アーバンファーマーズクラブとは
「東京都渋谷区、ライブハウスの屋上生まれ」の野菜があったら、食べてみたいと思いませんか?編集者である小倉崇(おぐら・たかし)さんは、出版や広告の仕事をしながら農業への情熱を持ち、2015年に渋谷のライブハウスの屋上に農園をオープン。ラブホテル街のど真ん中にあるライブハウスで野菜の栽培を始め、その姿は「こんな都会でも農業ができるのだ」と新たな可能性を感じさせてくれました。
ライブハウスの仕様が変わったことで農園は閉鎖してしまいましたが、小倉さんを中心とした新たな団体が設立されることが、2月に行われたトークイベントのなかで発表されました。
その名も「アーバンファーマーズクラブ」(Urban Farmers Club)。「渋谷の農家」である小倉さんを代表として、都会での農業を活性化させる団体です。
「自分で食べる野菜は自分で育てる」というコンセプトのもと、渋谷エリアを中心に「アーバンファーミング」を推し進めます。例えば、東急プラザ表参道原宿の屋上や恵比寿ガーデンプレイスの一角で地域の人々と一緒に農業をしたり、種の配布をすることでベランダなどでの家庭菜園を増やしたりと、広大な農地があるわけではない東京ならではの農業を模索します。現在は畑の準備を進め、今後イベントを開催したりと活動を広げていきます。
アーバンファーミングを活性化させる目的
アーバンファーマーズクラブのこれからの活動には、4つの目的があります。
(1)農業を通じて地域活性化する
アーバンファーマーズクラブは、地域の人々を巻き込んで活動していきます。地域に暮らす人々とひとつの畑で食べ物を育てるという行為そのものも地域の人同士の交流を促しますが、その後の効果にも注目します。野菜を育て収穫したあと、採れた野菜を近隣の人にお裾分けしたり、自分の作った野菜で料理を振る舞ったりと、農業をきっかけにコミュニティを広げます。
(2)野菜を自分で育てて食育につなげる
都会で育つ子どもは、もしかしたら野菜がどのように育つか見たことのないまま、知らないまま野菜を口にしているかもしれません。自分が口にするものがどうやって生まれてきたのかを知るには、自分で作ってみるのが一番。アーバンファーマーズクラブでは、農業を通して野菜をもっと身近に感じる食育が出来たらよいと、子ども向けのプロジェクトも考えています。
(3)農園を増やして環境対策に貢献する
アーバンファーマーズクラブの舞台は渋谷エリアです。例えば渋谷駅周辺は谷底になる地形になっており熱気がたまりやすく、ヒートアイランド現象が起きています。これを改善させるには、緑を増やすことが効果的です。渋谷の屋上やベランダで農園を作ることで、環境に良い影響を与えることが望まれます。
(4)食料自給を考える
小倉さんは東日本大震災のとき、食料をどうするのかということを改めて考えさせられたそうです。震災が起きライフラインが遮断されれば、他地域からの食料の調達はすぐには望めないまま、食料の買い占めも起こるといった状況になりかねません。「自分で食べる野菜は自分で育てる」という考えには、震災で感じた危機感も影響しています。
2020年までに2020人のアーバンファーマーを
小倉さんはイベントのなかで、ニューヨークやロンドンでの例を挙げながら、都市農業の可能性を話しました。たとえば現在ニューヨークでは、屋上農園が話題です。とある農園付きの人気レジデンスでは、住人は農園で作物を育てるだけでなく、ワークショップや食事会に参加することができ、家賃が高いにも関わらず入居希望者は絶えないのだとか。ロンドンでは、2012年のオリンピック・パラリンピックまでに2012か所の農園を作ることを目指した結果、現在2700以上の農園があります。80トン以上の食料を生み出し、市民のコミュニティ作りにも寄与し、まさにレガシーと言えるでしょう。
2020年のオリンピック・パラリンピックを控えた東京にとっても、「都市農業」はキーワードとなりそうです。アーバンファーマーズクラブでは、2020年までに2020人のアーバンファーマー(市民農家)を誕生させ、2020カ所のアーバンファーム(市民農園)を開設することを目標にしています。
2020カ所のアーバンファームには、ベランダなど、あなたがこれから始めるかもしれない小さな農園も入ります。アーバンファーマーズクラブの活動に興味を持った方は、ウェブサイト(http://urbanfarmers.club/)にて仮入部を受け付けています。これから期待が高まるアーバンファーマーズクラブの活動。まずは仮入部してみてはいかがでしょうか。
アーバンファーマーズクラブ
URL:http://urbanfarmers.club/
フェイスブック:https://www.facebook.com/cultivatethefuture/