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庭に南国フルーツがドッサリ! パパイア(パパイヤ)の栽培方法と、日本の気候でも大量収穫できる技術を農家が解説

庭に南国フルーツがドッサリ! パパイア(パパイヤ)の栽培方法と、日本の気候でも大量収穫できる技術を農家が解説

パパイアは大きな葉を空へ広げ、幹に実を鈴なりに付ける南国らしい植物である。青いうちはシャキシャキした野菜「青パパイア」として炒め物やサラダに使えるほか、熟せば濃厚で香り高い果物になる。しかも、春に植えた小さな苗が夏には人の背丈を超え、秋には収穫を迎えるほど成長が早い。また、果樹栽培で必要になる剪定や摘果などの難しい作業がほとんどなく、多くの人にとって育てやすい植物でもある。
スペースもそこまでとらないため、庭や家庭菜園で育ててみたいと思う人も多いだろう。ただし、条件が悪いと上手く生育せず、失敗しやすい植物でもある。筆者自身、栽培初年度は梅雨の長雨で根腐れを起こし、植えた苗をほぼ全滅させた経験がある。本記事では、パパイアそのものの基本的なことから、栽培で特に重要な日当たり、水はけ、温度管理などのポイントを解説する。また、青パパイアを確実に収穫する方法から、甘い完熟果を目指すための栽培・冬越しの工夫まで、農家目線で分かりやすく紹介していこう。
※本記事では、作物名を園芸学会での正式呼称である「パパイア」に統一している

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まずはここから!日本でパパイアを育てるための基礎知識

パパイアの木


パパイアは、メキシコからブラジルにかけての熱帯アメリカ原産の植物である。沖縄や南九州の一部では露地でも冬を越し、黄色く熟した果実まで収穫できることがある。しかし、本州の多くの地域では、冬の低温や霜が大きな壁になる。

そのため、本土でパパイアを育てる場合は、春に植えて秋までに青パパイアを収穫する一年生野菜として考えると失敗しにくい。まずは青パパイアを確実に収穫することを目標にし、冬越しや完熟果の収穫は、鉢植えやハウス栽培で次の段階として狙うのがおすすめである。

「青パパイア(野菜)」と「完熟パパイア(果物)」の違い

びっしりとつくパパイアの果実

びっしりとつくパパイアの果実

青パパイアと完熟パパイアは、基本的には同じ果実である。違うのは品種ではなく、収穫するタイミングと食べ方である。

青パパイアは、果皮が緑色で、果肉がまだ硬いうちに収穫する。細切りにするとシャキシャキした食感があり、炒め物、サラダ、漬物、煮物などに使いやすい。沖縄では昔から野菜として親しまれており、パパイアシリシリなどは沖縄県人のソウルフードである。筆者もパパイアシリシリで育ったので、とても大好きだ。

一方、完熟パパイアは、果皮が黄色からオレンジ色に変わり、果肉がやわらかくなってから食べる。甘みと香りが強く、品種によってはマンゴーやメロンを思わせる濃厚な味わいになる。

パパイアはフルーツで食べられる

パパイアはフルーツとして食べられる

ただし、完熟パパイアを収穫するには、果実が十分に大きくなった後も、暖かい時期が長く続く必要がある。本州では春に植えても、実が太る頃には秋の低温が近づき、熟す前に生育が止まってしまうことが少なくない。

パパイアが育つ基本条件と日本の気候の壁

立派に育つパパイア

立派に育つパパイア

パパイアを元気に育てるために欠かせない条件は、十分な温度、日当たり、水はけの3つである。どれか1つでも大きく欠けると、生育が鈍ったり、病気が出たり、実が付きにくくなったりする。

パパイアは、気温が25~30℃ほどの環境で特によく育つ。春先に気温が低いまま植えると、苗はなかなか大きくならず、根も十分に張れない。植え付けは、遅霜の心配がなくなり、最低気温が安定して15℃以上になってから行いたい。

また、パパイアは日光を好む果樹である。日当たりが悪い場所では、幹だけが細く伸びて倒れやすくなり、葉も小さく、花や果実も付きにくくなる。ただし、日当たりが良くても、風が強すぎる場所は注意が必要である。パパイアは葉が大きく、幹も木のように硬くないため、強風を受けると葉柄が折れたり、株全体が傾いたりする。台風が来る地域や風当たりの強い畑では、支柱や防風ネットを用意しておくと安心である。

そして、栽培で最も重要なのが水はけである。パパイアは生育が旺盛で、夏には多くの水を必要とする。しかし、根が常にぬれた状態になると酸素不足になり、根腐れを起こしやすい。根が傷むと、下葉が黄色くなり、生育が止まり、ひどい場合には幹の根元まで腐って枯れてしまう。

筆者も梅雨の長雨でほぼ全滅させた経験がある。とにかく根が水に浸かると一気に衰弱してしまうので、水はけは特に気をつけたい。畑では、高さ20~30cmほどの高畝に植えると、排水性を確保しやすい。特に粘土質の土や、雨の後に水たまりができる場所では、さらに畝を高くするか、水はけの良い傾斜地に植えたほうが無難である。鉢植えでは、水はけの良い培養土を使い、鉢皿にたまった水を放置しないことが大切である。

初心者におすすめの品種

パパイアの苗木(おすすめな品種)

パパイアの苗木(おすすめな品種)

パパイアは、品種によって果実の大きさ、実が付き始める位置、草丈の伸び方、完熟果の食味が大きく異なる。そのため、苗や種を選ぶ前に、青パパイアを収穫したいのか、甘い完熟果を食べたいのかを決めておくことが大切である。青パパイアとフルーツパパイアの兼用種もあり、初心者の方におすすめだ。

パパイアの品種一覧

色々なフルーツパパイア

色々なフルーツパパイア

以下の表に、筆者がこれまで食べたことがあるパパイアを紹介しておく。
計測した糖度、果実重量、感想を載せておくので、参考にしていただきたい。
なお、糖度計測については、一個体の計測であるため、本来は、ばらつきがあることを考慮して欲しい。

品種 参考糖度(Brix%) 果実重 感想
シンタ 10.0 1175g メロンに近い甘さにトロピカル感が加わる。味が濃く、後味も良い。
ドリームフルーツ 11.5 491g フローラルな香りと強い甘み。バンビーノに近い濃い味わいで、安定しておいしい。
トロピカルリッチ 10.8 965g 香りは比較的穏やかで、果肉はしっかり。クセが少なく食べやすい。
ハワイオウロ 12.6 389g 香りが良く、強い甘みがある。小型種の中でも特に高評価。
バンビーノ 13.0 356g 小玉ながら濃厚で、後味が強く広がる。香りは個性的で好みが分かれる。
レッドバレル 9.7 1238g メロンやウリ類を思わせる風味。パパイア特有の香りはやや強め。
台農2号 11.5 1116g 大玉ながら高評価。青パパイアとしてのおいしさも少し引き継ぐ味わい。
天煌 10.0 1600g レモンのようにフルーティー。メロンとスイカの中間のような風味。
煌月 12.0 684g 濃厚なのにパパイア特有の香りは穏やか。すっきりしていて初心者にも向く。
レッドレディ 13.1 未計測 メロンに近い濃厚な甘さ。やわらかく、パパイアらしい風味も残る。
石垣珊瑚 10.0 未計測 独特のウリ臭さが少なく、すっきり甘くて食べやすい。
シンタ

シンタ

ドリームフルーツ

ドリームフルーツ

トロピカルリッチ

トロピカルリッチ

ハワイオウロ

ハワイオウロ

レッドバレル

レッドバレル

天煌

天煌

煌月

煌月

石垣珊瑚_果実

石垣珊瑚

レッドレディ果実断面

レッドレディ果実断面(種無し)

苗木が手に入りやすい品種

以下では、苗木も手に入りやすく、初心者におすすめしたい品種を深掘りしていく。

台農2号

台農2号

台農2号

台農2号の果実断面

台農2号の果実断面

台農2号は、台湾で育成された代表的なパパイア品種であり、日本でも沖縄を中心に長く栽培されてきた。生育が旺盛で早生性があり、比較的低い位置から実が付きやすい。果実は1kg前後になる中玉から大玉タイプで、収量も期待しやすい品種である。

青いうちに収穫すれば、炒め物やサラダ、漬物に使いやすい青パパイアになる。一方、十分に暖かい環境で完熟させると、果肉は赤橙色になり、ジューシーで甘い果実としても楽しめる。青パパイアも食べたいが、できれば完熟果も狙ってみたいという人に向く、バランスの良い品種である。

サンライズ・ソロやハワイオウロ(ソロ種の改良種)

ハワイオウロの果実

ハワイオウロ

ハワイオウロ果実断面

ハワイオウロ果実断面

サンライズ・ソロ、ハワイオウロは、もともとハワイで育成されたフルーツパパイアの代表的な品種(および改良種)である。果実は台農2号より小ぶりで、食べ切りやすいサイズになりやすい。果肉は赤橙色で、甘みが強く、香りも良い。完熟パパイアを生食で楽しみたい人には、特に魅力のある品種である。

サンライズソロ

サンライズソロ種

また、ソロ系統は比較的早く花が咲き、低い位置から結実しやすい性質を持つ。実が高い場所に付きすぎないため、鉢植えや家庭菜園でも管理しやすい点は大きなメリットである。

バンビーノ

バンビーノ

バンビーノ

バンビーノ果実断面

バンビーノ果実断面

バンビーノは、300~400g程度の小玉になりやすく、家庭で食べ切りやすいフルーツパパイアである。大玉品種のように「1玉を食べ切るまで時間がかかる」ということが少なく、少人数の家庭や、複数品種を育てて食べ比べを楽しみたい人にも向く。

筆者が行ったフルーツパパイアの食べ比べでは、果実重356gのバンビーノで糖度13.0%を記録した。小玉ながら果肉の割合が高く、甘みが濃く、食後には強い余韻が残る印象であった。特に、完熟パパイアらしい濃厚な味を楽しみたい人にはおすすめできる品種である。

一方で、香りにはやや個性があり、パパイアらしい独特の風味を強く感じる場合がある。そのため、クセの少ないフルーツを求める人よりも、濃厚なトロピカルフルーツが好きな人に向く。青パパイアとして大量に利用するよりも、しっかり完熟させて、生食用のフルーツパパイアとして楽しみたい人におすすめしたい。

バンビーノの植え付け

バンビーノの植え付け

パパイア栽培の年間スケジュール【露地栽培編】

パパイアの栽培スケジュール

パパイアの栽培スケジュール

パパイアは熱帯性の植物であり、気温によって生育の進み方が大きく変わる。そのため、栽培暦は地域ごとに少しずつずれる。ここで紹介する流れは、筆者が住む沖縄などの霜が少ない温暖地での露地栽培を基本にした目安である。本州では冬を越すことが難しいため、春に植えて秋までに青パパイアを収穫する一年生栽培として考えるとよい。
栽培のスタートには、「春植え」と「秋植え」の2つのパターンがある。本州の一般的な家庭菜園では、春植えを基本にしよう。

春植えは、沖縄などの暖地では3~4月から始める。本州では遅霜の心配がなくなり、最低気温が安定して15℃を超える4~5月中旬頃が植え付けの目安かもしれない。植え付け1ヶ月前くらいから、完熟堆肥を土壌にすき込んでおく。1㎡当たり2~3kgほど施し、深さ20~30cmまでよく耕して土となじませる。植え付け時には、四方からくる風を防ぐ目的で、堆肥などが入った袋でカバーしておく。

植え付け時は,このようにカバーする

植え付け時は,このようにカバーする

植え付け後は、気温の上がる初夏から夏にかけて勢いよく生長する。夏の間は、土を極端に乾かさないように水を与えつつ、雨が続くときは株元に水がたまっていないかを確認する。苗が活着して新しい葉が伸び始めたら、窒素・リン酸・カリがほぼ同じ割合で入った肥料を少量ずつ与える。家庭菜園では、「8-8-8」や「10-10-10」などのバランス型の化成肥料が使いやすい。 目安としては、植え付け後1~2カ月は、1株当たり30~50g程度をだいたい3週間おきに与える。肥料は幹のすぐ近くではなく、株元から20~30cmほど離れた場所へまく。

パパイアは葉が大きく、株全体が風を受けやすい。7~10月頃は台風や強風の時期でもあるため、早めに支柱を立て、幹が揺れすぎないように支えておくと良い。

春に植えた株は、十分に育つと夏~秋頃から開花し始める。果実が付き始めたら、窒素だけを強く効かせる施肥は避けたい。窒素が多すぎると葉ばかりが茂り、果実の肥大や品質が安定しにくくなることがある。 結実後は、窒素とカリが同程度、またはカリをやや多めに含む肥料へ切り替えるとよい。青パパイアを収穫する栽培でも、果実をしっかり太らせるためにはカリが重要である。特に果実肥大期に肥料切れを起こすと、果実が小さいまま止まったり、形がそろわなかったりする。 目安としては、開花後から収穫期までは、1株当たり50~100g程度を3~4週間おきに与える。
ただし、肥沃な畑や堆肥を多く入れた畑、施設栽培で肥料が蓄積している土では、この量でも多すぎることがある。必ず葉色、生長の勢い、土の状態を見ながら加減してほしい。

本州では気温が下がる前に完熟まで進まないことが多い。そこで、11~12月頃からは、果実が十分な大きさになったものを青パパイアとして順次収穫する。霜が降りる地域では、低温で果実の肥大が止まる前に収穫を終えることが大切である。

沖縄などの暖地では、春植えした株を冬まで維持できれば、秋から冬に肥大した果実を翌年の1~4月頃に完熟果として収穫できる。ただし、冬の低温や長雨で株が弱ると、果実が太らなかったり、根腐れを起こしたりする。

一方で秋植えは、沖縄などの無霜地域で10~11月頃に植え付ける方法である。植えた株は冬の間にゆっくり根を張り、春から初夏にかけて大きく生長する。その後、初夏から夏に開花し、夏から秋に果実が肥大する。順調に育てば、年末頃には完熟果を収穫できる。

パパイア栽培では、栽培暦をそのまま当てはめるのではなく、自分の地域で、いつ霜が降りるか、いつから最低気温が15℃を超えるかを基準に調整することが大切である。特に本州では、植え付けを急ぎすぎず、暖かくなってから一気に育てることをおすすめする。

微量要素も重要。特にマグネシウムとホウ素に注意

パパイアは、窒素・リン酸・カリだけでなく、マグネシウム、ホウ素、マンガン、亜鉛、鉄などの微量要素も必要とする。そのため、家庭菜園では、苦土入りの化成肥料や、微量要素入りの果樹・野菜用肥料を選ぶと管理しやすい。 特にホウ素が不足すると、果実の表面がゴツゴツしたり、変形したりすることがある。しかし、ホウ素は不足すると障害が出る一方で、多すぎても植物を傷めやすい成分である。自己判断でホウ砂などを多量に与えるのは危険なので、基本的には微量要素入り肥料を通常量使う程度にとどめたい。

パパイア栽培の年間スケジュール【鉢植え編】

春から秋までの基本的な流れは、露地栽培と同じである。ただし、鉢植えは土の量が限られるため、水切れと肥料切れが起こりやすい点に注意したい。

3~4月頃は、苗の植えつけ、前年から冬越した株の植え替えなどを行う時期である。パパイアは気温が低いと根が動きにくいため、植えつけなどは最低気温が上がり、新しい葉が動き始めてから行う。

4月後半~5月頃になり、遅霜の心配がなくなったら、鉢を屋外へ出す。いきなり強い日光に当てると、室内で育った葉が葉焼けを起こすことがある。最初の数日間は半日陰で慣らし、徐々に日当たりの良い場所へ移動すると安全である。
6~9月は、パパイアが最も勢いよく生長する時期である。できるだけ日光が当たる場所に置き、土の表面が乾いたら鉢底から水が流れるまでしっかり水を与える。真夏には、鉢の大きさや株の生育状況によっては、毎日の水やりが必要である。生育期は、少量ずつ定期的に追肥を行う。

10~11頃からは、気温の低下に合わせて冬越しの準備を始める。最低気温が15℃を下回る日が増えてきたら、夜間だけでも室内や温室へ取り込むことを検討したい。屋外に置いたまま急に寒さへ当てると、葉が黄化し、根の働きも大きく落ちる。本州では、最低気温が10℃を下回る前に、明るい室内、温室、サンルームなどへ移動する。この時、果実がある程度大きくなっていれば、青パパイアとして収穫しよう。

プランターで育てる場合の用土選びと鉢のサイズ

パパイアは鉢でも栽培できる

パパイアは鉢でも栽培できる

パパイアを鉢植えで育てる場合、肥沃な土と水はけが良いものを選びたい。市販の野菜用培養土や果樹用培養土でも十分に生育するが、そこに、鹿沼土を2割程度混ぜると、生育の良い土になる。苗が小さいうちは、3~5号鉢程度で育てる。パパイアは夏に急速に根を張るため、根が鉢の中を回り始めたら、早めに一回り大きな鉢へ植え替える必要がある。根詰まりすると、水を与えてもすぐにしおれたり、新しい葉が小さくなったり、果実が太らなかったりする。

収穫時には、最低でも10号のサイズにしておきたい。可能であれば、最終的に12~15号鉢、または40~60L程度の大型プランターを用意しておこう。本州で冬越しを前提にする場合は、大きすぎる鉢では移動が困難になるため、キャスター付きの鉢台を使うと便利である。

最大の難関!パパイアの「冬越し」マニュアル

本州でパパイアを育てる場合、最大の難関になるのが冬越しである。パパイアは熱帯性の植物であり、霜には耐えられない。気温が下がると生育は急激に鈍り、根の働きも落ちる。
本州で完熟パパイアまで狙うなら、大型鉢で育て、冬だけ室内や温室へ移動する方法が現実的である。露地植えした株をビニールや不織布だけで冬越しさせる方法もあるが、無霜地域を除けば成功率は高くない。特に霜が降りる地域では、露地越冬を狙わず、春に植えて秋までに青パパイアを収穫する一年生栽培として考えたほうが安全だ。

冬越しの目標は「最低気温10℃以上、できれば15℃以上」

家庭で冬越させる場合は、最低気温が10℃を下回らない場所を確保したい。できれば15℃前後を保てる環境が理想である。 屋外の最低気温が15℃を下回る日が増えてきたら、冬越しの準備を始める。本州では地域にもよるが、10月下旬から11月頃が目安になる。寒波が来てから慌てて取り込むのではなく、冷え込みが本格化する前に、明るい室内や温室へ移動させよう。

置き場所は、日当たりの良い南向きの窓際やサンルーム、加温温室などが向いている。ただし、窓際は夜間に冷え込みやすいことがある。また、暖房の温風が直接当たる場所も避けたい。葉が急激に乾燥し、葉先が傷んだり、ハダニが発生したりする原因になる。暖かさだけでなく、明るさと適度な湿度も意識して管理することが大切である。

冬の水やりは、土の中まで乾いてから

冬越しで最も多い失敗は、水の与えすぎによる根腐れである。冬は気温が低く、根の吸水量が大きく落ちる。夏と同じ感覚で水を与えると、鉢の中がいつまでも湿った状態になり、根が酸素不足になる。

水やりは、土の表面が乾いたかどうかだけで判断せず、土を指で軽く2~3cmほど掘って、中まで乾いていることを確認してから与える。ただし、冬だからといって完全に断水してはいけない。葉が残っている株は、冬でも少しずつ水を与えてあげる。

肥料は原則として止める

冬は根の働きが鈍るため、新芽がほとんど伸びていない株には追肥をしない。肥料を吸えない状態で施肥すると、鉢の中に肥料分が残り、根を傷める原因になる。 冬の間は株を無理に大きくしようとせず、春まで健康な状態を維持することを最優先にする。

春に屋外へ戻すときは、急な環境変化を避ける

春になり、最低気温が安定して15℃以上になったら、少しずつ屋外へ戻していく。冬の室内で育った葉は、急に強い直射日光に当てると葉焼けを起こしやすい。 最初の数日は明るい日陰や半日陰に置き、徐々に日光へ慣らす。1週間ほどかけて屋外の光と風へ順応させてから、日当たりの良い場所へ移動するとよい。

パパイア栽培で気を付けたい病害虫と生理障害

パパイアの栽培で、特に注意したいのは、アブラムシ、カイガラムシ、ハダニなどの吸汁性害虫である。また、パパイアは根腐れに弱く、梅雨の長雨や水はけの悪い土では、害虫より先に株そのものが弱ってしまうこともある。病害虫対策では、週に1回は新芽、葉裏、幹の根元を観察し、異常を早く見つけることが大切である。

袋がけは色々な害虫から果実を守るために効果的である

袋がけは色々な害虫から果実を守るために効果的である

アブラムシ

アブラムシは、新芽、若い葉、花の付け根などに集まり、植物の汁を吸う害虫である。発生すると、新しい葉が縮れたり、葉が内側へ巻いたり、生育が止まったりする。葉の表面や葉裏にベタベタした液が付く場合もある。

パパイアでアブラムシを特に警戒したい理由は、吸汁被害そのものだけではない。アブラムシは、パパイア輪点ウイルスなどのウイルス病を媒介することがある。ウイルス病にかかると、葉にモザイク状の色むらが出る、葉脈の間が黄化する、新葉が縮れる、株全体の勢いが落ちるといった症状が現れる。

軽い発生であれば、葉裏から水を勢いよく当てて洗い流す、虫が集中している葉を取り除くなどの方法で、初期の増殖を抑えやすい。ただし、ウイルス病が疑われる株は、肥料や薬で回復させようとせず、周囲の株へ広げないことを優先したい。明らかに症状が進んだ株は、アブラムシを減らしてから抜き取り、園外へ処分する。

カイガラムシ

葉にびっしりとつくカイガラムシ

葉にびっしりとつくカイガラムシ

カイガラムシ(コナカイガラムシ)類は、葉柄の付け根、葉の裏、果実のヘタ周辺などに付きやすい。白い綿のような虫が集まっている場合はコナカイガラムシ、茶色や白っぽい殻のようなものが張り付いている場合はカイガラムシを疑う。

発生初期には、数が少ないうちに取り除くことが重要である。少量であれば、濡らした布や歯ブラシなどでこすり落とすことができる。被害が集中した葉柄や葉は切り取り、虫を残さないように処分する。

カイガラムシ類は排せつ物によって葉や果実がベタつき、そこへ黒いすす状の菌が増えることがある。これを放置すると葉が汚れ、光合成が落ち、果実の見た目も悪くなる。特に株が込み合い、風通しが悪い場所では増えやすいため、古くなった下葉や傷んだ葉を早めに取り除き、幹の周囲へ風が通る状態を保ちたい。

発生が広がった場合は、パパイアに登録のある農薬を使う。農薬を使う際は、対象害虫だけでなく、作物名が「パパイヤ」として登録されているか、収穫前日数、使用回数を必ず確認する。

筆者は、苗がまだ小さいうちには、忌避目的で、定期的に木酢液の1000倍希釈液を散布していた。

木酢液の希釈液を散布する筆者

木酢液の希釈液を散布する筆者

ハダニ

ハダニは高温で乾燥した時期に増えやすい害虫である。葉の表面が白くかすれたようになり、葉裏を見ると小さな点状の虫が確認できることがある。被害が進むと葉が黄化し、早く落葉する。特に、冬に室内へ取り込んだ株は、暖房による乾燥でハダニが増えやすい。

コナジラミ

コナジラミは、葉を揺らすと白い小さな虫がふわっと飛び立つ害虫である。葉裏に集まり、汁を吸って生育を弱らせる。アブラムシやカイガラムシと同じく、早い段階で葉裏を確認し、少数のうちに被害葉を除去することが大切である。

スリップス

レッドバレル種のスリップス被害

レッドバレル種のスリップス被害

スリップスは、花や新葉、幼果に集まりやすい非常に小さな害虫である。果実が小さい時期に吸汁されると、果皮にかすれた傷や褐色の汚れが残り、果実が大きくなってからも外観の傷として目立つことがある。食味への影響が小さくても、せっかく完熟させた果実の見た目が悪くなるため、早めの対策が重要である。

根腐れ・幹腐れ

パパイア栽培で特に怖いのが、過湿による根腐れや幹の根元の腐敗である。梅雨の長雨、排水不良、鉢皿にたまった水の放置などが原因になる。

症状としては、下葉から黄色くなる、土が湿っているのに昼間しおれる、新葉が小さくなる、幹の根元が黒っぽく柔らかくなるといった状態が見られる。このような症状が出たとき、肥料不足だと思って追肥すると、さらに根を傷めることがある。

まずは水やりを止め、土の乾き方と株元の状態を確認する。鉢植えでは鉢皿の水を捨て、雨の当たらない場所へ移動する。露地では、株の周囲に水がたまっていないかを確認し、必要なら排水溝を切る。根腐れを防ぐには、発生してから対処するよりも、植え付け前から高畝や水はけの良い土を用意することが最も重要である。

ウイルス病

葉に濃淡のあるモザイク模様が出る、葉脈の周囲が黄化する、新葉が極端に縮れる、株全体が小さくまとまってしまう場合は、ウイルス病を疑う。果実が付いている株では、果皮に輪のような模様が出ることもある。
ウイルス病は、発病後に薬剤で治すことはできない。症状が軽いうちは肥料不足や害虫被害にも見えるため判断が難しいが、複数の新葉に同じ異常が続く場合は注意したい。

疑わしい株を放置すると、アブラムシなどを通じて周囲の健康な株へ広がる可能性がある。明らかにウイルス病が疑われる場合は、アブラムシ対策を行った上で株を抜き取り、畑や鉢の近くに残さないようにする。

最高のタイミングを見極める!収穫・追熟・保存のすべて

パパイアは収穫するタイミングによって「野菜」にも「果物」にもなる。青パパイアとして使う場合は、果実が十分に太った段階で緑のまま収穫する。一方、完熟果として楽しむ場合は、果皮が黄色くなり始めた時期を見極めることが大切である。

青パパイアとして収穫する時期とベストなサイズ感

まるまる太ってから収穫する

まるまる太ってから収穫する

青パパイアは、果皮が濃い緑色のまま、果肉が硬いうちに収穫する。ただし、まだ小さすぎる果実を取ると、可食部が少なく、皮をむいた後に残る量も少ない。料理に使うなら、品種本来の大きさに近づき、肩の部分がしっかり張ってきた果実を選びたい。

目安としては、果実が手のひらより十分に大きくなり、持ったときにずっしり重く感じる段階である。表面は濃い緑色で、押してもほとんどへこまず、果肉がしっかり硬い状態が青パパイアとして使いやすい。

収穫するときは、果実をグリッと回して外すことができる。また、丁寧に取りたい場合には、片手で支えながら、ハサミやナイフで果梗を切っても良い。パパイアは収穫時に白い乳液が出ることがあり、肌の弱い人はかぶれる場合もあるので注意する。

白い液体が出るので注意

白い液体が出るので注意

完熟パパイアを目指す場合の色の変化と見極め方

このくらい色がついた時がベスト

完熟パパイアとして収穫する場合は、果皮の色の変化を見る。最初は濃い緑色だった果皮に、果実の先端側や側面から黄色い色が出始める。この色が抜け始めた状態だと、収穫後に追熟して、とても美味しく食べられる。
食べ頃は、果皮のほとんどが、黄色からオレンジ色になり、指で軽く押すと少し弾力を感じる頃である。果肉の色は品種によって異なり、黄色、オレンジ色、赤橙色などになる。サンライズ・ソロや台農2号などでは、果肉が鮮やかな橙色から赤橙色になり、香りも強くなる。

収穫後の保存方法と、完熟させるための「追熟」ライフハック

完熟を目指して収穫したパパイアは、冷蔵庫に入れず、室温で直射日光の当たらない場所に置いておく。追熟中の置き場所は、暑すぎず寒すぎない場所がよい。目安としては、20~25℃程度の室温が扱いやすい。エアコンの風が直接当たる場所、日光で高温になる窓辺、冷え込みやすい玄関などは避けたい。

早く追熟させたい場合は、紙袋にパパイアを入れ、バナナやリンゴを一緒に入れる方法が使える。バナナやリンゴから出るエチレンという植物ホルモンの作用で、果皮の黄化や果肉の軟化が進みやすくなる。

食べ頃になったパパイアは、丸ごとなら冷蔵庫の野菜室で保存する。完熟した果実は傷みやすいため、できれば4~7日以内に食べ切りたい。カットしたパパイアは、種を取り除いてラップで包むか、密閉容器へ入れ、冷蔵庫で保存する。カット後は風味が落ちやすいため、2~3日以内に食べるのがおすすめだ。

青パパイアとして収穫した果実は、できるだけ早めに料理に使う。すぐ使わない場合は、皮をむき、パパイアシリシリ用のサイズにカットして冷凍保存すると、かなり長期間保存できる。

青パパイアを100%美味しく食べる下処理

青パパイアは、そのまま切って使うと、白い乳液による青臭さや苦み、独特のえぐみを感じることがある。しかし、下処理をきちんと行えば、シャキシャキした食感が際立ち、炒め物、サラダ、漬物、煮物などに使いやすい食材になる。
まず、カットしたパパイアをたっぷりの水に5~10分ほどさらす。これにより、切り口に残った乳液や青臭さが抜けやすくなる。苦みやえぐみが気になる場合は、水を一度替えて、さらに数分さらしてもよい。ただし、長時間水にさらしすぎると、せっかくの食感が弱くなりやすいため注意したい。

よりシャキシャキした食感に仕上げたい場合は、水にさらした後、軽く塩を振ってもみ込む方法がおすすめである。5分ほど置くと水分が出てくるため、その後にさっと水で洗い、しっかり水気をしぼる。このひと手間で、青臭さが抜け、炒めてもベチャッとしにくくなる。

サラダに使う場合は、塩もみ後に氷水へ短時間さらすと、さらにパリッとした食感が出る。炒め物に使う場合は、水気をできるだけしっかり切ってから加熱することが大切である。水分が多く残っていると、炒めたときに水っぽくなり、香ばしさが出にくくなる。

下処理した青パパイアは、豚肉やツナ、卵など、うま味のある食材と相性が良い。油ともよく合うため、炒め物にすると独特の青臭さがやわらぎ、初めて食べる人でも食べやすい。

パパイア栽培に関してよくいただく質問

Q1 花は咲くのに実が付きません。原因は何ですか?

パパイアには、雄株、雌株、両性花株がある。雄株は長い花柄の先に小さな花をたくさん付けるが、基本的には果実を収穫できない。雌株は果実になるふくらみを持つ花を咲かせ、単為結果するものも多い。ホームセンターで販売されている苗は、雌株あるいは両性花株で一本で結実しやすいタイプが多いが、タネから自分で育てるものだと、雄株が発生する可能性がある。

また、気温が低かったり、日照不足や根詰まり、肥料の与えすぎなどでも、花が落ちたり、結実しにくくなったりする。

Q2 人工授粉は必要ですか?

近年は雌株一本でなるものが多く、人工授粉が必要ないものもある。一方で品種によっては、雄株の花粉が必要になるものもある。その場合は、人工授粉をしても良いが、雄花の花粉が必要な品種では、人工授粉を行うと結実を確実にしやすい。露地栽培では、訪花昆虫によって受粉する場合もある。

Q3 実が大きくならず、小さいまま止まってしまいます。

果実の肥大が止まる原因には、低温、日照不足、水分不足、根詰まり、肥料切れなどがある。特に本州では、秋に気温が下がると果実の生長が鈍り、十分に太る前に止まってしまうことが多い。

また、鉢植えでは根詰まりによって水と肥料を吸えなくなり、果実が大きくならないことがある。鉢底から根が多く出ている、水を与えてもすぐにしおれる、新しい葉が小さいといった場合は、根詰まりを疑いたい。

果実を大きく育てるためには、生育期に十分な日光を当て、水切れを防ぎ、少量ずつ追肥することが基本になる。ただし、土が過湿になっている場合は、肥料より排水対策を優先する。

Q4 食べたパパイアの種から育てても実は付きますか?

種から育てることは可能である。ただし、果実から採った種は、親株と同じ性質になるとは限らない。果実の形、大きさ、食味も元の果実とは異なる場合がある。雄株が出ることもあり果実が付かないこともある。

Q5 パパイアは剪定したほうがよいですか?

パパイアは、果樹のように本格的な剪定を行う必要はない。基本的には、黄色くなった下葉、傷んだ葉、病害虫が付いた葉を取り除く程度でよい。背が高くなりすぎた場合、途中で強く切り戻しても良い。

パパイアの切り戻し更新

パパイアの切り戻し更新

ただし、パパイアは結実までが早いため、植え直しができる場合には、植え直しを勧める。
ちなみに、台湾では、剪定ではないが、パパイアの木を曲げて栽培している。沖縄でも十分可能であるので、剪定よりも曲げて高さを抑えるとよい。

台湾でのパパイア栽培

台湾でのパパイア栽培

まとめ

パパイアは、南国の果物というイメージが強いが、実は家庭菜園でも育てやすい植物である。春になるとホームセンターや園芸店で苗を見かけることも多く、種からではなく苗から始めれば、初めてでも栽培のハードルはそれほど高くない。植え付けから収穫までが早いのも魅力である。青パパイアは、炒め物やサラダ、漬物など幅広い料理に使える。自分で育てたものを収穫して食べると、市販品ではなかなか味わえない新鮮なシャキシャキ感を楽しめる。さらに、冬越しに成功すれば、翌年には甘く香り高い完熟パパイアを目指す楽しみも広がる。あまり難しく考えすぎずに、気軽に挑戦してほしい果樹の一つである。

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