価格に左右されない農業へ
毎月1日は、ネギを食べる日。そんな新たな食習慣を定着させようと、生産者自らが立ち上がった。
全国の農家ネットワーク「葱出荷組合zero(ゼロ)」は、毎月1日を「ねぎの日」と定め、需要喚起を目的とした販促キャンペーンを2026年6月からスタートする。全国の小売・飲食・消費者を巻き込んだ取り組みとして広げていく構えだ。
このプロジェクトを主導する、ねぎびとカンパニー株式会社代表取締役の清水寅(しみず・つよし)さんは、その狙いをこう語る。
「毎月1日を『ねぎの日』と決めて、ネギをたくさん食べてもらうきっかけをつくりたいんです」
背景にあるのは、ネギという作物が抱える構造的な課題だ。流通の多くを市場に依存する中で、需給バランスが崩れれば価格は一気に下落する。
「市場が下がると、みんな大変なんですよ。市場も、小売も、中間業者も、そして一番大変なのは生産者です。豊作で嬉しいはずなのに、価格が安くなって農家が潤わない。そんな現象が起きるのも、需要と供給のバランスが崩れているだけなんです。」

ねぎびとカンパニー株式会社代表取締役の清水寅さん
農家が需要を作る
こうした状況に対し、清水さんが打ち出したのが、需要を増やすというシンプルな解決策だ。「供給が増えたから価格が下がる。だったら、需要を増やせばいい。需要が増えて適正価格で売れるようになれば、農家が辞める人も減る。それが一番大きな目的です」
生産者が減れば、いくら流通や市場の仕組みがあっても日本の食は維持できない。だからこそ生産者が生き残れる構造をつくる必要があるという。
「ねぎの日」が目指すのは、一過性のキャンペーンではなく習慣化だ。
ネギの形を「1」に見立て、毎月1日を記念日に設定。小売店ではネギの特売を実施し、POPやロゴで売り場を演出する。飲食店では、ねぎたっぷりラーメンやねぎ焼きなどの限定メニューを展開する予定だ。さらに、物価高の中であえて値下げを打ち出すのも特徴だ。消費者にお得感と話題性を提供し、来店や購買を促す。こうした動きを業界全体で連動させることで、単発ではない継続的な需要創出を狙う。

「肉の日」のように生活に根差す
そのカギを握るのが、生産者自身による情報発信だ。「まずは生産者がSNSで発信すること。1万人のネギ農家がいれば、1万人それぞれの思いを発信すればいいんです」
そうした発信に触れた消費者が、「最近ネギを食べてないな」「『ねぎの日』で少し安いなら買ってみよう」と手に取る。そんな行動変容を生み出す狙いだ。
「今週は焼いて食べてみようかな、SNSで見たレシピを試してみようかな。それでおいしければ、また来月も食べる。そうやって習慣になればいい」
毎月29日の「肉の日」のように「毎月1日は『ねぎの日』」を生活に根付かせる。
さらに清水さんは、より大きな視点でこう語る。
「ネギでうまくいけば、ほかの野菜にも広がると思うんです。日本の生産者が一つになって発信できれば、相場にも影響を与えられる。それはどの業界にも通じる良い事例になるはずです」
「ねぎの日」は、生産者主導で需要を生み出す新しい農業モデルへの第一歩だ。














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