「一緒に行く?」と誘ってくれます。お陰で、猟期一年目で解体もそれなりにできるようになり、わなでイノシシも獲れるようになりました。
3.わなを掛ける際のトラブルを回避しやすい
もう一つ、狩猟、特にわな猟を始める前に悩んでいたのが「ここにわなを掛けたいけど、地主さんはどうやって探すんだろう」「ハンター同士のナワバリとかあるのかな」ということでした。
ハンター同士のナワバリは人によって意識がまったく違うので先に掛けている人に聞いてみるしかありませんが……。地主に関しては先輩たちが知っていることが多いし、知らなくても近隣の人に「猟友会なんですが、あそこにわなを掛けたくて……」と言うと、持ち主を紹介してもらえることが多いです。田舎における猟友会のネームバリュー、侮れません。
猟友会に入らないという選択肢はあり?

猟友会に入らなくても狩猟はできるので、選択肢としてはありです。ここでは、猟友会に入らずに狩猟をする場合の主な注意を書いてみようと思います。
狩猟者登録・ハンター保険加入を自分で行う必要がある
狩猟前には狩猟登録が必要で、猟期が終われば狩猟登録証を返却しなくてはいけません。慣れればそこまで難しいことではありませんが、働きながらだと少し手間に感じるかもしれません。銃砲店にお願いできることもあるので、お世話になっているところがあれば確認してみましょう。
【狩猟者登録に必要なもの】
| 狩猟者登録申請書 | 県のホームページからダウンロードが可能 |
| 狩猟免状 | 原本または狩猟者登録用として再交付されたもの |
| 3,000万円以上の損害賠償能力を有することの証明書 | 金融機関の残高証明書、もしくは保険証の写しなど |
| 証明写真2枚 | 登録を受ける狩猟免許1種類につき2枚が必要 |
| 狩猟税 | 登録を受ける狩猟免許の種類により異なる |
| 登録手数料 | 登録を受ける狩猟免許1種類につき1,800円 |
| 送付費用 | 600円 |
| 狩猟税の軽減措置を受ける場合はその必要書類 | 鳥獣捕獲許可に基づく捕獲に従事した場合、狩猟税非課税や半額免除等の軽減措置がある。詳細は県に確認 |
上記を用意し、県の出先機関へ申請します。
この中にある「3,000万円以上の損害賠償能力を有することの証明書」としてハンター保険に加入をするのが一般的ですが、保険への加入も自分で手続きが必要です。インターネットで検索するといくつか出てくるので、金額と条件を確認して加入しましょう。
また、狩猟登録の受付期間は決まっています。例えば、千葉県では10月1日から受付開始。ギリギリだと猟期開始に間に合わないこともあるため、自分の住む地域の受付期間を事前に確認して早めに進めるのがおすすめです。
射撃練習も個人で行う
猟友会に入っていると、筆者の地域では猟期前に「スラッグ弾講習」があります。初心者はもちろん、猟期で久しぶりに銃を使うことになる人も多いため、銃の操作に改めて慣れておこうというものです。
この時に銃の指導員が来て射撃のアドバイスもくれるので、出猟前にベテランに教えてもらえるという安心感はかなり大きかったです。猟友会に入っていない場合はこうした機会がないので、正しいフォームになっているか、スコープやドットサイトの調整ができているかなどを自分で判断しなくてはいけません。
情報収集に時間と労力がかかる
メリットに書いたことの逆ですが、猟友会に入っていれば得られる情報を自分で一から集めていかなくてはいけません。
コミュニケーションが得意な人なら少し頑張れば猟場を確保できると思いますが、苦手な人や、既にほかのハンターがわなを掛けている場所が多い場合には少し苦労する可能性もあります。
猟友会入会の流れ

では、実際に猟友会に入りたいと思った時はどうすればいいのでしょうか。これも情報が出ていない場合が多いので、問合せから入会までのフローを紹介します。
1.県猟友会か地域の市役所に問い合わせる
支部や地区猟友会には事務所がないことが多く、窓口も持ち回り。つまり、個人の電話に掛けることになります。このため、まずは県猟友会か市役所に自分が住んでいる地域の支部や地区猟友会の担当者と、その連絡先を聞きましょう。
2.電話し、必要書類と入会金を用意して申し込み
入会自体は簡単で、必要な書類と入会金を持って行けばあとは手続きをしてもらえます。自分で持って行くのは、狩猟免許試験合格後に交付される狩猟免状くらいで、入会に必要な書類や保険の加入がある場合の書類は用意してもらえます。
3.後日、会員証やベスト、帽子などが交付される
入会のタイミングは「狩猟者登録」の前がベスト猟友会にはいつでも入会ができますが、猟期があと少ししか残っていない時に入ると、「入会金を払ってもほとんど狩猟ができない……」ということになります。なので、入会タイミングとしては狩猟者登録開始時期がベスト。
地域により違うかもしれませんが、筆者の場合は猟友会の加入と狩猟者登録を同時にしてもらったので、手続きも一度で済みました。狩猟登録が開始する時期の少し前に「狩猟者登録と同時に入会したい」という意思を伝えておくと案内が届くはずです。
猟友会に関してよくある質問

猟犬に使える保険は、猟友会に限らず調べた限りは見当たらない。事故防止のために、呼び戻しや制止はしっかり覚えさせたい
最後に、一年前の筆者も知りたかった猟友会のQ&Aあれこれを紹介します。
Q.所属する 支部は選べるの?
A.基本的には自分が住んでいる地域の支部や地区に入ると考えた方がいいでしょう。
支部や地区によって規約や定款があり、「入会は対象地域に居住している人のみ」という支部もあります。居住していなくても入れる場合もありますが、そうだとしても県外越境は不可です。
Q.猟友会に入れば有害鳥獣捕獲もできる?
A.こちらも支部や地区によって異なりますが、行政と猟友会は地域でも連携しており、有害鳥獣捕獲は行政の施策なので、有害鳥獣捕獲従事者への近道となるのは間違いありません。
例えば、筆者が住んでいる君津市で銃を使った有害鳥獣捕獲をしたい場合、「有害鳥獣捕獲従事者になるには猟友会の推薦※が必要」という条件があります。
※猟友会会員で銃の講習を受け、実技に受かった人が推薦される
Q.オレンジ色と黄色のベストと帽子はマストで購入?
A.猟友会のトレードマークともいえるベストと帽子。実はこれ、入会すると無料でもらえます。自然の中でも目立つ色は、他のハンターからの誤射を防止するという役割があります。大きなポケットも付いているので、銃所持許可証や狩猟者登録証、弾丸などもベストの中に入れられて便利。
余談ですが、猟友会のハンター保険はこのベストと帽子を身に着けたうえでの事故ではないと下りないので、入会して狩猟に行く際は必携です。
Q.ハンター保険は猟犬にも適用される?
A.猟犬が狩猟でケガをした、猟犬同士がケンカしてケガをしたなど、犬の治療にかかる保険金は下りません。
猟友会のハンター保険は対人のみ。狩猟に起因する他損事故と自損事故、狩猟に起因する疾病死亡の場合に保険金が支払われます。ちなみに、よその飼い猫や飼い犬が誤ってわなに掛かり、ケガをしてしまった場合も前例がなく、保険金の支払いは難しいのだとか。
Q.退会したいときはどうしたらいいの?
A.年間会員なので、会費を払わなければ自動的に退会となります。特に手続きも必要ありませんが、所属している支部や地区の担当者に伝えておくとスムーズです。
「仕事が忙しいから今年は休会するけど来年は復帰する」ということもできれば、「休会のつもりだったけど、やっぱり猟期の途中からでも入りたい」といったことも可能で、かなり柔軟です。
まとめ
狩猟を始める前はまったく接点がないこともあり、少し怖いイメージがあった猟友会。いざ入ってみると、受ける恩恵も得られる情報も多く、とにかく狩猟に慣れるスピードが早いと実感しています。
銃の発砲や生き物の解体など、狩猟にはハードルが高いことが多いので、一人だと何も経験できないまま足が遠のいていたかも……とさえ思います。
また、一度入ったらなかなかやめられないのでは、という不安もあるかもしれませんが、一年ごとの更新で入会も退会も気軽にできます。狩猟をするのならとりあえず一度は入ってみて損はありませんよ。










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