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「八百森のエリー」作者の仔鹿リナさんに聞く 野菜に人生を捧げる青果仲卸の情熱

「八百森のエリー」作者の仔鹿リナさんに聞く 野菜に人生を捧げる青果仲卸の情熱

最終更新日:2018年07月17日

業界初の青果市場エンターテインメント漫画「八百森のエリー」。青果市場ってどんなところ? 作者の仔鹿リナさんが感じた第一印象は「広くて、無駄がなくて、カッコイイ!」。やっちゃ場(青果市場)で頑張る男たちの汗と笑いと情熱。畑とテーブルをつなぐドラマは、農家にいても知らないかもしれない「仲卸」という仕事の役目と醍醐味を伝えてくれます。読めば、野菜を買うのが楽しくなる。話題作の裏側について、仔鹿さんに聞きました。7月10日(火)~23(月)まで1周年記念プレゼントキャンペーン開催中!

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宇都宮の青果市場を舞台に国立大卒のエリーが走る

仲卸のやりがいを語るエリー。右コマの頬にある平手の痕の理由は単行本でチェック

「野菜に人生捧げますか!?」

リーゼント、金髪、ひげ面。コワモテながら筋を通す男たちが登場する

「八百森のエリー」は北関東の大手仲卸・八百森(やおもり)青果に、主人公の卯月瑛利(うづき・えいり)、通称エリーが入社するところから物語が始まります。エリーが先輩に「野菜に人生捧げますか!?」と活を入れられながら、青果仲卸として働く姿がマジメに、ときに笑いも交えながら描かれた作品です。

野菜の数だけ、人の数だけドラマがある

市場では日々、いろいろなことが起こっています。
フォークリフトがぶつかってスナップエンドウが廃棄寸前になったり、取引先ホテルから急に大量の原木シイタケを注文されたり、スーパーマーケットの新装開店に合わせて目玉商品を頼まれたり。
さまざまな課題を、「野菜も果物も必要なモノを必要な数だけ必要な場所に、必要な時間にそろえる」青果仲卸として、エリーは社員や農家さんたちと力を合わせて解決します。
業界漫画の枠を超えて、働くことの面白さを感じさせるリアリティのある描写が魅力の一つです。
そんな、リアリティのあるニッチな業界漫画は、どのようにして生まれたのでしょうか。

「八百森のエリー」ができるまで

仔鹿さんが生まれ育った宇都宮の風景や、市場でのセリの現場も勢いそのままに描かれる

構想3年? 「モーニング」で2017年に連載スタート

「八百森のエリー」は週刊青年誌「モーニング」で2017年9月に連載が始まり、2018年6月現在も連載中です。
描き出すきっかけは何だったのか。作者の仔鹿さんは答えます。
「前作のコミックエッセイ『うちのダンナは野菜バカ』の刷り出し原稿を見た編集さんから『野菜モノでネーム(漫画のラフ案)をつくりませんか?』と言われたのがきっかけです。すぐには浮かばなくて、本気で取り組むまでに3年くらい空きました」
そこからネームを仕上げ、企画を持ち込み、連載が決まったそうです。

青果市場で働くダンナさん

前作のタイトル通り、仔鹿さんの旦那さんはバカがつくほど野菜を愛し、青果仲卸に25年勤めています。「私がその中で知っているのは22年分です」と仔鹿さん。旦那さん本人や、その会社の人から話を聞いたり、市場へも頻繁に足を運んだりしているとのこと。
漫画の中でエリーが勤める八百森がある宇都宮市中央卸売市場は、旦那さんの勤務場所。リアリティのある描写もうなずけます。
「八百森のエリー」の発想のベースには、こうした背景もありました。

たくさんの協力者からの「取材がすべて」

ストーリーは漫画内の季節の旬の青果物を盛り込みながら作られる。豆知識も満載

さらに、「八百森のエリー」はすべて取材のもとに描かれています。
あえてそのような漫画にしているのでは決してなく、仔鹿さん自身が青果にかかわる職業ではないので、深く知るために取材をしているそう。
「どの話も取材して描いているので、どれも思い入れがあり、そのとき関わってくださった方のことを思い出します。取材に協力してくださる方がいないと描けません。取材がすべてです」
SNSで農家の人へ声をかけたり、遠方の場合はメールで質問をしたり、行ける距離であれば実際に会いに行って話を聞き、漫画のストーリーへと練り上げます。
なるべくそのまま描きたいと考えているため、先述の市場など、実名が出てくることもしばしば。
単行本の巻末には、多数の協力者へのお礼がつづられています。

青果仲卸は単なる中間業者ではない

2018年6月現在、最新刊は2巻。7月には3巻が発売予定

「思いを共有したい」

さて、そうは言っても、仲卸を単に中間業者と考える方もいるかもしれません。
この点、担当編集者にも話を聞くと「仲卸は世間からは今後なくなってもいいのではないかと思われているかもしれませんが、絶対必要な職業。世間の印象を変えたい。安いという価値基準だけで野菜を買う方たちの意識を少しでも変えてみたいです」と語気を強めました。
仔鹿さんも、仲卸の役割や意義、さらにそこにある「人とのつながり」を読者には見てほしいと話します。「『伝えたい』よりは『共感したい』が気持ちとしては近いです」

農家の味方として頑張る仲卸がいること

青果仲卸という仕事を、丁寧に描く「八百森のエリー」。
畑とテーブルのあいだに人がいることでスムーズに動く物事や、プラスされていく思いがあります。
最後に仔鹿さんに、農家へのメッセージをいただきました。
「いつもおいしい野菜や果物を作ってくださって、ありがとうございます。『八百森のエリー』は作っていただいた青果物をどうやって皆の食卓に届けさせるか、というお話です。流通に携わる人たちは農家さんの利益を搾取する中間業者ではありません。そういう人もいるかもしれませんけど…(笑)。この漫画の主人公のエリー君は農家さんの味方で、時には消費者側の立場の人間とぶつかって葛藤しています。エリーの頑張る姿を、たくさんの方に見ていただきたいです」

掲載画像はすべて©仔鹿リナ/講談社

八百森のエリー/仔鹿リナ – モーニング公式サイト

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