徳島県の概要と主な取り組み
徳島県は、四国の東端に位置し、瀬戸内海、紀伊水道、太平洋の3つの海に面しています。太陽の光は燦々と降り注ぎ、気候は温暖で、四国三郎の愛称で親しまれている吉野川の清流にも恵まれた、素晴らしい自然環境の徳島県では、たくさんの農畜水産物が生産されています。
徳島県では2004年から県産品のブランド化をスタートし、「スダチ」「なると金時」「鳴門わかめ」「阿波尾鶏」の4品種を認定。その後、2015年に「とくしま特選ブランド」「特選・阿波の逸品」を統合し、「とくしま特選ブランド」として新たに立ち上げました。現在では、一次産品26点,加工食品62点,伝統工芸品5点の計93点が認定されています(2017年7月時点)。
四国は「うどん」というイメージが強いですが、徳島県西部では、古くから冷涼な気温や傾斜地、吉野川の清流を利用したソバ栽培が盛んであり、「粗谷(いや)そば」をはじめとする特徴ある「そば食文化」を育んでいます。
サツマイモ「なると金時」
なると金時といえば、その名前は全国に知られているブランドサツマイモ。肌の色は鮮やかな紅赤色で、形は紡錘系をしています。甘みが非常に強く、品質・形状・色調とどれをとってもパーフェクトなのがなると金時。
従来からの砂地である砂丘畑と、砂を客土し造成された砂地畑で栽培されています。砂地はなると金時の栽培に適しており、他産地との差別化もできるため将来性も有望な野菜です。
食材としての活用の幅はとても広く、スープ、サラダ、揚げ物、蒸し物、お菓子までどんな料理にも利用できます。
阿波和三盆糖
徳島県板野郡上板町、阿波市で生産されているのが、徳島名物の「阿波和三盆糖」です。
竹糖と呼ばれるサトウキビを栽培し、サトウキビから絞り出した砂糖のエキスを原料に、火にかけて苦味であるアクを抜きます。さらに煮詰めて粘りを出し、かめに移して冷やします。こうしてできたのが白下糖です。この白下糖には蜜が含まれているのでまだ茶色をしています。ここから、蜜を抜きます。木綿の布に包んで重しをつけ、蜜を抜く「押し」、水分を加えながら練る「研ぎ」。この作業を5回繰り返すと、蜜が抜けて白くなります。こうして精製したものをゆっくり乾燥させ、仕上げます。
時間と手間をかけて作られる和三盆糖は、洋糖にはない優れた風味をもち、高級和菓子にはなくてはならない砂糖です。料理用として、コーヒー・紅茶用のお砂糖として家庭でも用いられるほか、お盆の時期の干菓子などとしても販売されています。
和三盆の三盆とは、白下糖を砕いて水を加え、盆の上で白くなるまで練る「研ぎ」の工程を3回繰り返したことから名付けられました。現在は、盆ではなく、研ぎ槽の中で磨きを5回行なっています。
祖谷(いや)そば
うどん文化の四国の中で、古くからソバを生産し、ソバ食文化を守り育てているのが徳島県です。祖谷そばは、小粒で風味が高く、はざ干しによって実を充実させています。この地域在来のソバであり、地元では「祖谷そば」というと手打ちのかけそばをさすことが多いです。かけそば、ざるそばはもちろんのこと、そば団子やそばがきなどとして食べることができます。
急傾斜地で栽培されてきた農作物のため、過疎化・高齢化により担い手が少なくなっています。現在の栽培の中心は、高齢の女性たちです。祖谷そばの生産は機械化できず、規模拡大は難しいのが現状です。
阿波尾鶏(あわおどり)
徳島県で古くから飼育されていた赤笹系シャモを系統造成し、その雄と優秀な肉用鶏を交配して誕生したのが、徳島県が誇る地鶏の「阿波尾鶏」です。一般のブロイラーで育つ鶏よりも旨み成分を多く含み、身がしまって歯ごたえがいいのが特徴です。鮮度が長持ちするうえ、肉の熟成度が高いため、凍結・解凍してもドリップが少なく、味が落ちないと評判です。
四国・徳島の夏のイベント「阿波踊り」と、そのピンと伸びた美しい「尾羽」を持つ姿を重ねて命名されました。徳島県民のソウルダンスともいえる阿波踊りの名前を使用していることからも、徳島県がプライドをかけて誕生させた地鶏だというのが感じられます。
1990年に販売が開始されて以降、全国から注目を浴びながら成長を続け、順調に生産量を伸ばしています。現在は出荷羽数が地鶏の中で全国1位となるなど、品質・普及の両面から見ても日本一の地鶏といっても過言ではないでしょう。
それぞれ個性豊かな四国の中でも、祖谷ソバなど特徴的な蕎麦文化も育つなど独特の魅力を持つのが徳島県です。3つの海に囲まれて、スダチや鳴門わかめなど県産品のブランド化が進んでいます。徳島県産品を見かけたら、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
※ 各品目の内容は、本調査時点(2014年9月~2015年)のものをベースに作成しています。一つの目安としてご理解下さい。
※画像はイメージです
参考:『日本の地域食材2015年版』(NPO法人 良い食材を伝える会)