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福祉連携を目指す「モデル×農業」【農業二刀流vol.5】

福祉連携を目指す「モデル×農業」【農業二刀流vol.5】

モデルと農業の二束のわらじをはく奥園淑子(おくぞのよしこ)さん。人前に出る華やかな印象のあるモデル業と、自然を相手に地道な作業を続けていく農業。接点のなさそうなこの2つを両立しながら、さらに今後目標としている夢もあるようです。どのような経緯で農業を始めて今に至るのか、話をうかがいました。

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思ってもいなかった 農業への道

「小さい頃は農業に魅力を感じられず、自分が農業に携わるなんて全く考えていませんでした」と語る奥園さん。佐賀県神埼市にある奥園さんの実家では、農業を営み、アスパラガスを栽培しています。アスパラガスで作った漬け物も好評で、地元のショッピングセンター「ゆめタウン佐賀」のお漬け物コーナーで随時販売されているそうです。

奥園さんが小学生の頃に、祖父母が持っていた土地を利用して両親がアスパラガスの栽培を始めました。子ども心に、どちらかといえば農業に対して恥ずかしいイメージを持っていたのだといいます。

そんな奥園さんが農業を始めたのは、約3年前の2014年のこと。当時、地元の佐賀から福岡に通いモデル活動を続けていましたが、両親の肉体的な負担を少しでも軽減したいという思いを持っていました。ですが、「両親のため」という動機だけで続けられるほど、農業は簡単な仕事ではありませんでした。

「農業ってカッコイイ」福祉施設での体験がベースに

奥園さんはモデル事務所に入る前、知的障がい者をあずかる福祉施設に勤めていました。子ども達と一緒に農作業をする機会があり、そのときの子ども達の笑顔が心に残っていました。そして「人を笑顔にできる農業ってカッコいい!」そう感じるようになりました。

元々福祉の分野で、何か人の役に立てることをしたいという思いが強かった奥園さん。福祉と農業を連携させることができるのではないかと気付き、本格的に農業を始めることになります。まずはご両親の農作業を手伝いながら、徐々に学んでいきました。

奥園さんにとってはモデルも好きな仕事であり、「モデルだからこそ伝えられる農業がある」と、現在は地元佐賀でのモデル活動と農業の二つを両立しています。

兼業農業で美肌効果も期待できる?

「農業は奥深い職業です」と奥園さんは考えています。すぐには結果がでないことや、実際にやってみないと分からない大変さや、おもしろさを感じる所でもあります。農繁期は、「収穫→選別、配達、発送」を行うと、またハウス内での作業を行い、休憩後、「収穫→ハウス内での作業または翌日の配達の準備」といったように一日中、農作業にかかりっきりになることもあります。そのような時はモデル業と両立するのが難しく、もどかしい思いをすることも少なくないといいます。

それでも、自分の作った野菜をたくさんの人が笑顔で「おいしい」と食べてくれる姿を見た瞬間、農業をやっていてよかったと喜びを感じます。また農作業をする時間がストレス解消になるのか、肌が断然にきれいになったといいます。厳しい競争も繰り広げられるモデルの仕事は、好きな仕事とはいえプレッシャーも少なくありません。農業と兼業することで、そのような嬉しい効果もあったようです。農業を始めて、家族との会話が増えたことも良い変化の一つです。

新しい作物の栽培とモデル業を充実させる

農業に携わっていると、美しい農村の風景に癒されることもあります。アスパラガスを栽培している奥園さんのハウスの周りには、田んぼが広がっています。田植えの時期には田んぼの水に周りの景色が映るので、その風景に心が和むのだといいます。田植えは、たくさんの人が手伝いに集まり、地域がにぎやかになります。近所の農家の人たちとは、近すぎず遠すぎず程良い関係です。おいしいものを作って喜んでもらいたいという思いでつながった、いい仲間なのだと教えてくれました。

今後チャレンジしていきたいことは、新しい作物の栽培です。沖縄の唐辛子である島とうがらしを佐賀でも作りたいと考えています。さらに「地元のテレビやSNSなどを通して、農業をもっとアピールできるようなモデルになりたい」という思いもあります。

「地道にコツコツがんばっていきます。農業に興味を持ってくれる人が1人でも多くなればいいですね」。

「まだまだ人にアドバイスできるレベルでは…」と謙遜する奥園さんですが、農業体験などの農業と福祉の連携、そして農業をアピールできるモデル。夢を実現させるために選んだ、好きなことを組み合わせる奥園さんの働き方は、農業を目指す人はもちろん、自らの働き方を模索している方にとっても参考例となりそうです。

よしこちゃんの畑
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