【農業マーケティングの現場からVol.5】農業を地域にひらく「食べるモノ」から、「食べるコト」に拡げる発想

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【農業マーケティングの現場からVol.5】農業を地域にひらく「食べるモノ」から、「食べるコト」に拡げる発想

【農業マーケティングの現場からVol.5】農業を地域にひらく「食べるモノ」から、「食べるコト」に拡げる発想

最終更新日:2018年12月18日

この連載では地元のクチコミを大切することや、生産者がファンを作ることの重要性を説いてきましたが、実際にどのような効果が生まれるのでしょうか。ファーマーズ・ガイドが、地元の生産者や街づくり団体とともに行った農業マーケティングの実践事例を紹介します。

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生産者と“現場”で触れ合うイベントで実証実験

今回は、農業マーケティングの実践事例をご紹介します。わたしの地元でもある千葉県流山市でこのようなイベントを行いました。

イベント告知チラシ

会場は、流山市内の『お米を収穫し終えた田んぼ』です。稲刈体験ではなく、田んぼに残った藁を使って、自然に囲まれながら、大人も子どもも思いきり楽しんで、まちの農家さんを身近に感じることができるイベントです。

イベントで大人と子どもが一緒になって作った大型ティピーテント

主催は、田んぼの管理者である流山お田んぼクラブ。代表の岩根宏(いわね・ひろし)さんは、市内の生産者です。そしてファーマーズ・ガイドと、流山でまちづくり事業を推進するmachimin(株式会社WaCreation)とが、協力する形で行いました。参加費用は1家族1000円。参加者は地元住民約100名。集客には流山市内の保育園での告知、ファーマーズ・ガイドのサービス「チョクバイ!」のウェブチラシ機能などを使いました。

チョクバイ!WEBチラシ機能の画面

本イベントの特徴と狙い

この農業イベントの特徴は2つあります。

① 流山に暮らすママたちが自身でアイデアを企画・運営し、地元の農家が場所を提供して実現する、流山市民による完全自走プロジェクトである点
② お米というモノだけでなく、田んぼと農家を立てることでコト化している点

自分が暮らすまちの農業者のことを知って欲しい、身近に感じて欲しい、そして、今まで以上に「いただきます」を楽しんで欲しい、そのような思いで設計しました。

イベントで挨拶をする代表岩根さん

大人が本気になって藁ティピーテントをつくります

子供たちも大喜びでお手伝い

赤ちゃんも一生懸命です!

集まった親子は、岩根さんが語る田んぼでの一年のストーリーに耳を傾け、藁を骨組みにかぶせて大きな三角屋根の「ティピーテント」作りや、藁を使った縄やホウキ作りを体験。イベントのクライマックスには、田んぼで獲れた新米を羽釜で炊いておにぎりを作り、岩根さんと参加者全員で味わいました。

お米の炊き上がりを確認する岩根さん

炊きたてのお米を自分たちで握ります

とってもおいしいよ〜!

「このお米は、特別なんだよ」「どうして?」「今年、ここで獲れたものなんだって」「へぇ、甘くておいしいね!」と、自然にお米へ意識が向いた親子の会話が聞こえてきましたます。

イベントの効果測定

イベント参加者の方にアンケートをとりましたので、その内容をお見せします。

モノに対する感想

  • 甘くて美味しかったです
  • モチモチしておいしかった。
  • 買いたい、とてもおいしかったです。
  • 地産地消がいいと思う など

コトに対する感想

  • 自然の中で遊ぶ事はふだんできていなかった。流山の知らない一面を知れてよかった
  • 自然の近くにいながらも、あまりふれあう機会がないため、貴重な時間でした。
  • 子供たちが自由に走り回ったり、体を動かせる場所があまりないので、子供たちが楽しそうで良かった。おかまで炊いた新米も本当に美味しかったです。
  • 田んぼに来たのは初めてでした!内容もとても楽しめ、お米も美味しかったです!ありがとうございました! など

岩根さんのことを知らなかった多くの方が、イベントを楽しみ、農業者の想いやこだわりを理解し、「おいしかった」「買いたい」と答えています。
岩根さんも「感想を直接聞いたり、食べ方の提案ができた。若い世代の顔見知りが増やせたのもとても良いこと」と喜んでいました。

またイベントを実施して終了ではなく、買いたいと答えてくれた方向けに、お田んぼクラブで収穫したお米・野菜の直売会を継続して行っています。

イベント後の直売会の様子

後日行った直売会の様子

イベント当日の売上は33,450円(お米・野菜ともに30分程度で完売)、イベント後の定期直売会でも安定しておよそ20,000円程度の売上(1回3時間程度)です。

顔の見えない大勢として考えるのではなく、目の前のあなたと対話するという意識を持つことで、農業者の想いやストーリーをしっかりと届けることができ、実際の商品購入までつなげることができます。そして売上だけでなく、自分の好きな農業を追求しお客さんの反応をダイレクトに受け取れる場を持つことは、農業者にとって大切な意味があることだと思います。

イベントを行うべきだと言っているのではありません。農業を家族に閉じず、外にひらく。周りを巻き込み、動くことで、誇りと自信をもった農業経営が実現できるのではないでしょうか。

現代都市生活の中で、農業は「生産」「流通「消費」の関係に分断されて来ました。これを再び結び付けることで、農業の新しいカタチをつくることができるのはないかと思います。

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