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春の山菜「ゼンマイ」とは? 特徴・旬・下処理方法から水煮と乾物の使い分け、食べ方・レシピ・栽培まで解説

さとう ともこ

ライター:

春の山菜「ゼンマイ」とは? 特徴・旬・下処理方法から水煮と乾物の使い分け、食べ方・レシピ・栽培まで解説

ゼンマイは山菜ならではのほろ苦い味わいとシャキシャキした食感が楽しめる、春を代表する山菜のひとつです。生の状態での流通は限られるものの、水煮や乾燥させたものなら通年楽しめるのも特長です。本記事では、ゼンマイの特徴や旬の時期、下処理方法、水煮と乾物の使い分け、レシピ、栽培方法までわかりやすく解説します。

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ゼンマイとはどんな山菜?

綿毛に包まれたゼンマイ
ゼンマイは、ゼンマイ科ゼンマイ属のシダ植物で、春に芽吹く代表的な山菜のひとつです。くるりと渦を巻いた若芽が特徴で、日本各地の山野の湿った場所、特に北側の斜面に自生します。若芽は褐色の綿毛に包まれていますが、成長とともに次第に失われます。葉には、栄養をつくる栄養葉(女ゼンマイ)と、胞子をつける実葉(男ゼンマイ)があり、食用にするのは栄養葉(女ゼンマイ)の若芽です。

味や香りの特徴

ゼンマイはアクが強いため、重曹を加えた湯でゆでるなどのアク抜きをしてから調理に使います。アク抜きしたゼンマイは、ほのかな苦みとやさしい甘みをあわせ持つ素朴な味わいが特徴です。香りは控えめで、だしや調味料となじみやすく、和え物やおひたし、煮物、炒め物など幅広い料理に利用できます。少しぬめりがあり、繊維質が豊富でしっかりとした食感も魅力です。

ワラビやコゴミとの違い

コゴミとゼンマイとワラビ

左から、コゴミ、ゼンマイ、ワラビ

ワラビは、日当たりのよい山野に自生します。ゼンマイやコゴミと違い芽が枝分かれしており、先端が拳状に渦を巻くのが特徴です。ゼンマイと同様にアクが強く、調理前にアク抜きが必要です。独特のぬめりがありクセのない味わいです。

コゴミ(クサソテツ)は、沢沿いなど湿り気のある場所に群生し、新芽は濃い緑色で、ゼンマイに似た形ですがコゴミには毛がありません。茎の断面は凹型をしています。アク抜き不要で手軽に食べられ、軽いぬめりとほのかな甘みが特徴です。ゼンマイやワラビよりも早い時期に出回ります。

ゼンマイの産地

ゼンマイは日本各地の山野に自生しており、東北地方や信越地方などの山間部を中心に多く採取されています。特に積雪の多い山形県、新潟県、秋田県、青森県が、天然ゼンマイの主要産地です。

一方、四国地方では採取に加えて栽培も盛んで、高知県や徳島県が乾燥ゼンマイの産地として知られています。ゼンマイは日持ちが短く、生のまま出荷されることは少ないため、主に乾燥や水煮に加工されて全国に流通しています。

ゼンマイの加工品

水煮ゼンマイと乾燥ゼンマイ

旬の時期

ゼンマイの旬は春で、収穫時期は3月から6月上旬にかけてです。九州から北へと旬が移り、東北地方で採取が盛んになる5月から6月上旬にかけてが最盛期となります。この時期には、産地の直売所や道の駅などに生ゼンマイが出回ります。

一方、乾燥ゼンマイは新物が出回る6月下旬から7月ごろが旬といえます。ゼンマイはその形状から「銭」を連想させる縁起物とされ、おせち料理の食材として12月に需要が高まります。

ゼンマイの栄養と効能

ゼンマイは、食物繊維やミネラルを含む山菜です。生ゼンマイには、ビタミンKやビタミンC、葉酸などが含まれていますが、ゆでると葉酸は約70%、ビタミンCは90%以上が流出します。干しゼンマイはカリウム・鉄・カルシウムなどのミネラルや食物繊維が非常に豊富ですが、水戻し・ゆで調理により特にカリウムと鉄は大きく減少します。

このように生・ゆで・乾燥といった加工形態によって栄養の含まれ方が変わるため、ゼンマイ以外の食品とあわせてバランスよく取り入れることが大切です。また、ゆでる時間を短くしたり、戻し汁の一部を利用したりするなどの工夫で栄養のロスを抑えることができます。ここでは代表的な栄養素を紹介します。

食物繊維

ゼンマイには不溶性食物繊維が多く含まれています。腸内環境を整える働きがあるとされ、食後の満足感を得やすいのが特徴です。日々の食事に取り入れることで、食生活のバランスを整える一助となります。

カリウム

体内の余分な塩分を排出する働きがあるミネラルです。体内の水分バランスを保つ役割があり、食生活の中で意識して取り入れたい成分のひとつです。

鉄分

赤血球の形成に関わるミネラルで、体に酸素を運ぶ働きを担います。ビタミンCやたんぱく質を含む食材と組み合わせることで、効率よく摂取できます。

ゼンマイの選び方

茶色の産毛が密生しているものを選びます。先端がしっかりと巻いていて葉が開いておらず、茎が太く短いものが良品です。また、葉の先が膨らんでいない「女ゼンマイ」は柔らかく、食用に適しています。

ゼンマイの保存方法

生ゼンマイは下処理をしてから保存します。ゆでてアク抜きした後、水に浸した状態で冷蔵すれば、約1週間保存可能です。その際は毎日水を替えます。生のままだと傷みやすいため、購入後は早めに下処理を行いましょう。

冷凍する場合は、アク抜き後に水気を切って小分けにし、保存袋に入れて冷凍します。保存期間の目安は約1か月です。

長期保存には乾燥がおすすめで、ゆでてアク抜きしたゼンマイを天日干しにすることで保存性が高まり、風味も引き出せます。乾燥過程で何度か手もみすると繊維がほぐれて柔らかくなります。しっかり乾燥させて風通しのよい冷暗所で保存すれば、約1年はおいしく食べられます。

ゼンマイの下処理(生ゼンマイのアク抜き・乾燥ゼンマイの水戻し)

ゼンマイはアクが強いため、下処理をしてから食べます。ここでは一般的な方法を紹介します。

ゼンマイのアク抜き方法

ゼンマイのアク抜き

材料

  • 生ゼンマイ 適量
  • 重曹 お湯1Lに対して大さじ1

アクの抜き方

  1. ゼンマイは綿毛や汚れ、硬い根元を落として水でよく洗う
  2. 鍋に湯を沸かし重曹を加え、ゼンマイを2〜3分ゆでる
  3. 火を止めてふたをし、そのまま一晩(約8時間)置く
  4. 流水で2〜3回よく洗い、アクを流す

乾燥ゼンマイの戻し方

乾燥ゼンマイ
乾燥ゼンマイは調理前に時間をかけて戻します。戻すとおよそ5倍の重量になります。

材料

  • 乾燥ゼンマイ 30g
  • 水 適量

戻し方

  1. 乾燥ゼンマイを水でよく洗う
  2. たっぷりの水に浸して1~2時間ほど置く
  3. 水ごと鍋に入れ、沸騰直前まで温めたあと、湯を捨てて新しい水に替える
  4. 全体がふっくらと柔らかくなるまで、半日〜1日ほどかけて戻す。途中で2〜3回水を替える

ゼンマイの食べ方とレシピ5選

ゼンマイは主に水煮と乾燥状態で流通し、それぞれに向いた使い方があります。手軽さを重視するなら水煮ゼンマイ、風味や食感を楽しむなら乾燥ゼンマイを選ぶのがおすすめです。料理に応じて使い分けることで、おいしさを引き出せます。生ゼンマイが出回る期間は短く日持ちもしにくい一方、水煮や乾燥は通年で利用でき、日持ちもします。

ゼンマイのナムル

ゼンマイのナムル
下処理したゼンマイを軽く炒めて水分を飛ばし、調味料をなじませたナムル。ひと手間加えることで味がしっかり入り、ごま油の香りとニンニクの風味が引き立ちます。手軽に作る場合は水煮ゼンマイで代用できます。

材料(2人分)

  • ゼンマイ(下処理したもの) 150g
  • ごま油 大さじ1
  • おろしニンニク 小さじ1/2
  • しょうゆ 小さじ1
  • 塩 少々
  • 白いりごま 小さじ1

作り方

  1. ゼンマイは水気をしっかり切り、食べやすい長さに切る
  2. フライパンを中火で熱し、油をひかずにゼンマイを乾煎りして水分を飛ばす
  3. ごま油とニンニクを加えてさっと炒める
  4. しょうゆと塩を加えて全体になじませる
  5. 火を止めて白ごまを加え混ぜる

ゼンマイの卵とじ

ゼンマイの卵とじ
だしの風味を含ませたゼンマイの素朴なおいしさが引き立ちます。生ゼンマイを使うと柔らかく仕上がり、卵のやさしい味わいとよくなじみます。手軽に作る場合は水煮ゼンマイでも代用できます。

材料(2人分)

  • ゼンマイ(下処理したもの) 120g
  • 卵 2個
  • 長ネギ 1/2本
  • だし汁 150ml
  • しょうゆ 大さじ1
  • みりん 大さじ1
  • 砂糖 小さじ1

作り方

  1. ゼンマイは食べやすい長さに切る
  2. 長ネギは斜め薄切りにする
  3. 鍋またはフライパンにだし汁と調味料を入れて煮立てる
  4. ゼンマイを加えて2〜3分ほど煮る
  5. 長ネギを加えてさっと火を通す
  6. 溶き卵を回し入れ半熟状に火を通す
  7. 火を止めてそのまま少し蒸らす

ゼンマイと豚肉の炒め物

ゼンマイと豚肉の炒め物
下処理した生ゼンマイを使い、豚肉のコクと長ネギの香りを合わせた満足感のある主菜。ゼンマイの水分を軽く飛ばしてから炒めることで味がなじみやすく、ごはんが進むしっかり味に仕上がります。手軽に作る場合は水煮ゼンマイで代用できます。

材料(2人分)

  • ゼンマイ(下処理したもの、または水煮) 120g
  • 豚こま切れ肉 150g
  • 長ネギ 1/2本
  • ごま油 大さじ1
  • しょうゆ 大さじ1
  • みりん 大さじ1
  • 砂糖 小さじ1

作り方

  1. ゼンマイは水気をしっかり切り、食べやすい長さに切る
  2. 長ネギは斜め薄切りにする
  3. フライパンを中火で熱し、油をひかずにゼンマイをさっと乾煎りして水分を飛ばし、一度取り出す
  4. ゼンマイを取り出したフライパンにごま油を加え、豚肉を炒める
  5. ゼンマイを戻し入れ、長ネギを加えて炒め合わせる
  6. 調味料を加えて汁気が少なくなるまで炒める

ゼンマイの煮物

ゼンマイの煮物
下処理したゼンマイをだしで含めた家庭料理の定番。柔らかな食感と素朴な風味が引き立ち、山菜らしさをしっかり楽しめます。油揚げと糸こんにゃく、ニンジンを合わせることで、コクと食感、彩りのバランスが整います。乾燥ゼンマイを戻して使うと、より深い風味を楽しめます。

材料(2人分)

  • ゼンマイ(下処理したもの) 120g
  • 油揚げ 1枚
  • 糸こんにゃく 100g
  • ニンジン 1/4本
  • だし汁 200ml
  • しょうゆ 大さじ1
  • みりん 大さじ1
  • 砂糖 小さじ1

作り方

  1. ゼンマイは食べやすい長さに切る
  2. 油揚げは熱湯をかけて油抜きし、細切りにする
  3. 糸こんにゃくは下ゆでして食べやすく切る
  4. ニンジンは細切りにする
  5. 鍋にだし汁と調味料を入れて煮立てる
  6. すべての具材を加えて弱めの中火で煮る
  7. 途中で上下を返しながら味を含ませる
  8. 汁気が少なくなるまで煮含める

ゼンマイの炊き込みご飯

ゼンマイの炊き込みご飯
下処理したゼンマイをだしで炊き上げる炊き込みご飯。柔らかな食感とやさしい風味がごはんに広がり、季節感のある一品に仕上がります。乾燥ゼンマイを戻して使うと、より香り高くなります。

材料(2合分)

  • 米 2合
  • ゼンマイ(下処理したもの) 100g
  • ニンジン 1/3本
  • 油揚げ 1枚
  • だし汁 適量(2合の目盛りまで/約360ml)
  • しょうゆ 大さじ2
  • みりん 大さじ1

作り方

  1. 米を研ぎ、30分ほど浸水させる
  2. ゼンマイは水気を軽く切り、食べやすい長さに切る
  3. ニンジンは細切りに、油揚げは熱湯をかけて油抜きしてから細切りにする
  4. 炊飯器に米と調味料を入れ、2合の目盛りまでだし汁を加える
  5. 具材をのせて炊飯する
  6. 炊き上がったら全体を混ぜる

ゼンマイの栽培方法

新芽を出したゼンマイ
ゼンマイは山菜として自生する植物ですが、半日陰で湿り気のある環境を整えれば家庭でも育てることができます。収穫までに年数がかかるため、長く楽しむつもりで栽培するのがポイントです。

準備・土づくり

ゼンマイは日陰〜半日陰で、適度に湿り気のある場所を好みます。直射日光が強く当たる場所や乾燥しやすい場所は避けましょう。土壌は腐植質に富んだ肥沃(ひよく)な土が適しており、落ち葉や堆肥(たいひ)をすき込んで水もちと通気性を高めます。pHは弱酸性(5〜6程度)が目安です。

植え付け

植え付けは春または秋に行います。株分けした根株や苗を用い、根を乾かさないようにしてすぐに植え付けます。植え付けは深植えにならないよう注意し、株元に5〜6cm程度土をかぶせて軽く押さえます。プランターの場合も同様に、浅めに植え付けて過湿と乾燥の両方を避けます。

管理・水やり

植え付け後は乾燥させないように管理し、土の表面が乾いたら水を与えます。強い日差しは避け、夏場は半日陰になる環境を保ちます。雑草はこまめに取り除き、風通しを確保します。肥料は植え付けた年は控えめにし、翌年以降に有機質肥料を春と秋に施します。

収穫

植え付けてから数年は株を充実させるため収穫を控え、3年目以降を目安に収穫を始めます。草丈が十分に伸びたら、翌年の生育に影響しないよう取りすぎに注意しながら採取します。

注意したい病害虫と対策

ゼンマイは比較的病害虫の被害が少ない山菜ですが、湿った環境ではナメクジやカタツムリが新芽を食べることがあります。見つけた場合は早めに取り除きましょう。 また、過湿状態が続くと根腐れを起こすことがあるため、水はけのよい土づくりと風通しの確保が重要です。

手間ひまもごちそう、親しまれる山菜の味わい

下処理したゼンマイ
ゼンマイは、春の旬だけでなく、水煮や乾燥ものを活用することで一年を通じて楽しめる山菜です。下処理や使い分けのポイントを押さえれば、煮物や炊き込みご飯などさまざまな料理に取り入れることができます。

旬の生ゼンマイが手に入った際は、ぜひ下処理から挑戦してみてください。気長に栽培してみるのも、楽しみ方のひとつです。季節の味わいを日々の食卓に取り入れ、ゼンマイならではのおいしさを味わってみてはいかがでしょうか。

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