コールラビとは?

コールラビ(Kohlrabi)は、アブラナ科アブラナ属の野菜で、キャベツやブロッコリー、カリフラワーなどの原種とされる「ヤセイカンラン」の変種のひとつです。名前の由来はドイツ語で、「コール(Kohl)」はキャベツ、「ラビ(Rabi)」はカブを意味します。日本語ではその茎の形状と、キャベツの和名の甘藍(カンラン)を合わせ、「球茎甘藍(キュウケイカンラン)」や「蕪甘藍(カブカンラン)」とも呼ばれます。
原産地は地中海沿岸地方。ヨーロッパではキッチンガーデンの定番野菜として古くから親しまれ、肥大した球茎部分を食用にします。日本へは明治時代初期に伝わりましたが、当時は食べ方が知られておらず、あまり普及しませんでした。近年、健康志向の高まりや珍しい野菜への関心を背景に、農産物直売所やオーガニックスーパーを中心に少しずつ広まっています。葉のある野菜ですが、出荷時にカットされて球茎だけで売られることが多く、葉つきで見かけることはほとんどありません。
コールラビの特徴

コールラビには、表面が薄い黄緑色のものと赤紫色のものがありますが、どちらも皮をむくと中身は淡いクリーム色で、味の違いはありません。どちらも直径5〜7cmのものが食べごろで、目安として8cmを超えると肉質が硬くなってしまうため、早めの収穫・購入がポイントです。
味と食感
生で食べるとキャベツのようにシャキシャキとした食感でみずみずしく、ほのかな甘みも感じられます。クセが少ないためサラダやピクルスに向いています。加熱するとカブに近いほっくりした食感と甘みが出て、和洋中どんな料理にも馴染む万能野菜です。
産地
世界的にはドイツで品種改良されて普及し、ヨーロッパ各国で広く栽培され、家庭菜園でも定番の野菜として親しまれています。
国内での生産量はまだ少なく流通も限られていますが、長野・茨城・千葉・埼玉などで栽培され、農産物直売所やマルシェ、ネット通販などで販売されています。なかでも特産化に力を入れているのが宮崎市の清武町で、2009年頃からブランド化の取り組みを進めています。
旬の時期
コールラビは年に2回、旬の時期があります。
ひとつは春〜初夏(5月〜6月ごろ)で、2〜3月に種をまき、春に収穫します。気温が上がる前に育つため、みずみずしくシャキシャキとした食感が楽しめるのがこの時期の魅力です。もうひとつは冬(11月〜12月ごろ)で、7〜9月に種をまき、冬に収穫します。寒さの中でじっくり育つ冬どりは糖度が上がり、甘みが増すのが特徴です。
栄養と効果

コールラビは同じアブラナ科の仲間であるキャベツと栄養成分の構成がよく似ています。注目すべきは、ビタミンCが淡色野菜の中でも豊富に含まれ、加熱しても栄養素が失われにくいことです。
ビタミンCやカリウム、葉酸などの水溶性栄養素は、一般的に加熱によって失われやすい性質を持っています。しかしコールラビは、ゆでた後の栄養素の損失率がキャベツと比べて非常に低いのが大きな特徴です。
加熱によるビタミンCの損失率は、キャベツ約58%に対してコールラビは17%。カリウムはキャベツ54%に対してコールラビ12%、葉酸はキャベツ38%に対してコールラビはわずか2.7%です。
※日本食品標準成分表2020年版<八訂>の数値をもとに算出。
ビタミンC
強い抗酸化作用を持ち、免疫力の維持や風邪予防に役立ちます。コラーゲンの生成を助けるため、肌の健康維持にも欠かせない栄養素です。また、鉄分の吸収を高める働きもあり、貧血予防にも効果的とされています。
カリウム
体内の余分なナトリウムを排出する働きがあり、高血圧の予防やむくみの改善に役立ちます。また、筋肉の収縮を助ける役割も担い、こむら返り(足がつること)の予防にも効果的とされています。
葉酸
細胞の生成や再生に欠かせないビタミンB群の一種で、特に妊娠初期の胎児の神経管閉鎖障害リスクを減らすとして知られています。赤血球の形成にも関わるため、貧血予防にも重要な栄養素です。
コールラビの下処理方法

コールラビはアクがないのでそのままカットして調理できます。皮は硬く筋張っているため、厚めにむくのがポイントです。
- 葉がついている場合は根元から切り落とし、球茎の上下の硬い部分をそれぞれカットします
- 皮を厚めにむきます。繊維の層が残らないよう、気持ち厚めにむきましょう
- 用途に合わせて切ります。生食の場合は薄切りや千切りに、炒め物・スープには乱切りや角切りにします。加熱する場合は大きめに切ると食感が楽しめます
※生で食べる場合は、切ったあとに塩もみして少し時間を置くと、余分な水分が抜けてサラダやあえ物に使いやすくなります。
保存方法
葉がついている場合は、そのままにすると球茎の栄養と水分が取られてしまい味が落ちるので、切り落としてから保存しましょう。冷蔵・冷凍・常温と保存方法を使い分けることで、鮮度を保ちながら無駄なく使いきれます。
冷蔵保存
葉を根元から切り落とし、球茎を新聞紙やキッチンペーパーで包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室へ。目安は3〜4日です。
冷凍保存
長期保存したい場合は冷凍も可能です。皮をむいて食べやすい大きさに切り、軽く塩もみしてから水気を拭き取り、保存袋に入れて冷凍します。水分の多い野菜は塩もみすることで水分が抜け、調理の下味にもなります。凍ったまま料理に使用しますが、解凍後は少し食感が柔らかくなるため、炒め物やスープに使うのがおすすめです。1カ月程度で使い切りましょう。
冬場は常温保存もOK
寒い冬場であれば、葉を根元から切り落としてから、冷暗所での常温保存も可能です。ただし乾燥しやすいため、新聞紙に包んで保存しましょう。
コールラビの食べ方・レシピ5選
コールラビはクセが少なく、生食から加熱調理まで幅広く楽しめる万能野菜です。和洋中いずれにも使えてボリュームも出せます。ここでは、シンプルな材料で手軽に作れる家庭料理のレシピを紹介します。
コールラビのカルパッチョ

見た目も華やかで、コールラビのシャキシャキとした食感とほのかな甘みをシンプルな味付けで楽しめます。紫色のコールラビは皮を少し残すように薄くむくと色味を生かせます。
材料(2人分)
- コールラビ 1/2個(約100g)
- パセリ 適量
- オリーブオイル 大さじ1
- レモン汁 小さじ2
- 塩 少々
- 粗びき黒こしょう 少々
作り方
- コールラビはよく洗って皮をむく
- スライサーまたは包丁でできるだけ薄くスライスする
- 皿にコールラビを円を描くように並べる
- オリーブオイルとレモン汁を全体に回しかける
- 塩と粗びき黒こしょうをふり、刻んだパセリを散らす
コールラビのきんぴら

コールラビのシャキシャキとした食感を楽しめる和風のおかずです。甘辛い味付けがコールラビのほのかな甘みとよく合い、ご飯のお供やお弁当のおかずにもおすすめです。
材料(2人分)
- コールラビ 1個(約200g)
- ニンジン 1/3本
- ごま油 大さじ1
- しょうゆ 大さじ1
- みりん 大さじ1
- 酒 大さじ1
- 白いりごま 適量
- 赤唐辛子(輪切り) 好みで少々
作り方
- コールラビとニンジンの皮をむき、5mm幅の細切りにする
- フライパンにごま油を熱し、先にニンジンを中火で炒める
- ニンジンが少ししんなりしたらコールラビを加えて炒め合わせる
- 全体に油が回ったら、しょうゆ、みりん、酒、好みで赤唐辛子を加える
- 汁気がほとんどなくなるまで炒め合わせる
- 器に盛り、白いりごまをふる
コールラビの豆乳ポタージュ(冷製可)

コールラビのやさしい甘みを豆乳のまろやかなコクで包み込んだポタージュです。温かいままでも、冷製スープにしてもおいしくいただけます。
材料(2人分)
- コールラビ 1個(約200g)
- 玉ねぎ 1/4個
- オリーブオイル 大さじ1/2
- 水 100ml
- コンソメ 小さじ1
- 無調整豆乳 200ml
- 塩 少々
- 黒こしょう 少々
- パセリ(みじん切り) 適量
作り方
- コールラビと玉ねぎの皮をむいて薄切りにする
- 鍋にオリーブオイルを熱し、玉ねぎをしんなりするまで炒める
- コールラビを加えて軽く炒め、水とコンソメを加える
- ふたをして弱めの中火で10〜15分ほど煮込み、コールラビがやわらかくなったら火を止める
- 粗熱を取り、ミキサーまたはハンドブレンダーでなめらかになるまで撹拌する
- 鍋に戻して豆乳を加え、沸騰させないよう弱火で温め、塩、黒こしょうで味を調える
- 冷製にする場合は、粗熱を取ってから冷蔵庫で冷やす
- 器に盛ってパセリを散らす
※紫色のコールラビを使う場合は、薄くむいた皮(分量外)を刻んでトッピングすると華やかに仕上がります。
コールラビと豚肉のトマト煮

コールラビのやさしい甘味と豚肉のうま味を楽しめる洋風の煮込み料理です。トマトの酸味が加わることで味に奥行きが生まれ、ご飯にもパンにもよく合います。
材料(2人分)
- コールラビ 1個(約200g)
- 豚こま切れ肉 150g
- 玉ねぎ 1/2個
- ニンニク 1片
- オリーブオイル 大さじ1
- カットトマト缶 200g
- 水 100ml
- コンソメ 小さじ1
- 塩 少々
- 黒こしょう 少々
- パセリ(みじん切り) 好みで適量
作り方
- コールラビは皮をむいて2cm角に切る。玉ねぎは薄切り、ニンニクはみじん切りにする
- 鍋または深めのフライパンにオリーブオイルを熱し、ニンニクを炒めて香りを出す
- 豚肉を加えて炒め、色が変わったら玉ねぎを加えてしんなりするまで炒める
- コールラビ、カットトマト、水、コンソメを加えて混ぜる
- ふたをして弱めの中火で15分ほど煮込み、コールラビがやわらかくなったら塩、黒こしょうで味を調える
- 器に盛り、好みでパセリを散らす
コールラビのガーリックソテー バルサミコ風味

コールラビの甘みとシャキシャキとした食感を楽しめるソテーです。ベーコンのうま味とニンニクの香り、バルサミコ酢で味が引き締まり、満足感のある一品に仕上がります。
材料(2人分)
- コールラビ 1個(約200g)
- ベーコン 2枚
- ニンニク 1片
- オリーブオイル 大さじ1
- バルサミコ酢 小さじ2
- 塩 少々
- 黒こしょう 少々
- パセリ(みじん切り) 適量
作り方
- コールラビは皮をむき、5〜7mm厚の半月切りまたはいちょう切りにする
- ベーコンは1cm幅に切り、ニンニクは薄切りにする
- フライパンにオリーブオイルとニンニクを入れ、弱火で香りを出す
- ベーコンを加えて炒め、焼き色が付いてきたらコールラビを加える
- コールラビの両面に軽く焼き色が付くまで中火で炒める
- 塩、黒こしょうで味を調え、バルサミコ酢を加えて全体に絡めながらさっと炒める
- 器に盛り、パセリを散らす
コールラビの栽培方法

コールラビは比較的暑さや寒さに強い野菜で、プランターでも栽培できます。種まきは春まきは2〜3月(収穫5〜6月)、秋まきは7〜9月(収穫10〜12月)に行います。種まきから収穫まで約60〜70日と、短期間で収穫できるのも魅力です。
準備・土づくり
日当たりがよく風通しの良い場所を選びます。地植えの場合は植え付けの2週間前までに苦土石灰と堆肥(たいひ)を混ぜ込んで元肥を施し、幅60cm程度の畝を立てます。プランターは深めのものに野菜用培養土を入れるだけで手軽に始められます。
種まき・植え付け
ポットに種をまいて育苗してから移植する方法がおすすめです。本葉が5枚前後になったら、30cm間隔で植え付けます。直まきも可能で、発芽後に間引きをしながら育てます。
管理・水やり
乾燥に弱いため、土が乾いたらたっぷり水やりをします。植え付け2~3週間後に追肥を行い、さらに2~3週間後に2回目の追肥を行います。追肥のたびに土寄せもしましょう。
収穫
種まきから60〜70日後、肥大した茎の直径が5〜7cmになったころが収穫の適期です。直径8cmを超えると肉質が硬くなったり、球茎が割れたりしてしまうので早めに収穫しましょう。収穫は株ごと引き抜き、葉と根を切り落とします。新鮮な葉は食べられるので、捨てずに調理するのがおすすめです。
注意したい病害虫と対策
アブラナ科野菜のため、アオムシ、コナガ、アブラムシなどの害虫が発生することがあります。種まきや植え付け後すぐに防虫ネットでトンネルをして、害虫が入らないようにします。防虫ネットの端をしっかり土で埋めて隙間をなくしましょう。また、同じ場所でのアブラナ科野菜の連作は避け、1〜2年あけるようにしましょう。
食卓に取り入れたい新顔野菜

コールラビは、見た目のユニークさとは裏腹に、クセがなく食べやすい野菜です。生ではシャキシャキとみずみずしく、加熱するとほっくり甘く、どんな料理にもすんなり馴染みます。漬物やピクルスなど保存食にも向いており、使い方は思った以上に幅広く、常備したくなる野菜です。ビタミンCや葉酸など加熱しても栄養が損なわれにくいのも、毎日の食卓に取り入れたい理由のひとつです。
さらに、種まきから約2カ月で収穫できるため、家庭菜園でも育てやすい野菜です。市販品では葉つきで出回ることは少ないですが、家庭菜園なら新鮮な葉も炒め物やスープに活用できます。プランターでも気軽に挑戦できるので、ベランダ菜園の候補にぜひ加えてみてください。

















読者の声を投稿する
読者の声を投稿するにはログインしてください。