日本の農産品の海外輸出を後押し
JTB西日本が2015年から展開しているのが、「食と農業」「観光」「文化」を掛け合わせた、地域作りに貢献するプロジェクトです。訪日外国人観光客を主なターゲットとして、イチゴ狩り体験にタクシー送迎をセットにした「京都いちごシャトル」や、伝統的な宇治茶畑をサイクリングでめぐるツアーなどを企画、実施してきました。
外国人観光客の増加と共に、日本の食や農産物に対する関心も高まりつつある中、発表されたのが、海外へ日本の農林水産物を直接販売するインターネットショッピングサイト「J’s Agri(ジェイズアグリ)」です。
これまでJTB西日本では、地域産品の販売促進を目的に、地元生産者とタッグを組んで商品をプロデュースをするなど、「J’s Agri」ブランドとしての商品開発や、販路の拡大などに取り組んできました。さらに香港、台湾、シンガポールなどのアジア市場で、生産者とバイヤーのマッチングを行う個別商談会を2014年から行っており、「J’s Agri」ブランドの海外販路の創出や拡大支援も積極的に取り組んでいます。
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香港向けに16品目の直販を開始
今回開設されたインターネットショッピングサイトは、香港の消費者向けで、英語と中国語(繋体字)の2ヶ国語で用意されています。
サイトには、産地の情報や生産者の顔写真などが掲載されており、香港の消費者はそれらを見て商品の注文ができます。サイトを通じて注文が入ると日本の生産者は、農産品を航空貨物便で輸送するというシンプルなシステムです。国内決済されるため、為替変動のリスクも回避できます。2017年10月以降には、スマートフォンなどで使用する専用アプリケーションも開設される予定です。
2017年11月にシンガポール、マレーシアでも展開予定
現在16品目の販売が行われている香港向けサイトでは、順次販売品目の拡大を図る予定です。2017年11月にはシンガポールやマレーシア市場向けに、同様のインターネットショッピングサイトが開設されるほか、海外の輸入商社、レストラン、飲食 や食品販売店向けのサイトで店舗や企業向けの販売も展開する予定です。
日本の農林水産物と食品の輸出額は、2012年から4年連続で増加しています。これを受けて、日本政府は2020年の農林水産物輸出額目標として掲げていた1兆円を、1年前倒しで2019年の目標とすることを発表しています。(※1)
インターネットが発達し、個人消費者に向けて農産物を直接販売する農家の方が増えていますが、販売先は日本国内に限った話ではありません。海外に販路を広げることも、売上アップの一つの手段として検討するタイミングではないでしょうか。
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https://agri.mynavi.jp/2017_07_29_1941/
参考
「J’s Agri」(日本語ページ)
http://www.trade-support.info/jsagri/
※1 農林水産物・食品の輸出額1兆円目標に向けた主な取組(農林水産省)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/nousui/dai21/siryou4.pdf