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初期費用は数百円~。生ゴミを極上の肥料に変える「ダンボールコンポスト」の作り方

初期費用は数百円~。生ゴミを極上の肥料に変える「ダンボールコンポスト」の作り方

資材や肥料の価格高騰は、家庭菜園を楽しむ方にとって切実な問題です。しかし、家庭で食べる野菜を作る程度であれば、その肥料は「生ごみ」にひと手間加えるだけで、まかなうことができるのをご存じでしょうか。

生ごみは単に燃やして処分するものではなく、土壌に還して循環させるもの。それを比較的難しくない方法で体験することができるのが、今回ご紹介する『ダンボールコンポスト』です。
家庭での野菜づくりに役立ち、環境にも優しいたい肥づくりの方法を詳しく解説します。

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ダンボールコンポストとは

ダンボールコンポストとは、ダンボール箱と家庭から出る生ごみを使った肥料づくりの仕組みのこと。専門的に表現すると「好気発酵で作る土壌改良微生物資材(たい肥)」を指します。

生ごみ(窒素分メインの栄養)と適度な酸素(通気性の良いダンボールと一日一回の撹拌)によって微生物が活発に働くことで完成する微生物資材といえます。

市販の微生物資材は高価なものが多い中、身近な道具を使って比較的安価に自作できます。

なぜ今「ダンボールコンポスト」なのか?3つのメリット

費用は数百円程度。手軽に始められる

生ごみ、土、米ぬかを使用した完成間近のダンボールコンポスト
通販などの梱包資材に使われるダンボール箱を容器として利用するため、初期費用はほとんどかかりません。新聞や紙類などを底に敷き、その上に生ごみを乗せるための基材として土(腐葉土、たっぷりあるようならコーヒーかすでも代用可能)を投入。分解発酵促進のための資材(米ぬか、落ち葉など)を生ごみに振りかけ、通気性のある布類(洗濯ネット、不織布、処分可能なTシャツ類など)で覆うだけで準備完了です。

家庭にあるものをうまく活用すれば、持ち出しは数百円程度で済むでしょう。

土壌の微生物相を豊かにする「自家製たい肥」の力【化学肥料との違い】

生ごみで作ったダンボールコンポストを撒いた土壌。完熟した完成たい肥を使用しないと一発で枯れてしまうウリ科野菜が順調に育っている微生物が活躍の有機土壌

生ごみを活用したダンボールコンポストは、環境に影響を及ぼすメタンガスを発生させずに、有機物を分解する多様な微生物を増やすことができます。

化学肥料とは異なり、手作りのたい肥は速効性こそないものの、ゆっくり長く効く養分となり、土中の微生物を増やす役割を担います。微生物のエサとして、生ごみに含まれる若干の栄養が有用なのです。

失敗してもやり直しやすいという心理的ハードルの低さ

虫が寄ってこないように洗濯ネットで対策したダンボールコンポスト。サイズ違い三種の様子
もともとは処分前提であることが多い生ごみ。たい肥化に失敗したとしても、いつも通り指定日に処分すれば問題ありません。
「失敗しても大丈夫」という気楽さから始められ、慣れてくれば「生ごみをゴミとして捨てるのが当たり前」という意識から「資源として活用する」という環境に優しい暮らしへシフトできます。

必要な材料と初期費用

基本の材料リスト

◆ダンボール

ダンボールコンポストに使用しているダンボール写真
通販利用時のダンボールなどを利用します。フタ部分は密閉しないため、受け口だけの型のダンボールでも、ネットや布をかぶせれば使用可能です。
500g〜1kg程度の内容量サイズでも実践可能。その場合、生ごみの投入は一回程度で完成させましょう。

◆底敷き用の紙や布(新聞紙、梱包紙、古タオルなど)

通販の梱包に使われていた紙で、生ごみの余分な水分を吸収する
ダンボールの底に敷き、余分な水分の吸収と通気性の確保を行います。紙類がどうしてもなければ、使い古したタオルやTシャツなど廃棄してもよい布類を使用してください。

◆生ごみ(最低でも500g程度)

ダンボールコンポストで失敗しづらい適量の生ごみ
微生物の分解活動を促すため、最低でも500gを用意しましょう。微生物活性のために生ごみ以外の発酵促進剤を利用できるようならば、生ごみはひとつかみ程度からでも始められます。

◆基材となる土(腐葉土、培養土など)

栽培済みの培養土。肥料分ほぼゼロの状態からダンボールコンポストの基材として再利用
ダンボールの底に紙を敷き、その上に『基材』と呼ばれる土を置きます。これが生ごみを分解する微生物の住処となります。

市販の園芸用土や腐葉土などが使いやすくておすすめ。ピートモス(酸性)やくん炭(アルカリ性)などの調整用資材も使えますが、特性が偏るため注意が必要です。

コーヒーかすを乾燥させたものが大量にあれば、土の代わりに基材として使用することも可能です。
生ごみを分解する際に発生する発酵熱で太陽光消毒のような効果が得られるため、土の内容にそこまで神経質になりすぎることもありません。

◆発酵促進のための米ぬかや鶏ふんなど

窒素分が多い生の米ぬかを使うと分解発酵が速い
完成までに時間を要しますが、これらがなくてもたい肥を作ることはできます。早く仕上げたい場合には、用意するのがおすすめ。鶏ふんや米ぬかのほか、表面がツヤツヤしていない落ち葉や生暖かいごはん一握り程度を使うことでもカビを発生させることができます。この際、カラフルなカビが出ますが、『土着菌』と呼ばれる扱いやすい菌なので心配ありません。

生ごみにカビが生えて、分解を進めている様子
鶏ふんを発酵促進剤として利用する際は臭いが出やすいため、それが嫌だったり、近隣へ迷惑がかかりそうな場合は使用を避けるのが無難です。生ごみの水分量にだけ注意して、真っ白のカビが生えてくるのを待ちましょう。

【菜園士直伝】プロが推奨する配合例(生ごみ500gの場合)

◆土などの基材:500g(約2/3程度を基材として敷き、残りを生ごみに被覆)
◆米ぬかなど発酵促進剤:ひとつかみ程度(生ごみにふりかける)
◆その他:コーヒーかす、お茶の出がらし、飲み終えた紅茶葉など。コーヒーには消臭効果があり、虫よけにも役立ちます。
ピートモス、くん炭、バーミキュライトなどの土壌改良資材も100〜200g程度使用するのも問題ありません。

失敗しないダンボールコンポストの作り方

ステップ①: 水分調整

堆肥づくりで最も重要なのが水分量です。 水分が少なすぎても発酵(分解)は進みません。
初期は特に、水分過多の状態に注意しましょう。
生ごみを絞って水分がこぼれ落ちるようならば水分過多の状態。水分が多いと嫌気性に傾いて腐敗しやすいので注意が必要
絞ったときにポタポタと水分がこぼれ落ちるようならば、水分が多すぎる状態です。
これでは堆肥が腐ってしまう可能性が高くなりますので、水分が多い生ごみの場合は水切りして下さい。

握ったり、潰したりしてだんご状になる(バラバラと崩れない)程度の水分量が理想です。

生ごみの水分量を調整している様子

水切りグッズを使う


溜まった水分は液肥として使用できます。
匂いや見た目の汚物感に嫌悪感がない場合は500倍〜1000倍程度希釈して使って下さい。

新聞紙の上で生ごみの水切りをしている様子

新聞や梱包の紙などを使って水分を吸わせる


生ごみをネットで水切りをしている様子

洗濯ネット、三角コーナーの水切りネットなどをうまく利用して水を切る

虫が苦手な方は、生ごみの水切りをする際に、ハエが卵を産み付けないよう注意して下さい。
紙を使った水切りの場合でも、目の細かいネットで覆っておくか、廃棄できるTシャツ、タオルなどの通気性がある布類で覆っておくことがおすすめです。
100円ショップで購入できるランドリーネットの利用も便利です。

水分量が適切になった生ごみをダンボールコンポスト内の基材の上に乗せ、そこに発酵促進剤をふりかけてカビの発生を待ちましょう。

ステップ②: カビの種類に注意

白カビが発生。分解発酵が順調にスタートし、進んでいる状態の生ごみ

カビが発生するまでは、内容物をあまりいじりません。

白カビは上手に発酵、分解が進んでいる状態です。部分的に少し出たあとは徐々に広がっていきます。

全体的にカビが広がりつつある段階で、基材と生ごみを混ぜます。生ごみが底に付着しないのが理想ですが、一日〜二日に一回程度かき混ぜる際に、底になってしまった生ごみがある場合は底に固定しないように混ぜ込めばOKです。

途中で緑色のカビ(青カビ)や灰色のカビ、黒色のカビなどが出ることがあります。

緑色のカビが出た生ごみ

緑色のカビが出た生ごみ。水分量の多さと酸素の少なさが原因で出やすい

これらは水分量が多すぎたり、酸素が少なかったりすると出やすいです。
緑色のカビなどは最終的には土に還りますが、置かれた環境によっては悪さをするカビもあるため、見分けがつかない場合は処分をおすすめします。

ステップ③:コロコロしてくる

分解が進んでいくと、コロコロとした状態になってくる
写真のように、内容物がコロコロとした状態になってきます。順調に発酵、分解が進んでいる目安になります。

コロコロのなかに水分量が多い生ごみが包まれたままだと緑色の扱いづらいカビが出ますので、コロコロを少し崩して確認します(バラバラ、粉々にする必要はありません)。

分解の熱が出るため、ほかほかとした温度や香りを感じます。

ステップ④: 内容物が乾燥しないように管理

分解が進んでいく途中で水分不足になることもあります
分解熱が出たあと、そのまま乾燥させてしまうと発酵、分解がストップしてしまうので、カラカラにならないように管理します。
分解発酵のペースをあげたい場合は『油分』『塩分』『糖分』が多いものを投入して水分量を少し増やすのがおすすめです。

この段階で、さらに基材と生ごみをミルフィーユ状に重ねてもよいです。
何回かミルフィーユを重ねて、生ごみを最後に投入してから一ヶ月ほどで完成です(夏場の場合)。冬は分解が遅くなるので、二ヶ月〜三ヶ月かかります。
何層の生ごみを入れるかによって完成までの期間が変わりますので、すぐに使いたい場合は一回の投入で完成させましょう。

虫や臭いの発生を抑えるには?

コンポストの悩みで多いのが「虫」と「臭い」です。これらは事前に対策することで大幅に軽減できます。

虫に関しては、コンポストの中で卵がかえって湧いてしまう虫と、臭いに寄ってくる虫の2つに大別できます。ハエなどの害虫に卵を産ませない(寄せ付けない)ことと、その後コンポストのフタを開けっぱなしにしないように注意してみて下さい。

100均で購入できる洗濯ネット。ダンボールコンポストに虫が入らない対策として有用

100均グッズの洗濯ネットなどを利用して、ダンボールコンポストの口を開けっ放しにしないようにします

虫が湧いてしまったら石灰を使う

「消石灰」や「苦土石灰」をひとつかみ程度全体に混ぜると、酸性を好む虫の発生を抑える効果が期待できます。 100円ショップで売っているものでも問題ありません。石灰を使うときには手袋をして下さい。もしくはスコップや使わなくなったスプーンなどを利用して下さい。

ただし、混ぜ過ぎると内容がアルカリに偏り過ぎてたい肥として使いづらくなるので、用量はひとつかみ程度にしましょう。
落ち葉は微生物の宝庫。消臭効果が高い優秀な資材

土や落ち葉などを使った虫よけ

土には高い消臭効果があります。使い終えた培養土でもよいので、匂いが気になるときには土の利用がおすすめです。もし手に入るようでしたら、落ち葉や腐葉土などを使っても消臭効果が得られます。

このほか、コーヒーかすにも消臭効果があります。すでに寄ってきてしまった虫を追い払う効力への期待値はあまり高く設定できないかもしれませんが、虫を寄せない対策としては使ってみるのもよいでしょう。

【菜園士直伝】スムーズにたい肥を作るワンポイントアドバイス

ポイント①:分解が遅いもの、入れないほうが良いものを押さえておく

分解が遅い柑橘類の皮
骨や玉ねぎの皮、貝殻、柑橘類の皮などは分解されるのが遅いです。ティーパックの袋や紙類もいずれ土に還りますが、分解は遅いです。

分解が遅い骨とティーパック

筆者は骨はそのままでたい肥として使用します

これらも時間をかけてゆっくり分解されていきますが、気になる場合はこれらのゴミを混ぜないようにしましょう。

柑橘類は青カビが出やすいです。ペニシリンとして利用される青カビですが、微生物の充実度が低い段階の土壌で悪さをする場合も考えられますので、柑橘類を使いたい場合は個別に干して小さく砕いて利用します。
魚の骨の分解も遅いのですが、リン酸として養分を得られるのでじっくり分解させるとよいです(若干のかたちが残ったまま、たい肥として利用しても問題ありません)。

ポイント②: 腐敗が始まっている生ごみの投入は避ける

虫は腐敗臭に寄ってきます。ハエがすでに卵を産みつけている可能性もありますので、虫が苦手な方は特に、コンポスト投入前に腐敗が始まってしまった生ごみは投入しないほうがよいでしょう。ハエの卵が孵化したウジは分解役を担うので、特に苦手意識がない場合は見過ごしてもよいです。ただし、近隣への迷惑などについては注意が必要です。

どうしても腐敗ごみを少量投入したい場合は水気を切る役割をする炭素多めの資材(落ち葉、枯草、ワラ、もみがらなど)を同量混ぜてください。

ポイント③: 置き場所に注意

ダンボールコンポストを管理する上での注意点は、長時間の直射日光と雨です。
生ごみ分解菌の中には、長時間の直射日光が苦手な微生物が含まれることに加え、強い日差しによってコンポスト内が乾燥しすぎることで分解が進まなくなることもあります。
雨に濡れると、水分過多の状態で腐敗し、失敗しやすいです。

ダンボールコンポストは自宅の玄関などで管理するのが一般的ですが、ベランダで管理する場合には、雨の日はゴミ袋で覆う、もしくは一時的に室内で管理するなどするとよいでしょう。生ごみを屋内に置くことに抵抗がある場合には、不要になったTシャツ類やバスタオルなどで包んだあと、ゴミ袋などで密閉してみてください。

そのまま放置すると「嫌気性」という状態に傾いていきますので、一日一回が理想ですが、少なくとも二、三日に一回ゴミ袋を開封して、中身を空気に晒してください。

ダンボールコンポストでできた「完熟たい肥」の使い方

生ごみの内容(かぼちゃの種)が発芽した完熟たい肥

生ごみコンポストの中身。かぼちゃやスイカの種などが発芽する場合があります。植物が上手に育つ”完熟たい肥”として完成の目安になります

プランターでの使い方

栽培を始める予定の土の上に完成したたい肥を混ぜて、できれば一週間ほど寝かせるとよいです。すぐに利用したい場合でも半日から三日ほど置く時間がほしいところ。たい肥に含まれる微生物が活動する影響で、一時的に土中に熱が発生するためです。

作物の根や種子に影響があるといけないので、熱がおさまるタイミングからのスタートをおすすめしています(半日程度でスタートする必要があるようでしたら、土の浅い部分に混ぜて使うと熱が出づらいです)

●      使用量: 10リットルの土(大型プランターや12号鉢程度)に対し、約200g(卵2個分が約100gですので、約4個分を目安にしてください)を混ぜ込みます。

●      注意点: ダイコンやニンジンなどの根菜類を育てる場合は、未分解の固形物が残っていると根が二股に分かれる「分岐根(またね)」の原因になるため、よく土となじませてから種をまいてください。

畑での使い方

土10リットルに対して200g程度、一平方メートルに500g(どんなに多く利用しても1kg以内)程度の使用が無難です。土に混ぜ込んでよく耕しましょう。

ダンボールコンポストに関してよくある質問

Q:冬場は分解が進まないのでは?

確かに冬場は分解発酵に時間がかかります。
その分、臭いが出づらい、虫が発生しづらいなどの利点もあります。
油や塩気の多いものなどは意外と分解、発酵を進めますので、投入してみるのがおすすめです。

Q:コバエが湧いてしまったら?

一度発生してしまった虫を追い払うことは難しいです。虫が発生してしまったコンポストは潔く諦めて、再チャレンジしましょう。
100%防ぐことはなかなか難しいのですが、虫を寄せ付けないために、匂いの発生に注意して下さい。
コンポストの消臭効果が高い雑草/枯草
意外と消臭効果があるのが雑草です。
匂いを感じ始めたら、雑草や落ち葉などでフタをするように投入してみて下さい。
抜きたての青い雑草は水分量が意外とありますので、水分が多くなりすぎないように注意しましょう。少し干して水分を抜いた雑草が扱いやすいです。

まとめ

ダンボールコンポストは、どのみち捨ててしまう予定だったはずの生ごみを使うため、失敗してもいいんだという気楽さをもって気負わず取り組めることが最大の魅力です。

生ごみに含まれる窒素メインの栄養素をたい肥として使い終わったあとは半永久的に栽培の土として利用できます。ぜひ、家庭の中でできる小さくて豊かな循環を、まずはひと箱のダンボールから始めてみませんか。

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