ネマガリダケとは?

ネマガリダケ(根曲がり竹)は、イネ科ササ属に分類される「チシマザサ」の若い竹です。東北や北海道、信州などの山岳地帯に自生します。これらの地域は豪雪地帯で、積雪によってササが地面に押し付けられ、地表をはうように曲がった状態で成長することが名前の由来です。
地域ごとに呼び名が異なり、信越地方では「根曲がり竹」、北海道や東北では主に「姫竹(ひめたけ)」と呼ばれ、山形県では「月山筍(がっさんだけ)」としてブランド化されています。このほか、一部の地域では「笹竹」や「細竹」と呼ばれることもあります。山菜採りでも人気があり、雪解け後の山へ入って収穫する季節の風物詩として親しまれてきました。
ネマガリダケの旬と産地
ネマガリダケの旬は5~6月頃で、雪解けの時期に合わせて各地で収穫が始まります。南の地域から徐々に北へと旬が移り変わり、雪解けを追うように旬が北上していくのも、この山菜ならではの特徴です。
主な産地は青森県、山形県、新潟県、秋田県、北海道、長野県などの山間部の豪雪地帯です。特に東北や北信地方では、春から初夏の山菜採りは風物詩で、地域の食文化を支える山の恵みとして親しまれています。
ネマガリダケの味と食感

ネマガリダケは、シャキシャキとした歯ざわりが特徴の山菜です。香りは青々しく爽やかで、かむほどにみずみずしさとほのかな甘みが感じられます。細身で扱いやすく、調理しやすいのも魅力のひとつです。焼き物では香ばしさが引き立ち、みそ汁などの汁物ではだしや具材のうまみを吸い込みながら、独特の食感を楽しめます。
タケノコとの違い
一般的なタケノコとして広く知られる孟宗竹(もうそうちく)はタケ類に分類されます。産地は九州から関東の温暖地が中心で、旬は3~4月の早春です。孟宗竹はアクが強く、米ぬかなどを使った下処理が欠かせませんが、ネマガリダケはえぐみが少ないためアク抜きが不要で下処理が比較的簡単です。孟宗竹はやわらかく上品な春の味覚、ネマガリダケは香りと歯ごたえを楽しむ初夏の山菜といえるでしょう。
ネマガリダケの栄養と効能

ネマガリダケはタケノコの一種で、低カロリーでみずみずしく、食物繊維やミネラルのほか、アミノ酸の一種であるチロシンやうまみ成分であるグルタミン酸も含んでいます。
食物繊維
糖質の吸収を穏やかにし、血糖値の急上昇を抑える働きがあるとされています。また、善玉菌のエサとなって腸内環境を整え、便通をサポートする役割も期待されています。ネマガリダケのシャキシャキとした食感を生み出す成分のひとつです。
カリウム
体内の水分バランスを整え、塩分(ナトリウム)の排出を促す働きがあるミネラルです。ネマガリダケのみずみずしさを支える成分でもあります。
チロシン
アミノ酸の一種で、切り口などに白い粒として現れることがあります。これはタケノコ類全般に見られるうまみや風味に関わる成分で、集中力や疲労回復をサポートする働きがあるとされています。
ネマガリダケの選び方

ネマガリダケを選ぶ際は、穂先がしっかりと締まり、皮に自然なつやと張りがあるものに注目しましょう。切り口がみずみずしく、黒ずみの少ないものは鮮度が高い証拠です。形については、全体的に太さが均一で徒長していないものがやわらかくおいしく食べられます。あまりに細すぎるものや成長しすぎたものは、繊維が発達して食感がかたくなっている場合があります。
ネマガリダケの保存方法
ネマガリダケは鮮度が落ちやすいため、購入後や収穫後はできるだけ早く食べるのがおすすめです。乾燥すると風味や食感が損なわれやすいため、保存する際は乾燥を防ぐことがポイントになります。
冷蔵保存
皮付きのまま湿らせた新聞紙やキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて野菜室で保存します。保存期間の目安は2~3日程度です。時間がたつと風味が落ちやすいため、早めに食べ切りましょう。
冷凍保存
長期保存する場合は、皮をむいてかたい部分を取り除き、軽く下ゆでしてから冷凍保存します。粗熱を取って水気をよく拭き取り、保存袋などに入れて密閉してから冷凍しましょう。保存期間の目安は約1カ月です。使用する際は、凍ったまま汁物や炒め物に加えると食感を残しやすくなります。
ネマガリダケの下処理方法

ネマガリダケは、タケノコ類の中ではあくが少なく、基本的にアク抜きのための下ゆでは不要です。皮をむいてそのまま調理できるため、比較的扱いやすい山菜といえます。調理前に根元の硬い部分や節を取り除くことで、食感よく仕上がります。
ネマガリダケの皮のむき方

- 水で洗い、表面の汚れを落とします
- 先端を少し斜めに切り落とし、根元の硬い部分も切り落とします
- 先端から縦に3cmほど、浅く切り込みを入れます
- 切り込みから左右に広げるようにして皮をむきます
- 節にかたい部分があれば、包丁でそぎ取ります
やわらかい味と食感に仕上げたいときは、下ゆでして使うといいでしょう。下ゆでする場合は、皮をむく前に沸騰した湯で5~10分ほどゆでて、冷水に取ります。皮をむいた後は乾燥しやすいため、すぐに調理しない場合は、湿らせたキッチンペーパーなどで包んでおくと、みずみずしさを保ちやすくなります。
ネマガリダケの食べ方・レシピ5選
ネマガリダケはシンプルな調理でも旬の風味を存分に楽しめる山菜です。定番のホイル焼きやみそ汁から、炊き込みご飯やパスタまで、幅広い料理に合います。ここでは、旬の時期にぜひ試したいレシピを五つ紹介します。
ネマガリダケのホイル焼き

皮ごとホイルで蒸し焼きにすることで、ネマガリダケのみずみずしさと香りを閉じ込めます。焼きたてを味わう、旬ならではのシンプルな一品です。
材料(2人分)
- ネマガリダケ 6本
- しょうゆ 適量
- かつお節 適量
作り方
- ネマガリダケは汚れを落として洗い、水気を軽く拭き取る
- 先端を斜めに切り取り、縦に3cmの切れ込みを入れ、根元の硬い部分も切り落としておく
- 3本ずつアルミホイルでふんわり包み、魚焼きグリルまたはオーブントースターで10〜15分ほど焼く
- 竹串がすっと通るくらいやわらかくなったら取り出す
- 熱いうちに皮をむき、しょうゆとかつお節を添える
ネマガリダケのサバ缶みそ汁

東北地方でも親しまれている食べ方です。サバのうまみとネマガリダケの香りがよく合い、食べ応えのあるみそ汁に仕上がります。ツナ缶や鮭缶でのアレンジもあります。
材料(2人分)
- ネマガリダケ 120g(約4本)
- サバ水煮缶 1/2缶
- だし汁 400ml
- みそ 大さじ1と1/2
- 小ネギ 適量
作り方
- ネマガリダケは皮をむき、食べやすい長さに切る
- 鍋にだし汁を入れて火にかけ、ネマガリダケを加える
- やわらかくなったらサバ缶を汁ごと加える
- 火を弱めてみそを溶き入れ、椀によそって小ネギを散らす
ネマガリダケの天ぷら

天ぷらは山菜料理の定番のひとつ。サクッと揚がった衣でみずみずしい食感と香りがより際立ちます。揚げたてを塩で味わうのがおすすめです。
材料(2人分)
- ネマガリダケ 4~6本
- 天ぷら粉 25g
- 冷水 40ml
- 揚げ油 適量
- 塩 適量
作り方
- ネマガリダケは皮をむき、水気を拭き取る
- 天ぷら粉と冷水を混ぜ、衣を作る
- ネマガリダケに衣を付け、170℃の油で揚げる
- 薄く色づいたら取り出し、油を切って塩を添える
- 米 2合
- ネマガリダケ 120g
- 油揚げ 1/2枚
- だし汁 適量
- しょうゆ 大さじ1
- 酒 大さじ1
- みりん 小さじ1
- 米は洗って30分ほど浸水させる
- ネマガリダケは皮をむき、斜め薄切りにする
- 油揚げは短冊切りにする
- 炊飯器に米、調味料を入れ、2合の目盛りまでだし汁を加える
- ネマガリダケと油揚げをのせて炊飯する
- 炊き上がったら全体を混ぜ合わせる
- ネマガリダケ 120g(約4本)
- ベーコン 80g
- スパゲティ 160g
- ニンニク 1片
- 赤唐辛子 1本
- オリーブオイル 大さじ2
- 塩 適量
- 黒こしょう 適量
- ネマガリダケは皮をむき、食べやすい厚さの斜め切りにする
- ベーコンは短冊切り、ニンニクは薄切りにし、赤唐辛子は種を取る
- 鍋に湯を沸かし、塩を加えてスパゲティを表示時間より1分短くゆでる
- フライパンにオリーブオイル、ニンニク、赤唐辛子を入れて弱火にかける
- 香りが立ったらベーコンを加えて炒め、続けてネマガリダケを加える
- ゆで上がったスパゲティとゆで汁大さじ2を加え、全体を混ぜ合わせる
- 塩と黒こしょうで味を調えて器に盛る
ネマガリダケの炊き込みご飯
だしの風味とネマガリダケの食感が楽しめる、旬の炊き込みご飯。香りとうまみを吸った油揚げが全体をまとめます。

材料(作りやすい分量)
作り方
ネマガリダケとベーコンのペペロンチーノ
ネマガリダケの食感と、ベーコンのうまみをパスタに絡め、ニンニクとオリーブオイルの香りで、山菜のおいしさをシンプルに楽しめます。

材料(2人分)
作り方
ネマガリダケの栽培方法

ネマガリダケ(チシマザサ)が自生する自然環境に近い半日陰と湿度を保つことが、栽培のポイントになります。条件が合えば、深めのプランターでも栽培できます。収穫までには年数がかかりますが、一度根付くと毎年春に若竹を楽しめます。
準備・土づくり
ネマガリダケは、湿気が多く風通しのよい半日陰を好みます。直射日光が長時間当たる場所や乾燥しやすい場所は避けましょう。腐植質に富んだ土が適しているので、落ち葉や腐葉土を混ぜ込んで水もちを高めておきます。pHは弱酸性(5~6程度)が目安です。
植え付け
植え付けは春(3月下旬頃)または秋に行います。1〜2年生程度の若い根株を用い、植え穴を深さ30cm、幅40cm程度を目安に掘り、たっぷり水を流し込んで地下茎が土に密着するよう植え付けます。ネマガリダケは斜めに伸びる性質があるため、やや斜めに植えると自然に近い状態で育ちやすくなります。
管理・水やり
植え付け後は乾燥させないよう注意し、土の表面が乾いたら水を与えます。特に夏場は乾燥しやすいため、敷きわらや落ち葉で株元を覆うなどして対策します。雑草は適宜取り除き、風通しを保ちます。古い竹が増えすぎると新芽の発生が悪くなるため、数年ごとに古竹を間引くと、新しい若竹が出やすくなります。肥料は春と秋に有機質肥料を控えめに施します。
収穫
植え付けから数年間は株を育てる期間とし、4年目頃から収穫を始めます。若竹が20~30cmほど伸びた頃が収穫適期です。取りすぎると翌年の発生量に影響するため、株を残しながら適度に収穫しましょう。
注意したい病害虫と対策
ネマガリダケは比較的丈夫ですが、湿気が多い環境ではナメクジやカタツムリが若芽を食害することがあります。見つけたらすぐに取り除きましょう。
雪解けの山が育てる初夏の味覚

ネマガリダケは、雪深い山の自然環境の中で育つ、初夏ならではの山菜です。シャキシャキとした食感と爽やかな香りが魅力で、焼き物や汁物、炊き込みご飯など、シンプルな調理でも旬の風味を楽しめます。
地域によって呼び名や食べ方が異なるのも、ネマガリダケのおもしろさのひとつです。直売所などで見かけた際は、地域ごとの味わい方にも目を向けながら、山菜ならではの季節感を楽しんでみてはいかがでしょうか。

















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