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高温、乾燥で産地の生産量が平年比80% それでもハクサイ「桜月」が安定的に収穫できた理由とは?

高温、乾燥で産地の生産量が平年比80% それでもハクサイ「桜月」が安定的に収穫できた理由とは?

春ハクサイでこんなお悩みはありませんか?
✔抽苔を避けたいが、サイズが伸びない
✔乾燥によるアンコ(石灰欠乏症)が増えてきた
✔箱詰め時の見栄えや重量感を安定させたい
✔温暖化を見据えた品種選定を進めたい
長野県の準高冷地にあるJA佐久浅間北大井地区でも、近年の高温・乾燥によってこうした課題が顕在化していました。そこで導入が進んだのがハクサイ「桜月」です。2026年春の厳しい乾燥条件下でも、生理障害を抑えながら安定した品質とサイズを確保。今回は、生産者やJA担当者の評価を通じて、「桜月」がどのように産地課題の解決につながったのかをご紹介します。

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晩抽性とサイズ感で産地の課題を打破!アンコに強く、ゴマ症の少ない仕上がりにも高評価

産地概要

長野県小諸市 JA佐久浅間北大井地区 野菜部会
◆主な生産品目:ハクサイ、レタス、ブロッコリー
◆部会員数: 70名(ハクサイは20名前後)
◆栽培面積:18ha(2回転)
◆出荷時期:春作 5月10日~7月10日、秋作 9月10日~11月末日
◆主な出荷先:地元市場・全国(生鮮)

中鮮度保持を支える立体保冷庫 ハクサイの準高冷産地

浅間山の南西斜面に位置するJA佐久浅間北大井地区は、標高700~1000mの準高冷地に広がるハクサイやレタス、ブロッコリーなどの野菜の産地です。
管轄区域の土壌は火山灰由来の黒ぼく土で、堆肥を投入して丁寧な土づくりを行っています。一方で、水田を畑に転換した圃場も多く、水はけの課題を抱える場所もあります。そのため、畑地かんがいを活用して、条件に応じたきめ細かな水管理を行うことで、高品質な野菜を栽培しています。
また、同地区では高品質な生鮮野菜を安定供給するため、全国的にも珍しい立体保冷庫を整備しています。朝に収穫した野菜はバキューム予冷後、当日に出荷し、午後の収穫分は翌朝に出荷する体制を構築。収穫から出荷まで一貫した鮮度管理を実現しており、大量の生鮮野菜の鮮度を保ったまま市場へ届けています。

左:JA佐久浅間北大井地区 野菜部会 塩川祐介さん 右:JA佐久浅間北大井地区 あさま西営農センター係長 満木孔児さん

導入の経緯:温暖化で顕在化した課題 既存品種を見直す契機に

北大井地区の春ハクサイは、2月中旬に播種して3月中旬に定植し、5月上旬~6月末まで出荷が続きます。この作型では長年、他社品種を主力として栽培されてきました。しかし、近年は気候変動の影響により、それぞれの品種が抱える課題が顕在化していました。JA営農指導員の満木孔児さんは、次のように説明します。
「他社品種は晩抽性があり、春作の一番手には向きますが、サイズが伸びず箱詰めの収まりに課題がありました。また、乾燥により結球内部に生理障害のアンコ(石灰欠乏症)が発生しやすく、品質の安定に苦慮する場面が増えていました。数年前に南佐久地区での実績を確認したことをきっかけに、4年前から本格的に比較試験をしました。その結果、『優れた晩抽性』と『安定したサイズ感』、そして、アンコという課題を克服できる可能性が見えたため、昨年から本格的に導入しました」

丈が出て、アンコ知らずの「桜月」

続いて満木さんとともに、「桜月」を生産している塩川祐介さんの圃場を訪ねました。塩川さんは、お父さまと3名の実習生とともに、5.5haの圃場でハクサイを中心にレタス、キャベツ、サニーレタスを栽培しています。「桜月」の特性と導入の意義について、次のように語ります。

「評価しているのは『丈が出る』ことです。1番早く収穫できる他社品種は、晩抽性があり、安定して収穫できますが小玉です。そのため、平箱では隙間ができてしまうこともありました。ところが『桜月』はしっかりと丈が出て、砲弾形のハクサイらしい形です。平箱や大箱に無理なく収まり、重量感もしっかり出ます。この箱映えのよさは、市場評価にもつながっています。4玉入りの平箱でも収まりがよく、見栄えの向上は販売面でもメリットになっています」

さらに塩川さんは、生理障害への強さも高く評価しています。
「生理障害への強さも大きな魅力ですね。2026年の春作は乾燥が非常に厳しく、灌水施設を稼働させても対応しきれない状況でした。灌水してもダメなときはアンコが出てしまうものですが、『桜月』は違いました。地区内では他社品種でアンコが発生し、4反分を廃棄した方もいましたが、私は、今年から『桜月』に切り替えていたので、被害はありませんでした」

そして、ハクサイを切りながら「この切り口を見てください!ゴマ症がほとんど見られません」と、見せてくださいました。さらに、「『桜月』は根こぶ病にも強そうな手応えがあります」とも話してくださいました。

取材した6月上旬の状況について、JA佐久浅間西営農センター係長の満木孔児さんは次のように説明します。
「当地区では2026年5月の深刻な乾燥の影響で、地区全体の生産量は平年比80%程度にとどまりました。その中でも『桜月』は生理障害を回避し、安定した大玉に仕上がりました。塩川さんの圃場では、今春から早生品種の後は、すべて『桜月』に切り替えました。この品種切り替えによって、5月上旬~6月下旬まで歩留まりを落とすことなく出荷を維持できそうです」

今後の展望

塩川さんによると、「桜月」の評価は部会内でも話題になっており、導入農家は昨年の数名から今年は10名程度まで増えているそうです。満木さんも「サイズが安定し、箱に入れた時の見栄えがよい。生理障害、耐病性も含め、今の当地区の春作で最も頼もしい品種です」と期待を寄せています。
今後について、塩川さんは産地の将来を見据えて「よい品種があれば、今後もどんどん検討して挑戦して行きます。近年は春以降の暑さが厳しい傾向にあるので、将来はさらに暑さに強く、傷みにくい品種が必要になりそうです。まずは、『私たちが産地を引っ張るぞ!』という気持ちで、部会の仲間と切磋琢磨(せっさたくま)しながら、この『桜月』で高品質な春ハクサイを作り続けます」とのことでした。
北大井地区の生産者たちは、春先の乾燥と高温に対して、確かな栽培技術と予冷・保冷施設に加え、優れた新品種の導入に取り組んでいます。「桜月」は、その取り組みを象徴する成果と言えるでしょう。今後さらに温暖化が進むなかで、どのような品種リレーを構築していくのか。北大井地区の挑戦はJA佐久浅間管内でも注目されています。

砲弾形が美しい「桜月」。4玉入りでも隙間なく収まり、見栄えのよい仕上がり

葉をかき分けた「桜月」の内部。ゴマ症の少なさも評価されている

生育がそろい、欠株も少ない「桜月」の圃場。歩留まりのよさを期待させる※掲載内容は、2026年6月取材当時の情報です。

まとめ

こんな方に参考になる事例です

・春ハクサイでアンコ(石灰欠乏症)に悩んでいる方
・玉の形状のよいハクサイを安定収穫したい方
・箱詰め時の見栄えや秀品率を改善したい方
・温暖化を見据えて品種構成を見直したい産地・生産者の方

北大井地区が解決したかった課題

・晩抽性はあるがサイズが不足する
・乾燥条件でアンコが発生しやすい
・箱詰め時に隙間ができ市場評価につながりにくい
・気象変動によって品質の安定化が難しくなっている

「桜月」を導入した結果

・しっかりと球丈が伸び、安定したサイズで収穫できた
・平箱・大箱でも収まりがよく、箱映えが向上した
・2026年春の厳しい乾燥条件下でもアンコの発生を回避できた
・ゴマ症の少ないきれいな内部品質が評価された
・歩留まりを維持しながら安定出荷につながった
・導入農家が増え、産地内で期待が広がっている

温暖化の影響によって、これまで問題にならなかった生理障害や品質のばらつきが産地課題として表面化しています。
今回の事例は、灌水や栽培技術だけでは解決しきれない課題に対して、品種選定が有効な対策になり得ることを示しています。
「抽苔は避けたい。でもサイズも欲しい」 「アンコによるロスを減らしたい」 「安定して出荷できる品種を探している」
そんな生産者にとって、「桜月」は有力な選択肢の一つになるかもしれません。

ハクサイ「桜月」の詳しい情報はこちら

(文・写真:川島礼二郎・一部サカタのタネ提供/編集:サカタのタネ)

お問い合わせ
株式会社サカタのタネ 種苗統括部
〒224-0041
神奈川県横浜市都筑区仲町台2-7-1
TEL 045-945-8802
※問い合わせの際、「マイナビ農業を見た」とお伝えください

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