被災地支援から始まった食品事業、売上高720億円規模へ急成長
アイリスグループは東日本大震災の被災地支援と農業の復興のため、2013年から食品(精米)事業に参入。2015年にはパックごはんの販売を開始するなど、事業領域を拡大してきた。
食品事業の売上高も着実な成長を続けており、2025年には売上高590億円を達成。2026年には前年比約22%増となる720億円の売上計画を掲げるまでに成長した。飛躍を支えてきたのが、資材生産から販売までをグループ内で担う下記の垂直統合体制である。
|
資材生産:株式会社アイリスプロダクト(福島県南相馬市)にてパックごはん用のトレーやフィルムを製造
調達・精米:アイリスアグリイノベーション株式会社が玄米の調達と精米を担当 加工:アイリスオーヤマ株式会社(宮城県角田市等)がパックごはんなどを製造 流通・販売:アイリスフーズ株式会社が全国への流通を担い、株式会社アイリスプラザなどがECサイトやホームセンターを通じて消費者に届ける |
つまり、今回の農業参入により、グループ内での一気通貫したサプライチェーンがより強固に構築され、市場への国産米の安定供給体制がさらに強化されることとなる。
将来的には輸出専用のパックごはん原料としての栽培も検討しており、新市場開拓米の作付面積拡大に直接貢献することを目指す。
担い手不足に挑む。農地の「リース方式」とグループ内人材の活用

高齢化と担い手不足が深刻化している農業だが、農林水産省によると、全国の農地の約3割で10年後の担い手が未定(※)という課題もある。
こうした状況に対し、同グループは農地中間管理機構(農地バンク)などを活用した「リース方式」で農地を積極的に借り受ける。アイリスアグリイノベーションの従業員が農作業に従事し、グループ内での社内公募制度を利用して農業従事メンバーを増員していく計画だ。これにより、地域の耕作放棄地問題を解消しつつ、確実な労働力の確保と組織的な農業経営の両立を図る。
初年度となる2026年度は、宮城県丸森町内で計約22haからスタート。栽培する品種は、耐暑性に優れる多収性品種である「にじのきらめき」が中心だ。収穫したコメは、国内向けのパックごはんの原料として全量活用する予定である。
5年後に200ha、将来1000haへ

今後について同グループは、段階的な規模拡大を掲げている。5年後の中期目標としては200ha。将来的には1000haを長期的な目標に掲げる。実現となれば、国内では有数の規模となる。
これらの農地を効率的に管理していくため、グループ企業の知見を生かして水・温度管理システムの開発を進めるとともに、ドローンやロボット技術の活用も視野に入れている。
同社の大山晃弘代表取締役社長は「農業の担い手不足や食料供給への不安といった日本社会が抱える課題に向き合い、食の安定供給への貢献を目的として、このたび農業分野へ参入いたしました。地域と連携し、持続可能で効率的な農業の実現に取り組むことで、日本の農業が直面する構造的課題の解決を目指します。社会課題解決を起点とした挑戦として、次世代につながる新たな農業モデルを発信していきます」とコメントした。
製造業から食品事業、そしてついに食料生産へとバリューチェーンを垂直統合したアイリスグループ。民間企業の組織力と技術開発力が日本の稲作経営にどのような変革をもたらすか、今後の展開が注目される。
※農林水産省「地域計画の策定状況(令和7年4月末時点)」(2025年9月)より















