現場に立ち、触れることで得られるものがある

任意団体 夢農人(ゆめのーと)とよた 、いしかわ製茶 石川 龍樹さん
佐川:うちにも地元の小中学生が仕事体験に来てくれることもありますね。良い思い出になるかどうかで、農業への関心など、将来を決めかねないので、本当に大切な機会だと思ってやっています。私は普段、事務所にいますが、疲れたらパソコンを持って、畑に行き、コンテナの上で仕事したりもするんです。すると、子どもの頃の心象風景に出会える。食育や農業は、自分の手で触ったり、実際の空間に居たりするような、五感の記憶も大切だと思います。
石川:子どもたちに、現場を見せて話をするのは地道な活動ですけれど、農業後継者を増やすためには絶対必要です。昨年末に隣の市の小学5年生が社会科見学で豊田市に来ました。トヨタ自動車の本社へ行って、そこからうちに来て、学校に帰ったようです。うちの畑はトヨタから2キロ。なぜそこかって、うちの爺さんが開拓に入った後で、トヨタが来たんですよ。うちが先です。
一同:(笑)
石川:それで翌日、小学校のホームページを見たら、「子供たちがバスから降りて開口一番に『抹茶がおいしかった』と話した」とありました。それが涙が出るほど嬉しくて。1人でも将来農家を目指してもらえるように、とにかく、何か届くようにと心を込めて話したので、子どもたちの心にはトヨタよりも印象的に響いてくれたようですごく嬉しかった。
地元の中学にも話す機会があれば、積極的に行きます。職業人が話す授業があるんですが、6人くらいの職業人が行き、学生が聞きたい人を選ぶんです。「農家の石川さん」は残念ながら希望者が一番少ない。ただ、どこのクラスより笑わせている自信があります。でないと、印象に残りません。下の年代であるほど、笑いに重点を置き、専門用語を使わない。
そして、農業のかっこよくないところも、私は話します。
農業という仕事の現在
「農業のかっこよくないところ」
注目を浴びることの増えた農業。どのようなイメージでしょうか。
最終回は農業という仕事の今を、若手農家が語り合います。
聞き手・執筆:三坂 輝
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