「みかん山」の町に大きな被害
柑橘類の生産日本一を誇る愛媛県内でも名産地として高い生産量を誇る宇和島市吉田町。山の斜面を埋め尽くすミカンの木々は産地ならではの景色を作っていました。しかし、7月の西日本豪雨では、土砂崩れなどにより多くのミカン畑が流され、畑に通じる農道もひび割れるなど大きな被害が出ました。宇和島市では、農業関係だけで150億円にものぼる被害があったと言われています。
今回、この宇和島市のミカン農家への支援は、2017年に和歌山県内で開催された「日本みかんサミット」でともに実行委員を務めた樫原正都さん、井上信太郎さん、清原優太さんの3人で呼びかけました。和歌山県湯浅町でミカンを栽培する樫原さんは、「豪雨では和歌山県内の農家にも塩害などの被害があったが、宇和島市の被害を目の当たりにしてこれは尋常でないと感じました。同じミカン農家として『僕らの産地は美味しいミカンができました』なんて言えない」と話します。
3人は7月から宇和島市内のミカン畑や共同選果場を訪ねてより良い支援の方法を模索してきました。今回、規格外のミカンを買い取る方法を選んだのは、自身のミカン農家としての経験からだと、樫原さんはいいます。
「畑だけでなく農道や施設もこれだけ大きな被害を受けて断水も続いていて、摘果や防除の作業に大きな影響が出ると想像できました。また農家への聞き取りでも、豪雨の直接の被害だけでなく規格外が増えることによる所得の低下を心配する声が多く、この規格外のミカンをなんとか買い取る方法を考えました」。
目標は500万円 12月27日まで
今回のクラウドファンディングは、12月1日に開始。500万円の資金を集めることを目標に、「温州みかんジュース」の詰め合わせなど3000円から10万円のリターンを用意して12月27日まで支援を募っています。
クラウドファンディングで集まったお金で購入された規格外のミカンは、宇和島市内のかんきつ加工会社「愛工房」でミカンジュースにし、リターンとして各地の支援者に届けられる予定です。
2人の思いに共感して、今回のクラウドファンディングでは30を超えるかんきつ農家や企業・団体が協力し、その支援の輪は広がり続けているといいます。
「崩壊したミカン畑は、また収穫できるまでに回復するのに7、8年はかかり、今回の金銭的な支援は一時的なものだと認識しています。しかしクラウドファンディングなどを通して多くの人に現状を知ってもらいたい」と樫原さん。今後は定期的に宇和島市内の様子をメディアを通して発信するなど「風化させない」ための取り組みを続けていくと話しています。
愛媛県宇和島エリアのミカン農家を支援する「クラウドファンディング」はこちら
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