植え付けまでの準備の2週間
1、種イモを購入する
「イモがゴロゴロとれる」という言葉の訴求力には抗いがたいものがあります。「ときめく」か「ときめかない」か、と聞かれたら間違いなくときめいてしまう。イモを前にして容易には捨て去れないのが栽培ゴコロというもの……。
そんなわけで、正月明けから並び始めた種イモにまんまと手を伸ばしてしまったのです。
選んだ品種は家庭でもおなじみの男爵イモとメークインの2種類。ジャガイモなら普段料理に使っているものをそのまま植えればいいのではないかとも思われますが、食用や自家栽培したものは病気に感染しやすいそう。種イモの価格は一つ30円程度と安価なので、流用せずに専用のものを新たに購入するのが無難です。
植え付け時期は春と秋の年2回ありますが、初心者が育てやすいのは春植え。東京などの中間地では2月中旬から3月末くらいまでが植え付けの時期にあたり、それに先駆けた1月頃から種イモが店頭に並ぶことが多いようです。
2、芽出しする
種イモは植え付ける前に日に当てて芽出しします。今回購入した種イモはすでに芽が出ていましたが、植えるにはまだ時期も早かったので、2週間ほど日当たりの良い場所に置いておきました。
3、種イモを切り分ける
芽出しした種イモは小さいものならそのまま植えれば良いようですが、大きなものは一つ50〜60グラムくらいに切り分けるのが一般的。これは、必ず切らなければいけないというより、切って株数を増やして植えたほうがたくさん収穫できて得だという考え方のよう。
計ってみると男爵イモは101グラム、メークインは79グラムあったので、それぞれを2つに切り分けました。包丁を入れる場所に迷いましたが、【プロに教わる、ジャガイモの育て方】 を参考に写真のように分割。気をつけたポイントは、(1)芽を避けて切ること、(2)“へそ”を下にして縦方向の切り目であること、(3)切り分けた両方に芽があること——の3点です。
切り口は腐りやすいので天日干しして乾かすか、草木灰(そうもくばい)やジャガイモ専用の切り口処理剤をつけておきます。今回は肥料用も兼ねて購入した草木灰を使いました。
4、プランターと土を用意する
ジャガイモ用に新たにフェルトプランターを取り寄せました。深型のプラスチックのプランターでも栽培できますが、大きくて深いプランターをあまり増やしたくないと考えて探していたのです。購入したものは使わない時に折りたたんで小さく保管できる上、側面に “窓”がついていて生育状態を確認するのに便利そうなのが決め手になりました。
種イモをそれぞれ2つに切り分けたので、2つのプランターに分けて植えることにして、片方のプランターは新しい培養土を袋からそのまま投入。もう一方のプランターにはダメになるのもやむなしの覚悟で“リサイクルブレンドの土”を入れました。
さんざん使い古したココヤシの土や、元が何の土だったか分からなくなってしまった使い古しの培養土をかき集めてきたのです。一般的には違う種類の培養土を混ぜて使うことはあまり勧められていませんし、使い古しの土は状態によっては再生させないと厳しい。
ただ、【畑は小さな大自然vol.28 】によると、ジャガイモはもともと痩せた土地で育つ野菜だといいます。ならば、新しい培養土でなくとも、使い古しのいい加減な土でも育つのではないかという試みです。答え合わせまでに3ヶ月以上もかかる気の長い実験なのですが……。
準備した種イモを植え付ける
ここまで準備してようやく植え付けです。
土の分量はプランターの半分くらいまで。種イモの切り口を下にして男爵、メークインの半分を一つずつ置いて、3〜5センチ土を被せました。種イモの間は30センチほど開けて植えたほうが良いようなので、その基準に照らすと狭い間隔。スペースに限りがあるベランダでたくさん育てるための“ギュウギュウ作戦”ですが、これが吉と出るか凶と出るか。うまく太ること祈りつつ、最後に水をかけました。
植え付け以降の栽培方法は?
植え付け後は、芽がでるまで水やりは不要だとされています。その後、芽が10〜15センチに伸びてきたら一株につき1〜2本を残して芽かき。2回くらい増し土と追肥を繰り返し、6月ごろに葉が黄色く枯れかけてきたところで収穫という経緯をたどるようです。
袋栽培ならプランターいらず!
今回はフェルトプランターを使いましたが、ジャガイモ栽培では培養土の袋にそのまま植え付ける袋栽培という方法もあります。方法は袋を立てて置けるようにテープなどを使って底にマチ部分を作り、水抜きのための穴を開けるだけ。増し土することを見越して土の分量は半分ほどに減らして植え付けると良いようです。
また、袋栽培ができる栽培キットなども複数のメーカーから市販されているので、手始めにこうしたものを利用するのもいいかもしれません。
ジャガイモは“放ったらかし”に向く野菜?
「勝手に増える」「放っておいても育つ」などと言われることもあるジャガイモ栽培。もちろん雨水の入らないベランダ栽培では水やりが必要ですし、増し土や場合によっては追肥なども行うので、まったく手間いらずというわけにはいきません。
それでも短いスパンで世話に追われることなく、ある程度放って置いても大丈夫そうで、そのゆるい感じも「ほっこり」「癒される」と感じさせるゆえんなのかも。のんびり・じっくり栽培もいいものだなとしみじみ思った春一番の植え付けでした。
◆でも、やっぱりジャガイモ“ゴロゴロ”が待ち遠しい!次回は、防寒対策の成果を検証!?
【関連記事はコチラ】
これで失敗しない! プロに教わる、ジャガイモの育て方~大きく育てるコツを紹介します~【前編】
これで失敗しない! プロに教わる、ジャガイモの育て方~大きく育てるコツを紹介します~【後編】
原産地を知って覚える栽培のコツ〜ジャガイモ編〜【畑は小さな大自然vol.28】