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生産者の試み

若きじゅんさい栽培者の取り組み【ファームジャーニー:秋田県三種町】

若きじゅんさい栽培者の取り組み【ファームジャーニー:秋田県三種町】

2017年08月12日

日本一のじゅんさいの産地、秋田県三種町ですが、栽培地の減少や生産者の不足などから、年々じゅんさいの生産規模が縮小しています。そこで立ち上がったのが、若きエース、安藤さんです。安藤さんが試みているさまざまな取り組みについてお聞きしました。

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若きじゅんさい栽培者の取り組み【ファームジャーニー:秋田県三種町】
安藤食品の安藤賢相さん

秋田県三種町。白神山地と出羽丘陵に囲まれ、清らかな伏流水に恵まれたこの町は、日本一のじゅんさいの産地です。ところが、生産量・販売高ともに最高を記録した1991年以降、栽培地の減少や生産者の不足などから、じゅんさい栽培の規模は縮小し続けています。

三種町で最も若いじゅんさい栽培者が、安藤食品の安藤賢相(あんどうけんすけ)さんです。「次世代に町の誇りと伝統をつなぎたい」という思いを胸に、じゅんさい栽培を未来につなぐ努力を続けています。

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変わりゆくじゅんさい栽培従事者

日本一のじゅんさいの産地として知られる三種町ですが、近年、その生産量は減少の一途を辿っています。1991年の1,260トンをピークに、2016年には440トンに。1991年には11億8,800万円だった販売額も、2016年には4億7,600万円にまで減少しました。

理由としてあげられているのは、土地開発による沼の面積の減少や近代化による水質汚染の進行です。ピーク時には1,000名ほどいた生産者が、2016年には500名を切っているなど生産者不足の問題も、この事態に拍車をかけています。

実際、じゅんさい農家の経営主の半分以上が70歳以上と高齢化が進んでおり、そのうちの7割以上が「後継者がいない」という悩みを抱えているそうです。

こうした中で、若きじゅんさい栽培者として期待されているのが、安藤賢相さん。安藤さんの実家は、じゅんさいの栽培から加工、販売までを一括して行なっている株式会社安藤食品。100年以上、この地でじゅんさいに携わっています。

自衛隊員から農家へ

高校卒業後は、まず自衛隊に入隊したという安藤さん。自衛隊の仕事をこなしながらも、自分にしかできないことがあるのではないかと考え、実家の安藤食品を継ぐことを決意しました。

そうして実家に戻った安藤さんですが、農業の世界は甘くはありませんでした。しばらくの間は、不甲斐ない自分に苦しい思いを抱えていたそうです。

自衛隊員から農家へ
写真提供:近藤大樹さん

安藤さんは一念発起し、一から農業を学ぼうと茨城県の農業学校に入学。4年間の学生生活を過ごしました。在学中にできた仲間は、年齢も環境も様々で、農業がしたくてたまらないという思いを抱えながらも、農家出身者でないために、土地も資材も持っておらず、すぐには農業を始められない人もいたそうです。

「そんな仲間たちとの出会いによって、自分は農家としていかに恵まれた環境にいるのかに気づかされ、農業への意欲がさらに高まりました」と安藤さんは話します。

じゅんさい栽培の若きエース、安藤さん

10年ほど前から、本格的に家業に入った安藤さん。
「農業学校に通い、一度故郷を離れたことで自分が生まれ育った場所を客観的に見ることができました。それまでさほど魅力を感じていなかった三種町の人や景色など、何もかもが良いものに思えてきたんです」

そして、三種町の豊かで清らかな自然がいかに貴重であるか。それがあるからこそ、おいしいじゅんさいができるのだということに気づき、「改めて、じゅんさい栽培にかける思いが高まってきた」とも。「三種町を離れたことがなければ、こんな気持ちは生まれなかったかもしれませんね」

じゅんさい栽培の若きエース、安藤さん

変わりゆくじゅんさい栽培従事者

三種町では、春、稲作の為に田起こし、苗作り、そして田植えを行います。田植え後は、少しゆとりができるので、その期間に父親が田んぼの草刈りや管理、母親がじゅんさいの摘み取りをしてきました。「そういった家族の役割分担が、まだこの地には残っているんです」と、安藤さん。

しかし、安藤さんが三種町に戻った10年前頃から、その役割分担がうまく機能しなくなってきました。「それまでじゅんさいを摘み取っていたおばあちゃんが、年齢のせいで、摘み取り作業ができなくなってしまいました。担い手がいないために管理できていないじゅんさい沼には雑草が生い茂り、荒廃してしまいます」。

こうした状況を打破するためには、若い栽培者を増やしていくしかありません。安藤さんは、それこそが自分の使命だと考えているのです。

オリジナルグッズや動画で若い人たちにアプローチ

安藤食品では、若い人たちに少しでもじゅんさいについて知ってもらおう、その魅力に気づいてもらおうと、オリジナルグッズを作成してインターネットなどで販売したり、動画配信を手がけたりするなどのアプローチを積極的に行っています。安藤さんの取り組みは、若き生産者としてはもちろん、じゅんさいの魅力を伝えていく伝道師としての活動にも及んでいます。

安藤食品オリジナルキーホルダー
安藤食品オリジナルキーホルダー

あきたふるさと手作りCM大賞最優秀賞を受賞したプロモーション映像「じゅんさいと共に」
あきたふるさと手作りCM大賞最優秀賞を受賞したプロモーション映像「じゅんさいと共に」

安藤さんのじゅんさいへの熱い想いに共感した人の中には、「じゅんさいブローチ」を作ったり、じゅんさいの摘み採りに挑戦したりなど、熱心なじゅんさいファンも出てきています。

中には三種町森岳じゅんさいの里活性化協議会の「じゅんさい摘み採り選手権大会」で優勝した人もいるそうです。「じゅんさいの和がどんどん広がってきていて、嬉しいですね」と、安藤さん。

ファンが作ったじゅんさいのブローチ
ファンが作ったじゅんさいのブローチ

じゅんさい摘み採り選手権大会の模様
じゅんさい摘み採り選手権大会の模様

地域と手を携えて取り組む、将来のじゅんさい栽培

「安藤食品は、地域に育まれ現在に至っています。これからも地域とともに成長していきたい」というのが、安藤さんの願いです。

「じゅんさいと言えば、秋田県三種町」。その呼び名が途絶えぬよう、じゅんさいを次の世代へと守り、つなげていく安藤さんの活動はこれからも続きます。

地域と手を携えて取り組む、将来のじゅんさい栽培

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株式会社 安藤食品
住所:秋田県山本郡三種町森岳泉八日138
電話: 0185-83-2165
http://andofoods.com/
※写真提供:安藤食品、近藤大樹、まぎぃ

※ 三種町
https://www.town.mitane.akita.jp/information/detail.html?category_id=88&article_id=480
※ 上田賢悦・清野誠喜「じゅんさいの産地マーケティングの実態と課題-加工業者を中心に」『農林業問題研究』第191号・2013年9月、pp138-143
※ あきたふるさと手作りCM大賞最優秀賞を受賞したプロモーション映像「じゅんさいと共に」
http://www.aab-tv.co.jp/cm/movie/mitane.php

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