マイナビ農業特集 新春座談会 どうなる?2018年日本の農業 Vol.1 – マイナビ農業

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マイナビ農業特集 新春座談会 どうなる?2018年日本の農業 Vol.1

マイナビ農業特集 新春座談会 どうなる?2018年日本の農業 Vol.1

最終更新日:2018年09月14日

某日、農家で働く若手、4人がマイナビ農業編集部に集まりました。
マイナビ農業では、2017年8月1日にスタートして以来、様々な方々から農業について話を聞いてきました。苦労や喜びや、物事や人や。
そんな一人ひとりをつなぐハブとして、今、これからの農業を担っていく若手農家に、その取り組みや想いを一挙に語り合ってもらう場を設けました。日本の農業の今がここにあります。

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農業をする中で、売るということへの工夫はいかがですか?

若手農家が集まっての座談会は、和やかな空気の中でスタート。
異なる地域、異なる作物を作る皆様への最初の質問は、農を業、仕事としていく中での苦労。
農業をする中で、売るということへの工夫はいかがですか?

 

安保 満貴(あんぼ みつたか)さん
株式会社新しい風さとやま 取締役
https://agri.mynavi.jp/2017_10_31_9171/

石川 龍樹(いしかわ たつき)さん
任意団体 夢農人(ゆめのーと)とよた 会長、いしかわ製茶
https://agri.mynavi.jp/2017_12_22_13234/3/

佐川 友彦(さがわ ともひこ)さん
阿部梨園 マネージャー
https://agri.mynavi.jp/2017_12_07_12959/

柴海 祐也(しばかい ゆうや)さん
柴海農園 代表

弱みを強みに変えていく

株式会社新しい風さとやま 安保 満貴さん

安保:茨城県にある霞ヶ浦の再生を、農業を通じて実現していこうと、NPO法人アサザ基金で20年活動する中、2016年に「株式会社新しい風さとやま」が立ち上がりました。そこで米を作っている安保です。直接、農作業している時間も、作業のあいだも、ほぼ、どう売るかを考えていますね。

石川:愛知県豊田市でお茶農家をやってる石川です。若手農家団体「夢農人(ゆめのーと)をやっており、現在は29農家が参加しています。お茶もまず、作付けのときから、出口を考えて組み立てていく。作っても出ていかないんじゃ、きつい。僕はお茶なんでまだ保存がきくから、後から対策の立てようがある。生ものだと、その辺が大変。梨なんてそうですよね。

佐川:おっしゃる通りです。

石川:けれど、直売イベントでは、強いのは生鮮品。お茶、米はいつでも買えるので、わりとコンテンツは弱い。けれど、弱みは強み。いつでも味わえること、一番おいしいときに味わってほしいことを伝えたり、逆に旬を作ってしまうとか、そこまで頭を働かせる。今は6次産業化までやらないと収益にならないシステムができています。ですが、私は生産に専念したい。農家が良い農作物を作ることに専念できるようにしたいです。

コミュニケーションで需要をチューニング

阿部梨園 佐川 友彦さん

 

 

佐川:栃木県宇都宮市の阿部梨園の佐川と申します。私は畑に出ずに、現場で梨を作るチームのサポートや、農家が苦手と言われる会計や労務などのバックオフィスの部分や、プロモーションや注文管理などに携わっています。これらを、代表の阿部英生(あべひでお)と一緒に矢面にも立ちながら二人三脚でやっています。
弱みを強みにする点は、私どもでもポイントです。生産と需要がちょっとズレるだけで、余ったり不足したりする。この帳尻合わせを、ピークの一週間は時間単位でやります。去年うまくいっても、今年同じとは限りません。毎年、苦労します。そこを、行き当たりばったりでなく、例えば「いつ頃が旬ですよ」など、お客様とのコミュニケーションで需要のチューニングをします。微妙なさじ加減ですけど、そのおかげで99%が直売で売り切れます。かなり胃の痛い思いをしながらやっていますが。どうですか、柴海さんは?

柴海:千葉県印西市で有機栽培をしている柴海農園、柴海と申します。年間切らさずに150種類くらい作っています。

石川:150もですか。 名前を覚えるのも大変そう。

柴海:最初は、スタッフもブーブー言っていましたね。今ではみんな諦めてますよ(笑)。

お客様のリアクションはモチベーションにつながる

柴海農園 柴海 祐也さん

柴海:私は正月の4日間くらい、こたつに引きこもって、その150種類近くの作付け計画を立てるんですね。これが1年の全てを左右するので計画立てはつらくもあり、かといってスタッフには容易に渡せない。生産から販売までを考えることをやりたかったので楽しいです。
やればやるほど奥が深いです。ただ売ればいいというのは簡単。値段を操作すればいい。けれど、皆を養える価格で、少ないロスというのはカオスの世界。乗り切れば、充実感はありますし、面白いです。
うちは野菜単品で売らないようにしています。お客様から聞いたニーズに合わせて私が選んだ野菜を提案しています。セットにしたり、加工に回したりして廃棄率はほぼゼロ。作り方と売り方は本当に一体だと思いますね。

安保:150種はすごい。似たタネとか分からなくなりそう(笑)。
同じ品種の米を育てても、出来が良いのもそうでないものもありますが、良いか悪いか、製品になるときには平準化される。良さそうなのを別格で売れないかとか、考えもします。
佐川さんがおっしゃっていた生産者ならではの強みを活かすことは非常に大事だと思います。僕たちも、環境問題が未だに深刻な霞ヶ浦で稲作をやる中で、圃場の様子や変化などをうまく価値として商品にのせたいと思っています。
これらを伝えるために、毎月1回、米を発送する中に通信を入れています。昨年は「圃場の再生の様子が分りました」「応援しています」などの反響も増えました。伝わっていると思うと、今年はもっと環境を良くして、おいしくしたいし、モチベーションにつながります。

団体戦ならではの多彩さ

任意団体 夢農人(ゆめのーと)とよた、いしかわ製茶 石川 龍樹さん

佐川:柴海さんや私は個人ぽい感じですが、石川さんの夢農人では、団体戦の販売ってどうですか? みんなで寄り添って、物を集めて出すのは大変そうです。逆にアドバンテージもありそうだと想像しますが。

石川:うちは、29軒いて作物がバラバラなんですよ。お茶、米、野菜、果物。畜産も牛、豚、鳥。さらに花農家も。まとまって動きづらい。これを逆手に取って、多彩なものが揃うことを売りに、飲食店をやっています。築100年の蔵を改装した農家レストランです。横にある直売所では形の良い物を置き、B級品や直売所でちょっと日にちが経ってきた物はカフェで使う。すると廃棄はない。農家として、作った物はかわいい我が子ですからロスさせたくない。小さいながらも循環ができています。

佐川:これができるのってすごいことですよね。いろんな地域でやろうと思ってもできなかったり、やってもうまくいかなかったりしていることなので。

柴海:さらって言っていますけどね。

石川:大変です。飲食店、みんな上手くやっとるな、と。全然もうからん(笑)! カフェは3年目ですが、お客様には価値ある味だと思ってもらうことでギリギリ続いています。飲食店を3年続けるのは、すごく大変。いろんな人がいるからやれることですね。

責任を持つ覚悟を持って中心に立つ

佐川:僕の想像ですと、農家が集まってバラバラの物を作りながらだと、それぞれ時期のピークがバラバラ。夏だったり冬だったり。助け合える可能性はありますが、本業を捨ててまで、そちらに賭けられないでしょうし、そこがやはり難しいと思います。

石川:そうですね。29軒いて、温度差もある。カフェの運営会社を作ったんですけど、立ち上げの3人で出資しています。

安保:料理人は別にいるのですか?

石川:そうですね、人を雇って。

安保:その人がやりたいって言ってやり始めたわけではない?

石川:僕らは農家のどんぶり飯とかそういうのをやろう、と思っていたんですよ。でも、たまたま料理人を探していたら、イタリアンの子が来て。「インスタ映え」なんてなかったときに、上手に盛り付けた料理を作ってくれました。それが良かったみたいで取材もポツポツ来ました。名前もちょっとカッコよく。生姜焼きとは言わずに、ポークジンジャーとか。

一同:(笑)

石川:結局、誰が責任を取るかですよね。覚悟をもつ農家が中心にいないと。僕ら立ち上げの3人はそこそこうまくいっている農家なのでできますが。あとは自分たちのノウハウをいろんな人にあげて底上げをしたいです。農業界をどうにかしないとマズイ。

農業の底上げを目指して

「農業界をどうにかしないとマズイ」
若手農家として考える課題と対策。一体、どういうことが飛び出すのでしょうか。座談会は第二回に続きます。

聞き手・執筆:三坂 輝

マイナビ農業特集 新春座談会 どうなる?2018年日本の農業 Vol.2はこちら

マイナビ農業特集 新春座談会 どうなる?2018年日本の農業 Vol.3はこちら

マイナビ農業特集 新春座談会 どうなる?2018年日本の農業 Vol.4はこちら

 

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