日本酒新時代! シャンパンに負けない「スパークリング日本酒」最前線

公開日:2018年12月28日
最終更新日:
ヤッホー‼ あけましておめでとうございます! 世界で唯一のコンビ揃ってきき酒師の漫才師「にほんしゅ」です! 大好きな日本酒にまつわる漫才や活動をするうちに、全国の酒蔵さんへの訪問も訪問すること100蔵を超えました。お正月はぜひ日本酒で乾杯していただきたい!ということでお正月スペシャルとして「日本酒特集」をお送りします! 今回のテーマはハレの日にぴったりの「スパークリング日本酒」!本格的なスパークリング日本酒造りに長年チャレンジしてきた、埼玉県深谷市で「菊泉」「ひとすじ」を醸す「滝澤酒造」に突撃インタビュー。
スパークリング日本酒とは?
あさやん
最近スパークリング日本酒の人気が高くなってるけど、すごい進化してるみたいやな!
そうらしいね! 大手酒造メーカーも続々と発売してて、世間の認知度も人気も高まってきてるな。スパークリング日本酒を飲んでから日本酒にハマる人もいるもんね!
北井
あさやん
今日はスパークリング日本酒にこだわる酒蔵さんに取材へ行かせてもらうけど、その前にスパークリング日本酒の分類の基本の説明やっといて!
先に酒蔵向かっとくから!
北井
では簡単に説明させていただきますね!
スパークリング日本酒には大きく分けると2種類あります。

このようにシュワシュワ感を出すためには2種類の製法があるということですね!
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あさやん
上出来や! ほなここからは自然発酵によるスパークリング日本酒にこだわる酒蔵さんにシュワシュワのシュパークリング日本酒について聞くでー!
北井
自然発酵のスパークリング日本酒

明治時代から深谷の地で酒造りをする滝澤酒造。蔵構えも立派です
深谷ねぎで有名な埼玉県北部の深谷市に蔵を構える滝澤酒造。スパークリング日本酒を20年以上前から「いつか自分の蔵でも製品にしたい!」と思い、研究を続けるのは、6代目杜氏の爽やか社長、滝澤英之(たきざわ・ひでゆき)さん。味わいも香りも素晴らしいスパークリング日本酒「ひとすじ」を自然発酵の技術で開発した、研究熱心な杜氏さんです。製造・販売をされる滝澤酒造の滝澤さんに自然発酵によるスパークリング日本酒の分類からお話を伺いました。
あさやん
こんにちは。
深谷までようこそいらっしゃいました。
滝澤社長
北井
あさやん
飲んでみないと分からないので早速試飲の準備をお願いします。
北井
いやまだや! まだや、というかお話伺いに来てんねん。
北井
滝澤さん、自然発酵によるスパークリング日本酒にも色々あるんでしょうか?
そうですね。自然発酵のものでも「(活性)濁り」と「透明なもの」に分類出来ると思います。
滝澤社長
北井
なるほど。確かにシュワっとした濁り酒と、シャンパンのように透明なものがありますよね。
滝澤酒造で製造している「ひとすじ」は「透明なもの」なんですが、にごりを取り除いて透明な状態のスパークリング日本酒をつくるのが技術的にとても難しく、商品として安定した品質で流通させるのも難しいんですよ。
滝澤社長
あさやん
滝澤さん! そんな弱気にならずに!
必ず製品化できますよ!
北井
そう(笑)。それが「ひとすじ」なんですよ。そして2016年11月に「透明なスパークリング日本酒」の品質向上や市場での普及促進などを目的に自主的に厳格な認定基準を定めた「一般社団法人awa酒協会」が設立されました。私は副理事長を務めています。
滝澤社長
北井
いいですね! 盛り上がってますね、スパークリング日本酒の世界。
あさやん
あさやん
わかった!
シュワっとした「泡」の酒やからawa酒なんですね!
滝澤社長
北井
2018年11月現在awa酒協会で認定されているスパークリング日本酒が12社17銘柄ありましてどれもおいしいですよ。
ちなみに(活性)にごりのスパークリング日本酒ではなくて「透明なもの」を初めて製品化したのが群馬県の永井酒造さんの「MIZUBASHO PURE」なんですね。永井酒造社長の永井さんがawa酒協会理事長を務めています。
滝澤社長
北井
あさやん
ではそろそろ「ひとすじ」と「MIZUBASHO PURE」の飲み比べを。
北井
シャンパンにも負けないスパークリング日本酒を造る
あさやん
では「透明なスパークリング日本酒」の製法の難しさについて、もう少し詳しくお聞かせください。
北井
北井
そもそも技術的に難しいのになぜ透明なスパークリング日本酒づくりに取り組むんですか?(活性)濁りではだめなんでしょうか?
もちろん(活性)濁りもいいんですが、世界に進出したときにはワインの国の基準や感覚で判断されてしまうので、どうしても濁ったお酒よりも透明なお酒の方が評価されるんですよね。フォーマルな場にも入り込みやすいと思います。
滝澤社長
北井
なるほど! 世界に進出して海外の方にもシャンパンのようにハレの日に飲んでいただく、という目標があってこそなんですね!
あさやん
僕の予想した通りの回答でした。素晴らしいと思います。
北井
「透明である」ことも技術的に難しいのですが、更に大きなハードルがawa酒協会の認定基準のガス圧です。awa酒協会の基準は3.5気圧以上なんですよ。ちなみにビールが2.5気圧ぐらい、シャンパンは5気圧以上なんですね。
滝澤社長
北井
なるほど、ビールとシャンパンの間くらいなんですね。

瓶を下向きにして保存し、定期的に回して蓋の方に濁りを集めたのち、いったん蓋を開けて濁りを除去する
気圧が高いまま完成させるのが難しいんですよ。瓶内で濁りを持った状態で3.5気圧あったものが、濁りを取り除く作業でどうしても1気圧ぐらいダウンしてしまうんですよ。この濁りを取り除く作業が腕の見せ所といいますか、各酒蔵の企業秘密だと思います。うちでは濁りを取り除く前は5.5気圧ぐらいある状態にしています。
滝澤社長
あさやん
あさやん
技術的な困難を乗り越え、世界に羽ばたく埼玉県の滝澤酒造からお送りしました。
北井
世界初の透明なスパークリング日本酒のロゼ!

北井
かなりスパークリング日本酒について理解できましたが、そもそも滝澤さんはなぜスパークリング日本酒をつくりたいと思ったんですか?
若い頃、自分の蔵へ戻って働く前に、別の蔵で酒造りの修業をさせてもらったんですよ。そのときにお酒のもろみの発酵10日目頃に少し味見をしたんですが、この発酵途中のお酒の「ピチピチしたガス感、甘み、酸味」がすごくおいしいと衝撃を受けまして。「いつか製品にしたい!」という思いで研究を重ね、ついに製品化させたものが「ひとすじ」と「ひとすじロゼ」なんです。
滝澤社長
あさやん
なるほど、滝澤さんの若くてピチピチしてた修業時代にピチピチした発酵途中のお酒を飲んでワクワクしたってわけですね!
北井
滝澤社長

滝澤酒造のスパークリング日本酒「ひとすじ」(写真左)と、新商品の「ひとすじロゼ」(写真右)
北井
あと、「ひとすじ」のロゼも出たんですよね! どうやって赤色を出すんですか?
3パターンあると思います。
まず1つめの方法は、古代米(赤米)を使う。
2つめの方法は紅麹を使う。
そして3つめの方法は赤色酵母を使う。
私は3つめの赤色酵母でもろみを仕込んで赤いロゼ色を出しています。味わいが1番くせがなくつくれると思ったんですね。
滝澤社長

「ひとすじロゼ」は淡いピンク色がとても美しい
北井
なるほど。赤色に発酵させる酵母があるんですね! ロゼのスパークリング日本酒ってすごく珍しいですよね?
そうですね。他社の商品でもロゼのスパークリング日本酒はいくつかありますが「にごりを取り除いて透明で、自然発酵のガスで、ガス圧も高いawa酒基準のスパークリング日本酒ロゼ」としては世界初と言えると思います。
滝澤社長
あさやん
おぉー! 世界初! 僕たちも世界初のコンビ揃って「きき酒師」の漫才師ですから一緒ですね!
北井
ではあさやん、北井さん。
「ひとすじロゼ」飲んでみてください。
滝澤社長

北井
えぇー! いいんですか!? お話聞いてからの……。
あさやん
北井
滝澤社長
あさやん
とてもキュートでありながら繊細な甘酸っぱさ。香りは酵母由来かな?さわやかな若いストロベリーのよう。特別な日の乾杯にぴったりです。
北井
北井
本当においしいです! これはさすがに毎日飲むのは贅沢すぎる気がしますが、どんなシーンで飲んでもらいたいですか?
「ひとすじロゼ」は1本9000円(税抜)するので自宅用ではなくて「クリスマスに彼女と乾杯」とか「お祝い事の贈り物」「結婚のお祝い」のような使い方をしていただけたら嬉しいですね。ありがたいことに販売間もないんですが早速海外のレストランからも注文が入ったりしています。
滝澤社長
北井
やはり海外からも需要があるんですね! 嬉しいですね!
あさやん
素晴らしい! 滝澤さんの長年のスパークリング日本酒への熱い思いや研究によってスパークリング日本酒の進化を目の当たりにし、最先端のお話を聞かせていただきました! それもこれも全ては滝澤さんという一人の男が酒造り「ひとすじ」だからこそ!
滝澤社長
北井
最後のまとめだけうまいなぁ!
滝澤さん、ありがとうございました!

滝澤酒造株式会社
一般社団法人 awa酒協会
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