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甘い!おいしい!だけじゃない! 「銚子メロン」リブランディングの取り組み Vol.1

甘い!おいしい!だけじゃない! 「銚子メロン」リブランディングの取り組み Vol.1

「銚子メロンの魅力を伝えたい!」。千葉県銚子市の銚子青年会議所(JC)は、設立55周年を迎えた2018年、同所のみどりコネクト委員会を中心に「銚子メロン共創プロジェクト」をスタートさせました。地形や気候の恩恵を受け、漁業、農業で発展してきたまちのアムスメロンは「銚子メロン」と呼ばれ、濃厚な味わいを求める消費者の支持を集めてきました。ところが近年、生産農家の減少による生産数の減少や、出荷できる期間が短いことなどから「知る人ぞ知る幻のメロン」となりつつあります。「まちの宝・銚子メロンをより多くの人に知って欲しい」と立ち上がったJCの青年たちの活動を追います。

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農作物の宝庫 銚子はメロンもすごい!

海の街、醬油のまちというイメージが強い千葉県銚子市は、農産物の宝庫という顔も持っています。「銚子メロン」と呼ばれる銚子産のアムスメロンは、まちの自慢のブランド農産物の一つ。かつて日本農業賞を受賞した実績もある「銚子メロン」ですが、品質の高さと比例して、高度な栽培技術が求められ、最盛期には300軒以上いた生産者も、今では100軒を切るまでになっています。また、出荷できる期間が6、7月の2か月間に限られるため、今や「知る人ぞ知る幻のメロン」になりつつあるなか、銚子青年会議所(JC)は2018年、まちの宝「銚子メロン」の価値を再確認し、改めてその魅力を発信していこうと、生産者、メロン組合、JA、JCメンバーが参加する「銚子メロン共創プロジェクト」をスタートさせました。

JCの野平泰彦(のひら やすひこ)理事長は「銚子には“銚子の川口てんでんしのぎ”という言葉があります。もともと漁師の間で使われた言葉で、利根川口付近を航行する船は、他の船のことはかまっていられない。自分の船の安全を最優先するという独立独歩の姿勢を意味します。これからの私たち銚子市民は“てんでんしのぎ”ではなく、同じ目標に向かって、それぞれの立場でできる役割を担い共同することから、やがて一緒になって共創できる環境づくりが必要と考え、このまちの宝の一つ、銚子メロンの魅力を発信するプロジェクトを発足しました」と言います。

銚子メロンの魅力を伝えるプロジェクトが始動

「銚子メロン共創プロジェクト」を実質運営するJCのみどりコネクト委員会は、プロジェクトの事業計画を掲げました。

  • 銚子メロンに携わる諸団体との共同と共創
  • 銚子メロンのリブランディングの実施
  • 銚子メロンの魅力を発信する事業

「銚子メロン」のPR活動を通して、ニーズと販路を掘り起こすことで生産量を拡大することや、出荷時期が限られるメロンを一年中楽しめるようにするための商品開発など、様々な活動イメージを抱いたJCメンバーは2018年1月、生産者で組織する銚子メロン組合や、流通販売を担当するJAちばみどりを訪ね、プロジェクトの趣旨を説明し、共同を呼びかけました。

JCみどりコネクト委員会の山久保篤志(やまくぼ あつし)委員長は「はじめは、生産者やJAのみなさんの声に耳を傾けず、自分たちの一方的な思いを伝えるばかりだった」と振り返ります。生産者やJA担当者は、JCからの突然の申し立てに戸惑い、一度は難色を示しましたが、青年たちの思いに応える形でプロジェクトメンバーに名前を連ねることを了承しました。メンバーが確定したことを機に、委員会は2018年の1年間を通して活動するスケジュールを組み立てました。

「銚子メロン共創プロジェクト」2018年スケジュール
2月 商品開発ワークショップの実施
4月 先進事例を学ぶ視察研修
6月~10月 商品開発・プロモーション
10月以降 プロモーションの継続

銚子メロンの魅力を伝えるプロジェクトは、JCメンバー、生産者、JA担当者をはじめ、市民も参加する「商品開発」のワークショップからのスタートとなりました。

「銚子メロン」の現在地を知るワークショップ

「銚子メロンを一年中楽しんでもらうためには、加工品にして提供することも方法の一つ」と考えた委員会メンバーは2月、プロジェクト参加者の初顔合わせの機会に「商品開発ワークショップ」を行いました。地域の農産物や特産品の6次産業化の専門家を迎えた講演と、5、6人のグループに分かれて商品開発のアイデアを練るワークショップは、プロジェクトを進めるに当たって、生産者から直接、銚子メロン生産の歴史や、メロンづくりへの考えを聞くはじめての機会になりました。「商品開発」をテーマにしたワークショップでしたが、「メロンそのものに魅力があるのなら、無理に加工品を作る必要はない」という専門家の意見や、生産者の「素材そのものを味わってほしい」という誇りに触れ、参加者同士が「銚子メロン」そのものの価値を再認識する内容にシフトしていきました。
様々な商品開発のアイデアが出たものの「銚子メロンらしさとは何か」や、加工商品にするメリットなど、プロジェクトの方向性の決め手となる意見の集約には至りませんでした。
プロジェクトの初会合は、「銚子メロン」に現状について、参加者全員が認識を一致させることで幕を閉じました。

先進地視察を通して見えてきたもの

「銚子メロン」の魅力をどのように認識し、伝えていくか。プロジェクトのメンバーは先進事例を学ぶ機会として、栃木県宇都宮市にある「道の駅うつのみや ろまんちっく村」の視察を行いました。
「ろまんちっく村」は、46ヘクタールの広大な敷地に、温泉やスパ、宿泊施設を備えた道の駅。農作物の直売所や、地元産食材を使った料理が味わえるレストラン、森の散策や農業体験が楽しめる農業・農作物をテーマにした滞在体験型ファームパークです。地元産大麦を使った地ビールを醸造するなど、現在のパークの特長となるコンテンツは、2012年に地域商社・株式会社ファーマーズ・フォレストが運営を担って以降、消費者の注目を集め、関東はもちろん、全国でも屈指の人気の道の駅となっています。視察当日の4月の週末も、親子向けのイベントが行われ、1万人以上の来場者が集まり、賑わいを見せていました。
施設を見学した後、メンバーは同社経営戦略室長の原田和之(はらだ かずゆき)さんに話を聞きました。原田さんは「施設が一気に話題になることはなく、突然、人気商品が生まれるわけでもない。消費者の普段の行動を寄り添うことに、商品の魅力の伝え方にヒントがある」と言い、その点を検証し、受け取ってほしい消費者に向けて、地道にメッセージを発信していくこと、続けることの重要性を強調。「生産者が減少している現状をプラスに捉えて、プレミアム感をPRするのも一つの方法」と話していました。
JCの野平理事長は視察を終えて、「生産者、消費者、その間をつなぐ関係者。プロジェクト全体が、銚子メロンでつながる人の考えを集約し、調整することで、前向きな取り組みができると思う。それぞれの立場の話をよく聞き、次のアクションを考えていく」と今後の展開についての考えを述べました。

共感を生む ファンを作る 改めて「銚子メロン」の魅力に迫る

1年を通して「銚子メロン」のリブランディングに取り組む「銚子メロン共創プロジェクト」。約2か月間しか市場に出回らない幻の「銚子メロン」のブランド復活を目指す活動は、今後、どのような共感を生むのか、どうやってファンを作っていくのか。これから「銚子メロン」はどのように消費者に支持を集めていくのか。マイナビ農業は、1年をかけて行われる「銚子メロン共創プロジェクト」の進捗を定期的にレポートします。

2018年が終わる頃、プロジェクトがどのような方向に舵を切ったか。そこに至る経緯、その間の活動内容は―。銚子市青年会議所と、生産者、JAが手を取り合って進む「共創」の行方が、全国各地の「地域の宝」を持つ生産者、支援者の道しるべとなるように。「銚子メロン共創プロジェクト」にご注目ください。

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