富山県の概要
富山県は2011年度から新たな取り組みとして、冬の寒さによって甘みが増すホウレンソウやハウスネギといった13品目を「とやまのカン(寒)・カン(甘)野菜」としてブランド化しました。冬季限定でスーパーやレストランで積極的に取り扱うことを推進しています。
ここからは、富山県の代表的な特産品を紹介していきます。
サトイモ
「石川早生(いしかわわせ)」と「大和(やまと)」という品種で、やわらかく粘り強い、甘みのある富山県のサトイモ。煮しめ、おでん、田楽などに用いられています。
富山県では古くから県内各地で栽培されており、新しい産地も育成されつつあります。
どっこきゅうり
高岡市で生産されているどっこきゅうり。太キュウリの品種で、厚い果肉と日持ちの良さ、香りがあり苦味は少ないといった特徴があります。夏野菜として地元で親しまれています。用途や主な食べ方は、浅漬けやあんかけ、詰め物、酢の物など。
どっこきゅうりは、高岡市のごく一部のエリアでのみ栽培されています。生産者の高齢化や伝統料理の衰退といった理由から、生産は減少しつつある状況です。
とやまのカン(寒)・カン(甘)野菜
県内全域で生産されているとやまのカン(寒)・カン(甘)野菜。低温下でゆっくり育てる・寒気にさらす・一定期間貯蔵する、といった栽培方法により甘さを増す、富山の冬の寒さを活かした高付加価値野菜です。
雪中キャベツや雪中ニンジン、ハウス白ネギ、雪中カブや雪中ダイコンなどがあります。
生産量はまだ少なく、需要に対して供給が不足している状態です。富山県やJA、市場などと連携しながら、供給体制の構築や販促活動に取り組んでいます。
リンゴ
県内各地で生産されている富山県のリンゴは、100年以上の栽培の歴史を持つ魚津市の加積(かづみ)地区をメインとして栽培されています。主力品種は高い糖度と果汁の多さが魅力の「ふじ」です。大半が農家の庭先などで販売されているという特徴があります。
主力産地である魚津市の加積地区では、リンゴの専作農家中心に栽培されています。
主力品種「ふじ」の他に、近年は「中生品種(※1)」も増加傾向で、富山県の特長を活かした地場産品目として、将来性もあると見込まれています。
多くの品種が9月上旬から12月上旬に収穫される一方で、ふじは11月中旬から12月上旬に収穫されます。
(※1)作物の品種のうち成熟期が早生と晩生の中間のもの。
富山干柿(とやまほしがき)
南砺(なんと)市で生産されている富山干柿。南砺地方だけで栽培されている渋柿を使用した独自の製法による、強い甘みと豊かな風味を持つ干柿です。お茶請けとしても人気です。
生産状況を見てみると、近年は600万個の生産規模で、カキの生産面積は横ばいの状況です。県内はもちろん、関東や関西、中部市場への出荷も行われており、特に県内では贈答品としても高い人気を誇ります。
とやま牛・とやま和牛
とやま牛は県内で12ヶ月以上飼育された、日本食肉格付協会の格付けが肉質等級3以上の牛です。このとやま牛のうち、黒毛和種の牛がとやま和牛となります。すき焼きやしゃぶしゃぶ、焼肉、ステーキなどに用いられています。生産農家は少ないものの、若手経営者を中心として規模拡大が進められています。
ホタルイカ
県内各地で獲れるホタルイカ。「富山湾の神秘」と呼ばれる、青白い光を発するイカです。富山市には、「ホタルイカ群遊海面」という国の特別天然記念物に指定されている沿岸域があります。刺身やボイルなどにしておいしく食べられます。また、塩辛、佃煮、沖漬け風などに加工された商品も販売されています。
かまぼこ(うず巻かまぼこ・細工かまぼこ)
県内各地で生産されているかまぼこ。かまぼこは富山の食文化を語るにあたって欠かせない一品です。富山湾で獲れた新鮮な魚の旨みを味わうことができます。和え物や揚げ物、丼物、炒め物、蒸し物、汁物などに用いられています。
生産状況を見てみると、生産高はやや減少傾向にあるものの、富山県のかまぼこの消費量は全国10位以内に入っており、富山の市民の生活とは密接なつながりがあると考えられています。
富山県の代表的な生産物について紹介してきました。富山県の自然環境や気候を利用して栽培されている食材も多く、「とやまのカン(寒)・カン(甘)野菜」のように県全体で生産拡大を推進している特産品は、今後新しい富山県の名産品として、より積極的に県内外へ発信されていくのではないでしょうか。
※ 各品目の内容は、本調査時点(2014年9月~2015年)のものをベースに作成しています。一つの目安としてご理解下さい。
参考:『日本の地域食材2015年版』(NPO法人 良い食材を伝える会)