食材のブランド化
新潟県では、新潟米に続く複数品目のブランド化を目指す取り組みが実施されています。「にいがたフード・ブランド」のイメージリーダーには西洋ナシの「ル・レクチエ」やイチゴの「越後姫」などがあり、品質向上や生産拡大などにも注力しています。それでは、新潟県の代表的な特産品を紹介します。
あらかわ生しいたけ
岩船郡関川村で生産されている「あらかわ生しいたけ」。マイルドな食感と足までやわらかい味わいが特徴的です。これは菌床栽培と水質への徹底的にこだわった生産方法によるものです。煮物や焼き物、健康食品など幅広く用いられています。
あらかわ生しいたけは県内有数の生産量で、年間を通して生産量・品質ともに安定しており、全国へ安定供給できるシステムも構築されています。
大口れんこん
長岡市で生産されている大口れんこん。きめ細かな白い肌で、皮をむくとアク抜き不要な品種です。シャキっとした食感と、さっぱり・ねっとり感が一体となった味わいが特徴的です。8月から翌年5月にかけて収穫されます。
県内には「大口れんこん生産組合」が組織されており、良質なレンコン維持のための取り組みが行われています。近年は掘り取り機の普及とともに従来の労働にかかる負担が少なくなってきており、今後も安定した生産が見込まれています。
白根白桃(しろねはくとう)
新潟市・加茂市・三条市で生産されている白根白桃。極晩生品種(※)で、詳しい来歴は不明です。300グラムと大きい果実が特徴的で、糖度は13%前後と食味も良く、極晩成のモモのなかでも特に人気が高い品種です。
※極晩生種 9月の中旬から10月上旬にかけて収穫できる品種。大玉で硬く、糖度が高い品種が多いのが特徴。
新興(しんこう)(日本ナシ)
新潟市・加茂市・三条市で生産されている日本ナシの新興。円形で、400グラム以上の大玉の果実です。やわらかい肉質と甘みの多さ、貯蔵性の長さも特徴的です。10月下旬から11月上旬にかけて収穫されます。
ル・レクチエ(西洋ナシ)
新潟市・加茂市・三条市・佐渡市などで生産されている西洋ナシのル レクチエ。10月下旬に収穫されてから、40日ほどの追熟期間を経て食べごろを迎える品種です。とろけるような果肉と華やかな香りが特徴的で、果汁が滴るほどみずみずしく、甘みが強く酸味は控えめ。食感も桃に近く、とろけるような味わいが楽しめます。全体的に食味の優れた品種です。11月下旬から12月中旬にかけて販売されます。
ル レクチエという名前は、育成者が17世紀の園芸家ル レクチエにちなんで命名しました。生産状況を見てみると、既存の果樹農家に新規栽培者も加わり、作付面積および生産量は増加傾向となっています。
西洋ナシは食の多様化の背景もありニーズも伸びており、特に高品質なル レクチエは生産量不足の状況でもあります。そのため、今後も生産量の増加が見込まれています。
にいがた地鶏
新潟全域で生産されているにいがた地鶏。新潟県原産の天然記念物「蜀鶏(とうまる)」に、「名古屋種」と「横斑プリマスロック」が掛け合わされて生まれた品種です。
じっくりと時間をかけて育成されるため、ジューシーでうまみ成分も豊富な肉として親しまれています。水炊きや鍋、煮物、焼き物などにして食べるとおいしいです。
県内では「にいがた地鶏生産普及研究会」が設けられ、品質向上と生産振興が推進されています。
寒鰤(カンブリ)
佐渡両津湾で獲れる寒鰤。大きいものは体長100センチ、体重15キロを超えることもあります。脂が乗ったおいしさが特徴的です。冬を代表する魚で、12月には最も脂が乗り、獲れる量も多いため寒鰤と名付けられたといわれています。
寒鰤は、年によって獲れる量の増減の差が大きい傾向にあります。「佐渡一番寒ブリ」というブランド名の、漁師の目利きによって選ばれたものは各地でも高く評価されています。
ノドグロ(アカムツ)
県内全域で獲れるノドグロ。季節を問わず脂の乗りが良いと評価されており、いつどのように料理してもおいしいと食通でも評判の食材です。特に、刺身や煮物、焼き物にするとおいしいです。
新潟県の代表的な高級魚として、県下全域で周年流通しています。ノドグロという名前の由来は、口を開けると喉の中が黒いためといわれています。
新潟県の特産品について、紹介してきました。豊かな自然と様々な食材の生産に適した土地が広がる新潟県では、ここで紹介した以外にも多くの食材が毎年生産されています。米や日本酒以外の新潟の食材にも注目してみると、新しい食の発見があるのではないでしょうか。
※ 各品目の内容は、本調査時点(2014年9月~2015年)のものをベースに作成しています。一つの目安としてご理解下さい。
※画像はイメージです
参考:『日本の地域食材2015年版』(NPO法人 良い食材を伝える会)