ツルムラサキとはどんな野菜?

ツルムラサキ科ツルムラサキ属に分類される、熱帯アジア原産のつる性植物です。つるを伸ばしながら次々に葉を付け、若い茎葉を摘み取って食用にします。別名は「セイロンホウレンソウ」で、暑さに弱いホウレンソウの代わりとして、夏の食卓で活躍してきました。
日本では古くから赤紫色の汁を染料として利用してきましたが、野菜として広く栽培されるようになったのは1970年代以降のことです。近年は栄養価の高さから「健康野菜」としても親しまれています。
緑茎種と赤茎種がある
ツルムラサキには、葉・茎ともに緑色をした「緑茎種」と、茎が赤紫色の「赤茎種」があります。一般的に多く流通しているのは青茎種で、やわらかな食感と食べやすさが特徴です。
一方、赤茎種は鮮やかな赤紫色の茎が特徴で、料理に彩りを添えるほか、観賞用としても親しまれています。また、緑茎種の変種として、つるがあまり伸びず、葉が大きめの品種もあります。
味と香りの特徴
ツルムラサキは、肉厚の葉とやわらかな茎を持ち、加熱するとぬめりが出るのが特徴です。アクは比較的少ない一方で、大地を感じるような独特の青っぽい香りがあります。加熱すると香りは比較的穏やかになり、食べやすくなります。
ツルムラサキの旬と産地
ツルムラサキは暑さと湿気を好み、7〜10月頃が旬の時期です。高温期でも旺盛に育つため、夏場の貴重な葉物野菜として親しまれています。
全国的に栽培されていますが、主な産地は福島県、宮城県、山形県、埼玉県、徳島県など。近年は家庭菜園でも育てやすい野菜として人気があり、直売所やスーパーでも見かける機会が増えています。
ツルムラサキの選び方

葉が肉厚で濃い緑色をしており、つやと張りのあるものを選びましょう。茎は太すぎると筋っぽく感じられることがあるため、なるべく細めで均一なものを選ぶのがポイント。切り口に黒ずみや乾燥が見られず、葉の先端までピンとしているものが新鮮です。
ツルムラサキの保存方法
ツルムラサキは葉がやわらかく乾燥しやすいため、購入後はなるべく早めに食べ切るのがおすすめです。すぐに使わない場合は、さっと下ゆでしてから保存すると、調理にも使いやすくなります。
冷蔵保存
生のまま保存する場合は、湿らせた新聞紙やキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて野菜室で保存し、2〜3日を目安に使い切るのがおすすめです。下ゆでしたものを冷蔵室で保存する場合も、2〜3日を目安に食べ切りましょう。
冷凍保存
さっと下ゆでして水気をしっかり切ったあと小分けにしてラップで包み、保存袋に入れて冷凍します。保存期間の目安は約1カ月です。あらかじめ使いやすい長さに切っておくと、スープや炒め物にも手早く使えます。
ツルムラサキの下処理

ツルムラサキは生でも食べられますが、独特の青っぽい香りがあるため、加熱調理するのが一般的です。
根元を切り落とし、葉と茎をさっとゆでて冷水に取り、水気を絞って使います。刻むとぬめりが出るため、和え物やスープにもよく合います。また、ゆでるよりも油で炒める方がクセのある風味がやわらぎ、食べやすくなります。
ツルムラサキの食べ方とレシピ5選
ツルムラサキは、おひたしや和え物のほか、炒め物やパスタにも使いやすい夏野菜です。独特のぬめりは、和風だけでなく中華風やオイル系の料理とも好相性。加熱するとクセもやわらぎ、さまざまな料理で楽しめます。※料理写真はイメージです。
ツルムラサキのおひたし

ツルムラサキ特有のぬめりとやわらかな食感をシンプルに楽しめる定番の食べ方。かつお節のうま味としょうゆの香りがよく合い、つるりとした食感が食欲をそそります。
材料(2人分)
- ツルムラサキ 1束(約150〜200g)
- かつお節 適量
- しょうゆ 小さじ2〜3
- 塩 少々(ゆで用)
作り方
- ツルムラサキはよく洗い、太い茎と葉を分ける。茎が長い場合は食べやすい長さに切る
- 鍋に湯を沸かし、塩を加える。先に茎を30〜40秒ほどゆで、その後葉を加えてさらに20〜30秒ゆでる
- 冷水にとって色止めし、水気をしっかり絞る
- 食べやすい長さに切って器に盛り、かつお節をのせ、しょうゆをかける
ツルムラサキの納豆和え

ぬめりとねばりで、夏場の栄養をしっかりサポート。かつお節のうま味を加えることで、シンプルながらご飯によく合う一品になります。
材料(2人分)
- ツルムラサキ 1束(約150g〜200g)
- 納豆 1パック
- かつお節 適量
- しょうゆ 小さじ1〜2
- 練りからし 少々(お好みで)
- 塩 少々(ゆで用)
作り方
- ツルムラサキはよく洗い、太い茎と葉を分ける。食べやすい長さに切る
- 鍋に湯を沸かし、塩を加える。先に茎を30〜40秒ほどゆで、その後葉を加えてさらに20〜30秒ゆでる
- 冷水に取って冷まし、水気をしっかり絞り、食べやすい長さに切る
- ボウルでツルムラサキと納豆を和え、付属のたれ(またはしょうゆ)、お好みでからしを加えて混ぜる
- 器に盛り、仕上げにかつお節をのせる
ツルムラサキと卵の炒め物

手早く作れて、夏の晩ごはんにお役立ち。ツルムラサキのやわらかな葉とシャキッとした茎を、ふんわり卵と合わせた炒め物です。シンプルな味付けでも素材の風味が引き立ち、ご飯のおかずによく合います。
材料(2人分)
- ツルムラサキ 1束(約150〜200g)
- 卵 2個
- ごま油 大さじ1
- 塩 少々
- こしょう 少々
- しょうゆ 小さじ1
作り方
- ツルムラサキはよく洗い、太い茎と葉を分け、食べやすい長さに切る
- 卵はボウルに割り入れ、軽く溶きほぐす
- フライパンにごま油の半量を熱し、卵を流し入れ、半熟状になったら一度取り出す
- 残りのごま油を加え、先にツルムラサキの茎を炒め、少ししんなりしたら葉を加えてさらに炒める
- 卵を戻し入れ、塩、こしょう、しょうゆで味を調える。全体をさっと炒め合わせる
ツルムラサキと厚揚げの中華風炒め

ツルムラサキのぬめりと厚揚げの香ばしさを、オイスターソースのコクでまとめた中華風の炒め物です。ニンニクとごま油の風味が食欲をそそります。
材料(2人分)
- ツルムラサキ 1束(約150〜200g)
- 厚揚げ 1枚(約150g)
- ごま油 大さじ1
- ニンニク 1/2片(薄切り)
- オイスターソース 小さじ2
- しょうゆ 小さじ1
- 酒 小さじ1
- こしょう 少々
作り方
- ツルムラサキはよく洗い、太い茎と葉を分けて食べやすい長さに切る
- 厚揚げは熱湯をかけて油抜きし、一口大に切る
- フライパンにごま油を熱し、ニンニクを弱火で炒めて香りを出す
- 厚揚げを加え、表面にこんがり焼き色が付くまで炒める
- ツルムラサキの茎を加えて炒め、少ししんなりしたら葉を加える
- オイスターソース、しょうゆ、酒を加え、全体を手早く炒め合わせ、仕上げにこしょうを振る
ツルムラサキと万願寺唐辛子のオイルパスタ

ツルムラサキのぬめりと万願寺唐辛子のやさしい辛みを味わう夏野菜のオイルパスタ。ニンニクの香りを効かせ、野菜のおいしさを引き立てます。
材料(2人分)
- スパゲティ 160〜180g
- ツルムラサキ 1/2束(約100g)
- 万願寺唐辛子 3〜4本
- ニンニク 1片
- オリーブオイル 大さじ2
- 輪切り唐辛子 少々(お好みで)
- 塩 適量
- こしょう 少々
- しょうゆ 小さじ1
作り方
- ツルムラサキはよく洗い、茎と葉に分けて食べやすい長さに切り、万願寺唐辛子は輪切りにし、ニンニクは薄切りにする
- 鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩を加えてスパゲティを表示時間よりやや短めにゆでる
- フライパンにオリーブオイルとニンニクを入れて弱火にかけ、香りが出たら、好みで輪切り唐辛子を加える
- 先にツルムラサキの茎を炒め、少ししんなりしたら葉と万願寺唐辛子を加えてさっと炒める
- ゆで上がったスパゲティを加え、ゆで汁大さじ2〜3を加えて全体をなじませる
- 塩、こしょう、しょうゆで味を調え、全体を手早く混ぜ合わせる
ツルムラサキの栽培方法

ツルムラサキは暑さに強く、生育旺盛です。気温が高くなるほどよく育ち、つるを伸ばしながら次々に葉を増やすので、長期間収穫を楽しめます。家庭菜園やプランター栽培でも育てやすく、食べながら育てる緑のカーテンとしても人気が高まっています。
準備・土づくり
日当たりと水はけの良い場所を選び、種まきの2~3週間前までに堆肥(たいひ)と元肥を入れてよく耕しておきます。プランターの場合は、深めのものを使用し、野菜栽培用土を使うと手軽です。
種まき・植え付け
種まきの適期は5月頃です。気温が十分に上がってから種をまくのがポイント。早まきしても発芽しないため、5月以降を目安にしましょう。種は30cm間隔、深さ1cmほどの穴に2~3粒ずつまき、土をかぶせたら軽く水やりをします。
つるが伸びる前に、2m程度の支柱を立てるか園芸ネットを張るなどして誘引の準備をします。
管理・水やり
発芽して本葉が5~6枚になったら、生育の良い株を残して間引きします。乾燥を嫌うため、土が乾いたら朝夕の涼しい時間帯にたっぷり水やりをします。つるが伸びてきたら、支柱やネットに巻きつかせながら(誘引しながら)育てます。
収穫
7月頃、草丈が20〜30cmほどになったら、葉を5~6枚残して先端を切り取ります。その後、次々と伸びてくる脇芽のつる先を15cmほどで切って収穫するほか、やわらかい葉を適宜摘んで収穫します。追肥と水やりを続けることで、10月頃まで長期間収穫できます。
注意したい病害虫と対策
ツルムラサキは比較的育てやすい野菜ですが、高温期にはアブラムシやハダニが発生することがあります。特に風通しが悪く乾燥した環境では害虫が増えやすくなるため注意が必要です。アブラムシは新芽や葉裏に付きやすく、植物の汁を吸って生育を弱らせます。見つけたら早めに取り除き、株が混み合わないよう適度に収穫して風通しを良く保つことが予防につながります。ハダニは乾燥すると発生しやすく、葉に白い斑点が現れることがあります。葉裏に水をかけるようにして管理すると予防しやすくなります。
夏にうれしい!元気に育つぬめり野菜

ツルムラサキは、暑さに強く夏でも元気に育つ栄養豊富な葉物野菜です。独特のぬめりとやわらかな食感が特徴で、夏場の流通が少ないホウレンソウの代わりに、おひたしや炒め物、汁物など幅広い料理で楽しめます。家庭菜園でも育てやすく、緑のカーテンとして日陰をつくることもでき、収穫期間が長いのも魅力。緑の葉に紫の茎、粒状の白い花は目にも楽しく、鑑賞にもぴったりです。
暑い夏だからこそ元気に育つツルムラサキ。毎日の食卓にぬめりの力を借りてみてはいかがでしょう。

















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