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クウシンサイの育て方完全ガイド 種まきから収穫まで「切れば増える好循環」でわかりやすく解説

クウシンサイの育て方完全ガイド 種まきから収穫まで「切れば増える好循環」でわかりやすく解説

クウシンサイ(空心菜)は家庭菜園における「無限収穫の夏野菜」です。熱帯アジア原産で暑さにめっぽう強く、葉物野菜がだらりと夏バテする真夏でも平然と茂り、しかも刈り取れば刈り取るほど次々にわき芽を伸ばしてくれます。病害虫にも強く放任でもしっかり育つ、家庭菜園の「隠れた優等生」。本記事では栽培カレンダー、土づくり、水と肥料の管理、そして最重要の「摘心収穫」までを、これから始める人向けにシンプルに解説します。

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クウシンサイ栽培で知っておきたい「切れば増える好循環」

具体的な栽培手順に入る前に、クウシンサイ栽培の核となる考え方を一つだけ押さえておきましょう。それが「切れば増える好循環」です。
植物には「頂芽優勢」という性質があります。枝やつるの先端にある頂芽がオーキシンというホルモンを出して、下のわき芽(側芽)に「君たちはまだ伸びなくていいよ」と指令を出す仕組みです。頂芽が元気なうちは、わき芽はじっとおとなしく眠っています。
ここで頂芽をハサミで「ちょきん」と切る(摘心する)と、抑え込みの命令が消え、眠っていたわき芽が一斉に目覚めて伸び始めます。切る前は1本だった収穫点が、切った後は2〜3本に増える。それぞれがまた伸びて頂芽を作るので、次に切るとさらに倍々に増えていく──これがクウシンサイ栽培の基本原理です。

摘心って聞くと難しそうだな、と思うかもしれませんが、やっていることは、食べられる部分の収穫です。食べたい部分を切り取れば、つまり収穫すること自体が、次の収穫点を増やすスイッチになるのです。刈り取ることが、そのまま次の収穫を呼び込むアクセルになる。この仕組みさえ理解しておけば、作業は驚くほどシンプル。気軽に始めて大丈夫です。

クウシンサイの栽培時期

クウシンサイは熱帯アジア原産のヒルガオ科の野菜で、サツマイモの仲間です。葉っぱがサツマイモによく似ていますね。暑さにはめっぽう強く真夏でもガンガン伸びますが、寒さには弱く、10℃以下で生育が止まり、霜に当たると枯れます。
日本では春に種まきまたは苗を植え付けて夏〜秋に収穫する一作型が基本です。種まきは5月以降、発芽適温は25℃前後です。収穫はおおむね6月から10月下旬まで、霜が降りる直前までずっと続けられます。以下に栽培カレンダーをまとめます。

栽培カレンダー(中間地・露地栽培基準)

時期 作業内容 ポイント
4月中旬〜5月上旬 種まき(育苗する場合) 発芽適温25℃前後。皮が硬いので一晩水につけてからまく
5月上旬〜下旬 定植(ここで畑に直まきでも良い) 最低気温15℃以上が目安。苗を購入するのも手軽でおすすめ
6月上旬〜 最初の収穫・追肥開始 草丈20〜30センチで摘心収穫スタート
6月中旬〜10月下旬 連続収穫・追肥 月に1回程度追肥、わき芽が伸びるたびに摘む
10月下旬 収穫終了 気温が下がって生育が止まったら撤去

クウシンサイは「植えて、切って、食べる」を繰り返すだけの栽培です。シビアな仕上げ期間もなく、失敗のポイントがほとんどありません。

品種の選び方

クウシンサイは固有の品種改良がほとんど進んでいない野菜で、「エンサイ」「エンツァイ」「ヨウサイ」など、種苗会社ごとに呼び方が違うだけで中身はほぼ同じものが売られています。ラベル表記で迷うかもしれませんが、どれを買っても育て方は変わらないので安心してください。
あえて違いを挙げるなら、ツルが長く伸びるタイプと、比較的コンパクトに収まるタイプがあること。園芸用として売られている品種は基本的に「ツルなし」「矮性(わいせい)」などの表記があり、長く伸びないタイプが多いです。広めの畑で放任気味に育てるなら、長く伸びるタイプでも問題ありませんが、雑草管理が大変です。

種か苗か

クウシンサイの種は安価で(1袋200〜400円程度)、しかも種の寿命が比較的長いので、一度買えば数年使い回せます。たくさん育てたい人は種から。
一方、家庭菜園で2〜3株あれば十分という人は、5月ごろにホームセンターに並ぶ苗を買ってしまったほうが手っ取り早いです。

栽培場所の選び方

クウシンサイは丈夫ですが、以下の条件を押さえると一層よく育ちます。

栽培場所の条件

条件 内容
日当たり 直射日光が長時間(半日以上)あたる場所。日照不足だと徒長しやすい
水もち 湿り気のある土を好む。乾きやすい場所は敷きわらでカバー
暑さ 気にしなくてOK。むしろ猛暑日が続くほど元気に伸びる
連作 ウリ科やナス科と比べるとヒルガオ科は比較的連作障害が出にくい。数年間は同じ場所でも大丈夫

クウシンサイは原産地の熱帯アジアでは湿地や水辺で水上栽培されるほど水好きで、茎の空洞は浮き輪の役目を果たしています。つまり、「多少ジメジメしてる場所のほうが調子がいい」くらいに考えてよい野菜です。

プランター栽培の場合

深さ20センチ以上、容量15リットル以上のプランターなら十分。2〜3株で育てられます。夏は乾きやすいので毎日の水やりが必須ですが、裏返せば「水さえ切らさなければ失敗しようがない」とも言えます。

土づくり・準備

理想の土壌

適正土壌pHは6.0〜6.5で、一般的な野菜と同じ範囲。極端に酸性でなければ特別な矯正は不要ですが、苦土と石灰の成分は必要なので、pHの必要がなくても苦土石灰は散布しましょう。

元肥の施し方

植え付けの2週間前に土づくりを済ませます。1平方メートルあたり、 完熟堆肥(たいひ)2〜3キロ、苦土石灰100グラム、化成肥料(8-8-8など)100〜150グラムを目安に、土にすき込みます。

ポイント:クウシンサイは「窒素を食わせてよい」野菜

クウシンサイは葉と茎を食べる野菜なので、窒素が効いて葉が茂ってくれるほどありがたいです。果菜類なら窒素の効きすぎは厳禁ですが、クウシンサイは気にせず肥料を与えましょう。ヒルガオ科なのでサツマイモと同じ仲間ですが、イモはできないのでツル(茎葉)がいくら暴れても問題なし。むしろ「茂り過ぎるくらいにしてちょうどいい」のがクウシンサイ流です。
とはいってもそもそもの必要量が少ないので、そんなにたくさんの葉は要らないのであれば、放置しておいて勢いが足りないなと思ったらスプーン1杯の化成肥料を与える、というくらいでも十分に継続的な栽培が可能です。

畝立てとマルチ

幅も高さも任意の長さの畝で十分です。マルチは必須ではありませんが、地温確保・乾燥防止、なにより長期栽培で重要な雑草抑制の効果があるので、あれば楽になります。敷きわらでも代用可。特に真夏の乾燥対策として何らかの被覆をおすすめします。

種まき・苗の準備

直まきが手軽でおすすめ

5月に入り、地温が十分に上がってからなら問題なく直まきができます。株間30センチで1カ所に3粒ずつまき、本葉1〜2枚で1本に間引きます。育苗の手間が省ける上、根傷みのリスクもないので、畑に直接まくほうが手軽です。

育苗する場合

どうしてもすぐに畑に植え付けられなかったり、まだ寒い時期にまきたかったりする場合は、事前にポットで育苗をします。

  1. 9センチのポリポットに培養土を入れ、深さ1センチ程度に2〜3粒まく。
  2. 発芽までは地温25℃前後を維持。日当たりの良い屋外で大丈夫だが、気温が低い時期はビニールトンネルや簡易温室で保温する。
  3. 本葉1〜2枚で生育の良い1本を残して間引く。
  4. 本葉4〜5枚になったら定植適期。育苗日数はおよそ3〜4週間。

植え付け

定植適期

最低気温15℃以上が目安。冷え込みが残る時期には保温資材をかぶせてもよいですが、そこまで神経質にならなくて大丈夫です。

植え付け手順

  1. 株間30センチ程度で植え穴を開ける。ツルがよく伸びるので、広めの場所なら40〜50センチ間隔でも問題ない。
  2. 植え穴にたっぷり水を注ぎ、水が引いたら苗を植え付ける。
  3. 活着まで乾かさない。

ここまでくれば、もう大きな山場は越えたようなものです。

栽培管理

水やり

クウシンサイは水をとにかく好みます。地植えなら乾燥が続くときにたっぷりと、プランターなら毎日たっぷりが基本。「やりすぎかな?」くらいでちょうどいいと思ってください。
本来放置してたくさん収穫できることが売りの野菜ですので、できれば水はけの悪い場所に植えておきたいところです。

追肥

収穫が始まったら、1カ月に1回くらいのペースで追肥します。もっと収穫頻度を上げたければ2週間に1回に増やしましょう。化成肥料なら1平方メートルあたり30グラム程度を株元にばらまくか、液体肥料を水やり代わりに与えるのが手軽です。刈り取るたびに株は再生のためのエネルギーを使うので、肥料切れを起こすとわき芽の出が鈍くなります。「切ったら食わせる」をワンセットで覚えておきましょう。

整枝はしなくてよい

夏野菜で頭を悩ませる複雑な仕立てはクウシンサイには不要です。放任で問題ありません。収穫そのものが摘心を兼ねるので、刈り取る作業=株づくりの作業、と考えてください。

収穫──本記事のハイライト「無限収穫」

最初の収穫

草丈が20〜30センチに伸びたら、最初の収穫です。根元から2〜3節(5センチほど)を残してハサミで切り取るのが基本。切った上の部分がまるごと食用になります。
ここで残した2〜3節が重要です。この残した節の葉の付け根から、わき芽が次々と飛び出してきます。これが次回の収穫点になります。

2回目以降の収穫

わき芽が20〜30センチまで伸びたら、同じように根元の1〜2節を残して切り取ります。これを繰り返すだけ。夏の盛りには1〜2週間で次の収穫サイズに達するので、気がつけば青物を常に確保できる状態になります。

切る位置のイメージ。残した節から出るわき芽が次の収穫点になる

収穫のコツ

  • 早朝か夕方に収穫する。日中の暑い時間に切るとすぐにしおれる。
  • 茎が太くなりすぎると食味が落ちるので、伸ばしすぎない。柔らかい先端10〜20センチが一番おいしい。
  • 花が咲き始めると葉が硬くなる傾向があるので、つぼみは早めに摘み取る。
  • 収穫後は濡らした新聞紙に包んで冷蔵庫へ。保存は2〜3日が限界なので、できるだけ早く食べ切る。

病害虫対策

クウシンサイは家庭菜園の野菜の中でも屈指の「病害虫に強い野菜」です。基本的には何もしなくても大丈夫ですが、ごくたまに以下の害虫が出ることがあります。

害虫 被害 対策
ヨトウムシ・ハスモンヨトウ 夜間に葉を食害。穴があちこちに開く 見つけ次第捕殺。多発時のみ防虫ネット
アブラムシ 新芽に群がる。水やり時に流せる程度 放置でも被害はほぼない

病気に至っては、家庭菜園レベルでは悩まされることがほとんどありません。次から次へと新しいわき芽が出てくるので、多少食害されても株全体としてはまったく気になりません。農薬はほぼ不要と考えて差し支えない野菜です。

まとめ

クウシンサイ栽培は「切れば増える好循環」がすべてです。頂芽を切ることは、摘心でありながら収穫でもあり、さらに次の収穫点を増やす増殖作業でもある──この三役を兼ねている作業がクウシンサイの摘心収穫です。種をまき、水と肥料を切らさず、伸びたら切る。これだけで、真夏の葉物不足を見事に埋めてくれます。

家庭菜園を始めたばかりで何を育てるか迷っている人、メロンやトマトで何度か失敗した人にこそ、ぜひ一度クウシンサイを試してほしいと思います。自分の手で育てたクウシンサイをごま油でさっと炒める──それだけで、夏の食卓が一段豊かになります。この記事が、あなたのクウシンサイ栽培の第一歩になれば幸いです。

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