第一種銃猟免許と第二種銃猟免許の違いは?
免許取得のためには、居住する都道府県に申請し、狩猟免許試験(知識・適性・技能)を受ける必要があります。狩猟免許のうち銃猟免許は、使用する銃によって「第一種銃猟免許」と「第二種銃猟免許」に分けられています。
狩猟で使用する銃には「装薬銃」と「空気銃」があります。第一種銃猟免許を取得すれば「装薬銃」と「空気銃」の両方が使用でき、第二種銃猟免許では「空気銃」のみが使用可能です。
装薬銃とは
「装薬銃」には、「散弾銃」と「ライフル銃」があります。どちらとも、弾丸を発射するエネルギーとして火薬を使用する銃です。
「散弾銃」は原則として数多くの小さい弾が飛んでいく銃で、狩猟やクレー射撃に使われます。狩猟では、飛んでいるトリなどの動きの速いものを撃つのに適しています。散弾ではない一発弾(スラッグ弾)を使用して、シカやイノシシを仕留めることも可能です。一般的に、初心者が最初に手にすることが多いのが、この「散弾銃」です。
「ライフル銃」は銃の内側にらせん状の溝(ライフリング)が刻まれており、発射すると弾が回転しながら直線的に飛ぶ仕組みです。シカやイノシシ、クマなどの大物を仕留めるのに使われ、すさまじい威力を持ちます。最大到達距離は約3000~4000mにも及び、使い方次第では、非常に危険な銃です。
基本的に「ライフル銃」は「散弾銃」の所持許可を受けてから10年以上たたないと狩猟用としての所持許可が出ません。
空気銃とは
「空気銃」は、火薬を使わず、空気やガスの圧力を利用して弾丸を発射する銃です。こちらも銃の内側にライフリングがあり、「エアライフル」とも呼ばれます。狩猟や、射撃場での標的射撃に使われます。
「空気銃」を使った狩猟では、基本的に飛んでいないトリを狙います。木の枝に止まっていたり、畑でエサを食べたりしているトリです。沼や池、川などにいるカモを撃つ場合もあります。
銃砲所持許可を受けるための申請・試験・調査
狩猟免許を取得しただけでは、猟銃を手にすることはできません。銃を所持するには、都道府県公安委員会に「銃砲所持許可」を申請する必要があります。警察署を何回か訪ね、いくつも手続きを踏まなければなりません。
※講習や許可申請等に関しては、住所地の警察署に問い合わせてください。
猟銃等講習会(初心者講習)
まずは猟銃等講習会(初心者講習)を受講し、講習修了後に考査(試験)を受けます。試験時間は60分で、問題は〇×式の50問です。9割以上の正答で合格になります。
射撃教習
考査に合格すると講習修了証明書が交付され、その後、射撃教習の申し込み手続きに進みます(空気銃の場合には、射撃教習を受けずに空気銃所持許可証を申請できます)。射撃教習は射撃場で行われ、講習と実技試験があります。講習では銃の分解や組み立て方などを学びます。実技試験では実際に銃を撃ち、25枚の標的が飛ぶうち、3つに当たれば合格です。
警察の調査
射撃教習を受ける前には「教習資格認定申請」をしておくのですが、この申請時に警察で綿密な調べがあります(空気銃の場合は、空気銃所持許可証の申請時)。「なぜ銃を持とうと思ったのか」など細かいことを聞かれ、調書を取られます。警察による周辺調査、自宅訪問なども行われます。
とっても親切!銃砲店を訪ねてみよう
猟銃を使って狩猟を始めるためには、試験を受けたり、何度も申請の手続きをしたりと、非常に手間がかかります。不安な面もたくさんあるでしょう。
そこでぜひおすすめしたいのが、試験を受ける前に、先に銃砲店を訪ねてみること。最初は緊張するかもしれませんが、銃砲店のスタッフはとっても親切です。
「都銃砲火薬店」の店長に聞いてきました!
兵庫県姫路市にある「都銃砲火薬店」の店長・橋本勝弘(はしもと・かつひろ)さんを訪ね、猟銃を見学しながら、お話を伺いました。銃砲店というと閉鎖的なイメージを持たれがちですが、実際に訪れてみると全く違い、明るくてウェルカムな雰囲気に驚かされます。
店内には商品のほかに模擬銃もあり、猟銃の仕組みを教えてもらうこともできます。実際に狩猟をはじめる人はもちろんですが、まだ分からないけどとりあえず話を聞いてみたいという人にも丁寧に対応してくれます。猟銃や弾を見ると、狩猟のイメージもわきやすくなりますよ。
銃のことだけでなく、狩猟免許や警察での手続きについても相談に乗ってくれますから、初心者にとっては非常に心強いもの。「銃砲店は、買い物をするだけではなく、狩猟に関する情報が集まる場所でもあります。初心者の方も女性も大歓迎ですよ。ぜひ気軽に訪問してほしいですね」と橋本さん。
狩猟をやってみたい人は、試験を受ける前に、近隣の銃砲店を訪ねてみてはいかがでしょうか? 分かりやすく色々なことを教えてくれます。店内を眺めるだけでも楽しく、新たな第一歩となること間違いなし!です。
猟銃の種類は?
散弾銃の種類
最大3発連続で発射できる「自動式(単身自動式散弾銃)」、最大3発連射できるものの、毎回手元のポンプを引く必要がある「手動式(ポンプアクション式ショットガン)」の2つは散弾銃のなかでもメジャーな種類です。
そのほか、一発弾頭のスラッグ弾の「ボルトアクション式(スラッグ専用ショットガン)」、上下にそれぞれ弾をこめて1度に2連射できる「上下2連式」、左右にそれぞれ弾をこめて2連射できる「水平2連式」があります。
ライフル銃の種類
ライフル銃は毎回レバーを引いて弾をこめるボルト式ライフル、最初に撃った弾が発射した際に出るガスで次の弾がこめられるセミオートライフルがあります。
空気銃の種類
空気銃のなかで最も一般的なのが、シリンダー内にある空気をピストンで押し出すことで弾(ペレット)を発射するスプリングピストン式(エアコッキング式)です。
ほかには、引き金を引いてガスの力でペレットを発射するガスカートリッジ式、レバーを何度か引いて空気を溜めて発射するマルチストローク式、引き金を引くと空気がシリンダーから流れ込んで発射するプレチャージ式があります。
猟銃の値段相場は?
猟銃の値段相場は新銃(未使用)か中古かによって異なります。また、メーカーなどによっても変わり、価値の高いものは200万円前後するものも。散弾銃、ライフル銃、空気銃のなかでも新銃の相場が最も高いのは空気銃です。
空気銃の新銃の値段相場は約20万円~、中古は約7万円~となっています。散弾銃とライフル銃の値段相場はほぼ同じくらいで、新銃はどちらも約18万円~、中古は散弾銃が約6万円~、ライフル銃が約7万円~です。
猟銃の値段は決して安くはないため、狩猟の初心者の場合は中古から持つのもよいでしょう。
猟銃にはどんなメーカーがある?
レミントン
レミントンの正式名称はレミントン・アームズ社です。1816年に設立された老舗の銃器メーカーで、散弾銃ではM870が優秀なもののひとつとして知られています。アメリカでは狩猟用の猟銃メーカーとしてトップクラスです。
もともと狩猟用ショットガン、ライフルのメーカーとして大手でしたが、狩猟用散弾銃の部門においてトップのメーカーになりました。また、値段相場も比較的安く、購入しやすいです。
ベレッタ
ベレッタは正式名称をファブリカ・ダルミ・ピエトロ・ベレッタといいます。イタリアの銃器メーカーの大手で、設立は1526年です。イタリアで設立から200年以上の歴史がある会社にのみ許されている「エノキアン協会」に加盟しています。ベレッタは故障が少なく、重さも軽いのが特徴です。
ブローニング
ブローニングの正式名称はブローニング・アームズです。設立は1880年、高名な銃器設計者ジョン・M・ブローニングが設立した会社で、非常に精度が高く、故障が少ないメーカーとして知られています。
ミロク
株式会社ミロク製作所は国内唯一の猟銃メーカーです。1951年から猟銃の製造・販売を行うようになりました。ミロクの猟銃は細かな部分まで手作りでこだわっています。サイドプレートの手彫り彫刻が非常に美しいだけではなく、性能も職人によって匠の技が活かされているのが特徴です。
銃猟免許を取得する条件は?
狩猟をするためには猟銃の所持の許可、狩猟免許が必要です。まずは、狩猟免許を取得しなければなりません。狩猟免許は4種類、第一種銃猟免許(散弾銃やライフル銃)、第二種銃猟免許(空気銃)、わな猟免許、網猟免許です。猟銃を使用した狩猟をするのであれば、少なくとも第一種もしくは第二種を取得する必要があります。
住民票がある都道府県に申請し、試験に合格すると各都道府県知事から狩猟免状が発行されるので、その後、狩猟者登録、狩猟税の支払いをしましょう。登録すると、狩猟者登録証や狩猟者記章、鳥獣保護区等位置図(ハンターマップ)などが配布されます。
ちなみに、狩猟をするためには3000万円以上の共済あるいは損害賠償保険の加入が必要です。加入しない場合は同等の賠償能力があることを証明しなければなりません。
猟銃を所持するためには、まず住民票がある地域の警察署の生活安全課に申請し、初心者講習会を受けたうえで筆記試験に合格しなければなりません。合格後にすぐ3年間有効の講習修了証明書を発行してもらえます。
さらに、教習資格認定書を受け取るために申請し、身辺調査なども経て発行してもらいましょう。次に教習射撃を受講しますが、そのためには猟銃用火薬類等譲受許可証を取得します。教習射撃の前に、猟銃用火薬類等譲受許可申請書と教習資格認定書を持っていき、装弾の購入が必要です。
3時間程度の教習射撃を受講して試験に合格をすると教習修了証明書が発行されます。この証明書を得てようやく猟銃を購入することが可能です。ただし、購入予定の猟銃の申請をしてから銃砲所持許可証が発行されるまでの期間は長くて35日(通常は35日以内)、発行されたら警察の生活安全課まで受取に行きます。
ここまできたら購入予定の銃を受け取りに行きます。
必要書類を受け取り、購入から14日以内に警察署で銃の確認を受けてから実弾の購入をすれば、ようやく狩猟ができるようになります。
鉄砲所持許可を取るメリット・デメリットは?
メリット
許可を得ているので、射撃場を予約していつでも射撃ができるようになります。また、射撃協会に加入し、さまざまなイベントに参加することも可能です。射撃の練習を重ねることで、実際の狩猟に参加しやすくなる点もメリットでしょう。
緊張などもあって始めから獲物を仕留めるのは難しいかもしれませんが、練習の積み重ねで自信がつけばハンターとしての腕も上がることが期待できます。
デメリット
鉄砲所持許可証が発行されてから、決められた期間内に銃を購入しなければなりません。欲しいときに所持できるというわけではないので、この点は注意が必要です。また、発行される前に周辺の人への聞き取りなど身辺調査が入ります。
さらに、猟銃を所持してからも毎年(不定期の場合も)抜き打ち検査が入るので、この点もあらかじめ承知しておかなければなりません。
取材協力・写真提供
都銃砲火薬店
住所:兵庫県姫路市神屋町2丁目1番地9
営業時間:9:00~19:00(月曜日定休、日曜不定休)
電話:079-222-4449