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季節の暦 二十四節気「立秋」〜暦の上での秋の始まり〜

連載企画:季節の暦

季節の暦 二十四節気「立秋」〜暦の上での秋の始まり〜

「秋」過ごしやすく食べ物がおいしくなる季節。
暦の上では、秋は立秋から立冬の前日までをいいます。
旧暦では7月から9月まで、現在では9月から11月までとなっています。
秋の節気は6つあります。
「立秋」・「処暑」・「白露」・「秋分」・「寒露」・「霜降」です。
そのなかでも秋の始まりである「立秋」についてご紹介します。

「秋」過ごしやすく食べ物がおいしくなる季節。

「秋」の語源は稲が熟らむ(あからむ)からという説が一般的です。

暦の上では、秋は立秋から立冬の前日までをいいます。

天文学的には秋分から冬至まで、旧暦では7月から9月まで、現在では9月から11月までとなっています。

秋の節気は6つあります。

「立秋」・「処暑」・「白露」・「秋分」・「寒露」・「霜降」です。

そのなかでも秋の始まりである「立秋」についてご紹介します。

立秋の意味や由来

立秋は二十四節気のなかの1つです。

これは、地球と太陽の位置関係で割り当てられています。

地球から見た太陽の見かけ上の通り道を「横道」といい、1年間で地球の周りを一周すると考えます。

この経路を24分割した15度間隔で二十四節気が定められています。

つまり、1日に一度ほど進むということで1年間を24等分し、15日ごとに分けて表したものとなります。

立春や立秋の他、春分、夏至、秋分や冬至なども有名ですね。

春分の位置を0度として、現在の地球から太陽の見える位置の角度を「黄経」といいます。

この黄経が135度になった時が立秋です。

立秋の頃

立秋は太陽暦で8月7日頃から8月22日頃までの期間です。

立春からちょうど半年が過ぎ、太陽が黄経135度に達したときになりますので、毎年同じ日というわけではありません。

ですが、季節の特色としてはズレがない指標となります。

この期間がさらに細かく分けられた七十二候では、初侯「涼風至(すずかぜいたる)」・次候「寒蝉鳴(ひぐらしなく)」・末候「蒙霧升降(ふかききりまとう)」となっています。

まだまだ暑さが厳しく、日差しも強い時期ですが、秋の気配は確実に近づいています。

空を見上げてみると、夏の代名詞である入道雲だけでなく、秋の代名詞であるうろこ雲やいわし雲などが見られることもあります。

手紙や絵ハガキなどでは、暑中見舞いを送る時期が終わり、ここからは残暑見舞いを送ります。

手紙の末尾に「晩夏」、「葉月」と添えるのが正式な書き方となっています。

立秋は8月22日頃までのため、先方には8月半ば頃までには届くようにしたいものです。

立秋と土用

立秋の直前は土用で、特に熱さが厳しい時期として知られています。

土用の日は、四立(立夏・立秋・立冬・立春)の直前に約18日ずつ、年に4回あります。

その中でも立秋前の土用の丑の日には、ウナギを食べる習慣が根付いていますが、ウナギの旬は秋から冬にかけての10月から12月頃です。

平安時代頃から滋養強壮のある食べ物として、夏にウナギが食べられていたそうですが、「土用の丑の日」にウナギを食べるという習慣は、江戸時代に作られた人為的な風習によるものです。

立秋の時期のイベント

この時期は日本各地で多くのお祭りが開催されます。

また、盆踊りや日本伝統の祭事(京都五山送り火)、精霊流し(灯籠流し)なども行われ、先祖や亡くなった人たちの霊魂を供養する風習があります。

お盆は正式には盂蘭盆会(うらぼんえ)といいます。

元は旧暦の7月15日が中心だったものが現在は1ヶ月遅れた8月15日に行うのが一般的です。旧暦のお盆は旧盆といわれ、この時期に行われる地域もあります。

立秋の頃の食べ物

秋になると食べ物が美味しい季節になります。

立秋の頃には、ナス、かぼちゃ、トウモロコシ、カボス、イチジク、モモ、などの野菜や果物が旬を迎えます。

また、ジャガイモやサツマイモ、ゴボウなどの根菜も秋野菜の中心となります。

このような根菜類にはタンパク質、でんぷん、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれていますので、夏の暑さで疲れた体を暖めてくれる作用が期待できます。

また、魚はスズキやコチが旬を迎えます。

スズキは成長段階によって味わいも異なりますので、旬の時に食べたい魚です。

淡泊な白身で独特の風味がある魚ですが、新鮮なものであれば刺身でもおいしい魚です。

昔は高級魚とされていましたが、現在は手に入りやすい魚なので、煮付けや唐揚げにするなど料理のバリエーションも豊富です。

コチは今でも高級魚として知られますが、料理店に行くと刺身や煮付けとして食べることができます。

季節を感じるために、一度食べてみるのもオススメです。

立秋の頃に咲く、秋の七草

万葉集の有名な歌に、「秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花」「萩の花尾花葛花なでしこの花をみなへしまた藤袴朝顔の花」という二首で構成されたものがあります。

初めの歌は「秋の野に咲いている草花を指折りして数えると7つある」と詠み、2つ目はその7つの草花の名前を挙げています。

この歌の中に詠まれた花が、秋の野に咲く花を代表するものとして、「秋の七草」といわれています。

7つの花はそれぞれ、萩(はぎ)、尾花(ススキ)、葛花(クズ)、撫子(なでしこ)、女郎花(おみなえし)、藤袴(ふじばかま)、朝顔(ききょう)です。

朝顔については色々な説がありますが、現在ではききょうであるとするのが定説になっています。

それぞれの代表的な花言葉は、以下の通りです。

・萩:思案、内気、柔軟な精神

・尾花:活力、心が通じる

・葛:治療、活力

・撫子:大胆、純愛、無邪気

・女郎花:約束を守る、美人、はかない恋

・藤袴:遅延、思いやり、優しい思い出

・朝顔:永遠の愛、清楚、気品、誠実

秋の七草は食べるわけではなく、見て楽しむものです。

これらの花は立秋の頃に咲いており、まさに秋の始まりを代表する花ですね。

この七草のうち数種は野生に生息する数が減っており、環境省のレッドデータブックにおいて絶滅危惧種に指定されています。

自然では見かける機会が少なくなっても、生花店では見つけられることもあります。

もし見かけたら、購入して家に飾り、秋の草花を楽しむのも素敵ですね。

 

これからいよいよ秋を迎える節気、立秋。

お祭りだけでなく、食べ物や花など、五感を全て使って楽しめる季節の訪れでもあります。

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