島根県の主な伝統野菜
島根県には個性的な伝統野菜が数多く存在します。
島根県の全国者の高い農産物は、コンニャクイモ、ブドウ、イチジク、二条大麦、アズキなどです。
出西(しゅっさい)しょうが
出西しょうがの特徴
出西しょうがは、親指大の根茎は株別れして繋がっている小しょうがで、青果は葉つきで流通しています。ショウガ特有の繊維質が少なく、爽やかな香りとピリリと鋭い辛味が特徴です。
名前の由来
出雲市の出西地区で古くから栽培されてきたショウガで、なんと733年に編纂された出雲風土記にもその記載があり、江戸時代から昭和初期まで盛んに生産が行われてきました。
昭和の中頃になると、身が大きく安価な大ショウガに押され、生産は大幅に縮小してしまいますが、種茎を守り続けてきた生産者と出雲市の努力によって見事に復活をとげ、そのおいしさと歴史の古さから特産化が進められています。
出西しょうがのおいしい食べ方
薬味やショウガ飯、醤油漬けとしておいしく食べられるほか、加工品としてはショウガ糖、ジンジャーエール、ショウガ味噌などとして出回っています。
津田かぶ
島根県は松江市の津田地方一帯で作られるようになったカブが「津田かぶ」です。松江市周辺で主に漬け物用として契約栽培されている津田かぶは、「勾玉」のような形に、鮮やかな赤紫色をしているのが特徴です。
15~18センチ前後の赤紫色のカブで、勾玉の形をしているものが上物だとされています。ほとんどが漬物用で、松江市周辺では「津田かぶ漬」は冬の食卓になくてはならない品であり、島根県を代表する冬の味覚として愛されています。安定した消費があり、また年末年始の贈答品としても人気が高い特産品です。
多伎いちじく
多伎いちじくの特徴
出雲市多伎町で栽培されているイチジクは小ぶりで甘みが強いのが特徴の品種、「蓬莱柿(ほうらいし)」です。爽やかな風味と、上品な甘みがあり、極上の品質を誇ります。ミネラルや食物繊維も豊富に含むので、近年はその健康効果の高さからも注目を集めています。
8月中旬から10月が生食としての旬の時期である多伎いちじくは、生食以外でも、イチジクジャムや干しイチジク、ゼリーや冷凍イチジクなど幅広く加工もされて全国に出荷されています。さらに、ケーキなど、お菓子の材料として、全国のパティシエやシェフから注目を集めています。
「蓬莱柿」の名前の由来
多伎のイチジクの品種である蓬莱柿は、寛永年間に中国から日本に伝えられたとされる外来種です。貝原益軒によれば、17世紀に日本にもたらされ「中国の蓬莱から来た柿に似て甘い果物」という意味でこの名前が付けられたといわれています。熟すると先が星型に開き、小ぶりで非常に甘みが強いのが特徴です。
板ワカメ
板ワカメの特徴
出雲のワカメは葉が薄く、これを海苔のように板状に干した板ワカメは、出雲では「めのは」と呼ばれています。板ワカメのシーズンになると、出雲地方から全国の知人へ「めのは」が送られます。
名前の由来
ワカメの語源は、葉の部分は羽のように深く裂けていることから「分かれ目」の意味で名付けられたといわれています。そのあと、「布の葉(めのは)」に通じたとされています。
板ワカメのおいしい食べ方
島根県産の板ワカメは、細い茎と柔らかな葉、薄さとツヤの良さが自慢です。食べる時には、軽く火で炙り、香ばしさが立ち上ったところで火からおろします。手で揉みほぐしたものを炊きたてのごはんにかけて食べると、磯の風味が口いっぱいに広がります。
板ワカメはしまねふるさと認証食品の一つです。この基準は、ワカメを水で洗った後に板やすだれなどの上で平面状に成型させて乾燥させたもの、原材料のワカメは島根県沿岸で採取・養殖されたものであること、養殖された場合は種苗が国産のものであること、食品添加物を使用していないこと、など、とても厳しく安心安全で自然の特産品であることがわかります。
神話の生まれた場所・出雲だけあって、島根県には津田かぶのようなユニークな野菜がたくさんあります。食卓で日本神話の世界に思いを馳せながら島根の野菜を味わってみてはいかがでしょうか。
※ 各品目の内容は、本調査時点(2014年9月~2015年)のものをベースに作成しています。一つの目安としてご理解下さい。
※画像はイメージとなります。
参考:『日本の地域食材2015年版』(NPO法人 良い食材を伝える会)