東京在住の漫画家が「狩猟肉=カリニク」を求めて猟師に

(C)これかわかずとも/KADOKAWA
「東京カリニク鉄砲隊」これかわかずとも
東京の高円寺で暮らす、新人漫画家これかわ・かずともさんの実体験に基づいた本作。都内のジビエ料理店で「銃砲所持許可をとった者に、猟銃をくれてやるぞ」とベテランハンターが豪語しているのを聞き、晴れて猟師になった主人公の栄川(えいかわ)カズアキ。グループでシカやイノシシを狩る「巻き狩り」をリアリティたっぷりに見せてくれます。
物語には3人の新人猟師が登場。マンガ家の栄川、そして映像制作業の椎谷(しいたに)メイコ、飲食店厨房勤務の備後(びんご)ケイスケです。
初めて栄川がシカを仕留めるシーンでは、先導を撃たれたシカの群れがパニックに陥る様子や、栄川自身がテンパって弾を川に落とす場面など、初心者ならではの視点から狩猟現場が描かれていて、なんとなく親近感がわいてきます。
女性猟師の椎谷が、自宅に友人を呼んでジビエを楽しむ食事シーンは、さながら「今どきのジビエブーム」の絵図と言えましょう。現代日本の狩猟を身近に感じさせてくれる、実践的なマンガです。
東京カリニク鉄砲隊
著者:これかわ かずとも
発行:角川コミックス・エース(株式会社KADOKAWA刊)
女性鷹匠の実録4コママンガで知る「現代の鷹狩り」

(C)ごまきち/星海社
「鷹の師匠、狩りのお時間です!」ごまきち
「鷹狩り」とは、鷹を使ってカモやキジなどの鳥を狩ること。そのような狩りをする人のことを「鷹匠(たかじょう)」と呼びます。日本でも鷹狩りの歴史は古く、江戸時代には武士たちの間で盛んに行われていたとか。特に、徳川家康は鷹狩り愛好家として有名です。
その「鷹狩り」を今の日本で、しかも名古屋駅から電車で10分ほどの場所で実践しているのが女性漫画家のごまきちさん。鷹狩り歴15年の作者が、相棒のオオタカを「師匠」と名付け、共に暮らし、共に狩りをする様子を4コママンガで伝えます。
オオタカの「師匠」が狩った獲物はもちろんジビエとして食べるのですが、解体処理を教えてくれるのは近所の猟師のおじさんです。料理店で働くおじさんは「おいしく食べることが生き物に対する礼儀」だと教えてくれます。
オオタカを飼育する難しさや、鷹狩りを通して発見する自然界の仕組み。今まで知らなかった世界が堪能できる希少な作品です。
鷹の師匠、狩りのお時間です!
著者:ごまきち
発行:星海社COMICS
アイヌの狩猟×ジビエを丹念に描いた超人気作

(C)野田サトル/週刊ヤングジャンプ・集英社
「ゴールデンカムイ」野田サトル
舞台は明治時代末期、日露戦争後の北海道。元陸軍兵の杉本佐一(すぎもと・さいち)が伝説の金塊を探し求めて繰り広げるサバイバルドラマです。現在も週刊ヤングジャンプにて連載中で、テレビアニメ化もされる大人気作品となっています(2018年5月時点)。
当時のアイヌ文化が迫力満点に描かれていて、アイヌの狩猟方法や、ジビエがどのように食べられていたのかを垣間見ることができます。命をつなぐための大切な営みとして生き物を真剣に調理するシーンには、誰しも目を奪われるでしょう。
数々のジビエ料理をふるまってくれるのは、ヒグマに襲われた杉元を救ったアイヌの少女アシ(リ)パ。第1巻では、くくり罠で捕ったリスを「肉のつみれ汁」にしていただきます。肉を刃物でたたいてひき肉にするアイヌの料理を「チタタ(プ)」と呼び、「チタタプ、チタタプ」と言いながらアシ(リ)パと杉本が交代で肉を刻みます。
※作中の表記では( )内は小字です
食べるときには「ヒンナヒンナ」と唱えます。「ヒンナ」とは食事に感謝する言葉で、アイヌでは食べながら言うのです。
作中で描かれるアイヌの食文化やアイヌ語は、どこか神聖なものにも見えます。これぞジビエの神髄なのかもしれません。
ゴールデンカムイ
著者:野田 サトル
発行:集英社
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