9月はまだ気温が高いため、野菜の生育も早いのですが、虫の活動や雑草の生育もまだ活発です。そこで、特に初心者の方向けに、虫や雑草に負けにくい野菜を5つ選んでご紹介します。
ルッコラ
あまり馴染みのない方も多いようですが、独特の香りがクセになる美味しさで、畑の生徒さんの中でもハマる人が多いです。成長も早くて、虫の害もそこまで多くない野菜なので、育てやすいです。
①種まきの仕方・ポイント
1cm間隔で筋まきし、軽く土を被せます。9月から10月にかけて、種まき時期を2〜3回に分けて行うと、収穫時期もずれて長い間収穫を楽しむことができるので、おすすめです。
②育て方のポイント
畑では水やりは必要ありません。プランターの場合は土が乾いてきたらたっぷりとあげましょう。隣の株と本葉が重なり合うようなったら、小さいものからハサミで間引きしていきます。小さい間引き菜でもしっかりと香りがあって、ベビーリーフとして楽しめます。最終的に15cmほどの間隔になるまで間引いていきます。
③収穫の目安・ポイント
40〜50日ほどで収穫できます。間引きが十分に済み、葉っぱが20cmほどの大きさになってきたら、今度は根元からではなく、葉っぱだけをハサミで切っていきます。小さい葉っぱを4〜5枚残し、大きな葉っぱから食べていくことで、長い期間収穫を楽しめます。
ジャガイモ
ジャガイモは春にも作れますが、秋も作れる品種がいくつかあります。特に秋冬はだんだんと雑草の生える勢いが衰えて行く時期なので、手入れの必要もあまりなく、よほど痩せている土地でない限り、ほぼ確実に収穫できます。下の写真のように、プランターでの栽培も可能です。
ただジャガイモはナス科の仲間で、連作障害になりやすいという特徴があります。同じナス科の野菜(トマト、ピーマン、ナスなど)とは、2〜3年は間隔を空けて植える必要があるので、その点は注意してください。
①種まきの仕方・ポイント
種芋を株間30cm、深さ10cmで植えていきます。9月はまだ気温が高いので、種芋を切って植えると、腐る可能性が高いです。小さめの種芋を選んで、丸のまま植えましょう。スーパーなどで売られているジャガイモでも、芽が出ていれば大丈夫です。一つの種芋につき、4個以上芽が出ていたら多すぎますので、3つだけ残してそれ以上は摘んでおきます。
②育て方のポイント
畑で育てる場合、水やりは必要ありません。プランターでもジャガイモが枯れない程度に水やりをしていれば大丈夫です。手入れとしては、草刈り以外には、ジャガイモが土からのぞいていたら、日に当たらないように土寄せしてあげる程度で、特に必要ありません。
③収穫の目安・ポイント
11月ごろの収穫です。葉っぱが茶色く枯れたら掘り上げます。霜が降る前には全て収穫してしまいましょう。
ラディッシュ
二十日大根とも呼ばれます。大根の仲間は発芽しやすく、成長も早いので、初心者にはオススメです。土がそこまで肥えていなくても育つ点も魅力です。特にラディッシュは早く収穫できますし、スライスしてサラダや、そのままマヨネーズをつけて食べるなど、調理法が簡単なのも嬉しいですね。小さいのでプランターでも簡単に栽培できます。普通の大根もラディッシュより時間はかかりますが育てやすいので、オススメです。
①種まきの仕方・ポイント
1cm間隔で筋蒔き(※1)していきます。隣の列とは20~30cmほど離しましょう。大根の仲間は嫌光性種子と言って、発芽の時に光を当たるのを嫌うタイプの種です。なので、しっかりと1cmほど種に土がかぶるようにするのがポイントです。
※1 土に指などで筋をつけてその上に種をまいていく方法
②育て方のポイント
畑での栽培の場合、基本的に水やりは必要ありません。プランターの場合でも水をやりすぎると、身割れや腐れの原因になるので気をつけましょう。
葉っぱが重なるようになってきたら、2回ほどに分けて少しずつ間引いていきます。根が動かないように根元をハサミで切ると良いです。生育の悪いものを除いて、大きくて太いものを残していき、最終的に4〜5cmほどの間隔になるようにします。
③収穫の目安、ポイント
実が2〜3cmほどの大きさになったら収穫です。早ければ1ヶ月ほどで収穫できるでしょう。大きくしすぎると実が割れたり、硬くなったりするので早めに収穫していきましょう。
レタス
レタスはキク科なのですが、このキク科の仲間の匂いは虫が嫌うため、虫害がほとんどなくて育てやすい野菜です。結球する玉レタスよりも葉の広がるリーフレタスの方が作りやすいです。プランターでも栽培可能です。
①種まきの仕方・ポイント
種からでもできますが、時間がかかるので、最初は苗から買ってきて、育ててみましょう。苗からだと収穫まで早く、確実に収穫することができます。植える穴にたっぷりと水をいれ、株間20〜30cmほどの間隔で植えていきます。
②育て方のポイント
畑で育てる場合、苗を植えるとき以外は水やりはいりません。プランターの場合は水やりをしすぎると根元が腐れる原因になるので、土が乾くのを待ってからたっぷりとあげましょう。
③収穫の目安・ポイント
苗からだと30日ほどで収穫できます。20〜30cmほどの大きさになったら、収穫していきます。根元から刈り取るのではなく、使う分の葉っぱだけを収穫して行くと、長い間収穫を楽しむことができます。
葉ネギ
ネギの仲間もキク科と同じように虫が嫌う匂いを出すので、虫の害はほとんどありません。ワケギやアサツキなども同じように栽培は簡単ですので、オススメです。プランターでも簡単に栽培できます。
①種まきの仕方・ポイント
苗で買ってきて植えると、すぐに収穫できるので、オススメです。スーパーで売られているネギの根元の部分を土に植えても大丈夫です。株間は5〜10cm間隔で植えていきます。しっかりと根がつくように、たっぷりと水をあげましょう。
②育て方のポイント
畑では苗を植えるとき以外は水やりは必要ありません。湿気にはあまり強くない野菜ですので、プランターで栽培するときは、水のやりすぎには注意が必要です。特に間引きなどの必要はありません。
③収穫の目安・ポイント
苗からですと2週間後くらいから収穫できます。根元を残して、葉だけを収穫することで、長期間楽しめます。
9月の野菜づくりのポイント
9月の野菜づくりのポイントは虫対策です。9月はまだ暖かく、虫の活動も活発です。特に小松菜や水菜、キャベツや白菜などの虫が好む葉物野菜を植えるときは、防虫ネットを張るなどして対策を行いましょう。物理的に虫が入らないようにできますし、薬剤などを使うわけでもないので、安心です。
10月以降の気温が下がってきた時に種をまいた方が、虫に食べられるリスクは減りますが、そのぶん野菜の成長も鈍くなり、収穫の時期は遅くなります。特にキャベツ、白菜などの結球野菜を育てる場合は、寒さが本格的になる前にある程度大きくしないと、うまく結球してくれないので、注意が必要です。
◆次回の予告
次回は、僕が普段行なっている「生きてるプランターづくりワークショップ」の活動をご紹介します。このワークショップでは、小さなプランターの中でもきちんと命の循環が生まれるように、プランターや土を工夫し、そこに種まきをして行くというものです。このプランターの作り方ですと、ただ土が生き生きしているというだけでなく、野菜を植え替えるごとに土を入れ替える必要がなかったり、野菜も健康的に育ちやすいなど、機能的なメリットもあります。作り方も合わせてご紹介していきますのでお楽しみに!