農家が教えるキュウリ栽培 混乱しがちな「仕立て」のコツ
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生産者の試み

農家が教えるキュウリ栽培 混乱しがちな「仕立て」のコツ

連載企画:農家が教える栽培方法

農家が教えるキュウリ栽培 混乱しがちな「仕立て」のコツ
最終更新日:2019年07月18日

ウリ科作物の栽培は、トマトやナスなどのナス科に比べると比較的容易です。最初は本文中でも紹介する、ネット誘引での半放任栽培でチャレンジしてみて、こんなにキュウリがなるのだということを体感してみましょう。もっと長く楽しみたい、中級レベルの栽培に踏み込みたいという方は“つるおろし”栽培にも挑戦してみてください。初めてのキュウリ栽培では、難しく感じる「仕立て」のコツを紹介します。

キュウリ栽培について、下図の栽培カレンダーに沿って要所の解説をしていきたいと思います。

キュウリ栽培

キュウリの種まき(播種<はしゅ>)

夏野菜の栽培において、筆者は一貫して購入した接ぎ木苗の利用を推奨しています。
しかし、ウリ科作目は、ナス科作目より比較的強靭(きょうじん)で種からの栽培が容易なため、一から全てやってみるのも良いでしょう。
育苗用の施設がない家庭菜園の場合は、自前の苗だと定植が遅くはなってしまいますが、園芸の楽しみ、収穫の喜びは倍化することでしょう。
園芸培土をいれたポットに一粒ずつ種をまき、毎日水やりをすれば、4月初旬まきで5月中旬には定植できます。

畑の準備 キュウリの元肥

元肥として、遅くとも植え付け2週間前に1平方メートルあたり苦土石灰100グラムを施し、1週間前に完熟たい肥4キロ、化成肥料を250グラム程度(成分比率8-8-8の場合。数字は窒素・リン酸・カリウムの含有率を示す)施用します。
肥料を土とよく混和し、畝をたてて準備しておきましょう。黒マルチシート(畝を覆うシート)を利用する場合は、早めに張っておくと地温が上昇し、定植後の初期生育が旺盛になります。

キュウリの植え付け(定植)

キュウリの植え付けは、遅霜のなくなった頃、春の大型連休の前後が良いでしょう。ホームセンターでの苗の販売は4月初旬からはじまりますが、4月初旬に植え付けると、霜でやられてしまいもう一度苗を購入する確率が非常に高くなります。

キュウリ栽培

植え付け幅は株間70センチで、家庭菜園の場合は行灯(あんどん)の利用を推奨します。風害を避けることができ、生育が良いのもありますが、栽培初期に葉をボロボロにする害虫のアブラムシやウリハムシは、主に風にのって平行移動するので、これらの被害を最小限に抑えることができます。

キュウリ栽培

行灯

キュウリの仕立て方

キュウリ栽培をはじめる際に最も混乱するのは、キュウリの仕立て方に関してです。
家庭菜園の場合はネットによる誘引が一般的でしょう。
最も扱いやすく丈夫なものは以下の図のように2条植えの合掌方式で支柱を組むやり方です。

キュウリ栽培

さあ、ネットにはわせてキュウリをつくっていくぞ、と意気込んでいるのは分かりますが、最初の6節(主枝から発生する本葉の一枚につき1節と数えます)までは、葉のわきから伸びてくるわき芽は全て切除します。

キュウリ栽培

基本は主枝を真っすぐ上に伸ばしていきます。この主枝のことを親づるといい、生育初期にあたる6節まではこの親を育てることに注力します。

7節以降は下図のようにわき芽(子づると呼ばれます)を1~2節残して摘心(芽の先端を切ること)していくことで、親づるを育てながら、収穫していきます。定植時期や天候にもよりますが、おおよそ25~30節あたりの、手が届かなくなったあたりで主枝である親づるを摘心してしまいます。

キュウリ栽培

基本的にはわき芽である子づるを1~2節ずつならせて収穫するのですが、この子づるから更に孫づるが発生していきます。特に親づるである主枝が止められると、孫づるの発生が旺盛になります。この処理の仕方で過繁茂になり、それが原因で病害虫や生理障害など、随分と苦労することが多いように思います。

家庭菜園の場合は、10節以降の孫づるに関してはある程度放任してならせるだけならせるのもひとつの手段です。家庭菜園では、梅雨の間にいろんな病害にやられてしまい、7月中旬頃にはボロボロになっている方が非常に多いです。それを防ぐために、6月中下旬に第二弾のキュウリの種をまいておき、第一弾のキュウリが収穫できなくなった頃に第二弾キュウリの収穫が始まるという、二期作をやっている方も多くいます。

つるおろし

防除も追肥もしっかりやられている方が、更に長く楽しむために“つるおろし”栽培に取り組むことも近年増えてきました。孫づるは利用せず、主枝付近で収穫し続ける方法です。主枝がのびた分だけ、根元のつるを巻き取るようにまとめていきます。この場合、ネットではなく支柱やひもによる誘引になり、収穫のたびに“つるおろし”のひと手間を要しますが、考え方も単純で長く楽しむことができます。

キュウリ栽培

この方法を採用するときは“節なり”タイプの品種を選択しましょう。種の袋に書いてあります

追肥と水やり

追肥は、収穫開始以降、10日に一回化成肥料を一株あたり大さじ一杯程度施用します。
また、特に梅雨明け以降の水やりは非常に大切になります。梅雨明け以降は土が乾燥することのないよう、雨がなければ頻繁に水やりをするように心がけましょう。
とくに相談の多い「キュウリの実が先細りして曲がる」という現象は、本来であればさまざまな要因が考えられるのですが、家庭菜園の場合は特に水不足が原因であることがほとんどです。梅雨明けの暑い時期にキュウリが曲がっていませんか? 心当たりがあるならば、今年は十分な水やりを肝に銘じましょう。

キュウリの花が落ちる

相談の多い内容に、キュウリの花や実が落ちる(枯れる)というものがあります。
話を伺っていると、落ちているのは雄花の方で、果実が実る雌花ではありません。キュウリは単位結果性という性質を持っていて、授粉しなくても実がなるのです。雄花がいくら落ちたところで影響はありませんのでご安心ください。
「いや、雌花(果実)が落ちるんだよ」という方は、虫や病気の被害でないのであれば、これも水不足や肥料不足をまず疑ってみましょう。キュウリの根は地表面近くに浅く張っているので、乾燥の影響を強く受けてしまいます。

主な病害虫

うどんこ病:特に梅雨時期に頻発する病害。葉に白い粉が付着する。適応農薬で発見次第初期に防除する。葉が茂って風通しが悪くなると一気に感染が広がるので注意。

べと病:葉が斑点状に黄化する。雨による泥はねからの感染が主なので、マルチをしていると被害は軽減される。

アブラムシ:栽培期間中多くの被害がある。食害自体は大したものではないが、放置すると治療不可能なウイルスの病気の感染媒体になるなど、甚大な被害につながるので適応農薬を散布する。

ウリハムシ:5月と8月に被害が大きくなる。農薬を散布しても逃げ回るので、動きの鈍い早朝に防除する。個体数の少ないうちは見つけ次第捕殺する。

なんだかややこしそうに見えるキュウリ栽培ですが、やっぱり難しい!と感じた方は、「地這(じば)いキュウリ」の栽培をおすすめします。放任栽培用の品種で、園芸店にも種がよく置いてあります。主枝を50センチで摘心してしまい、あとは放任して子づる孫づるに着いた果実を収穫するだけの仕立て要らずです。
簡単なので、キュウリは「地這い」しか作らないという人もいるくらいですが、地面を這わせるので面積は多く必要です。
とにかく毎日のように収穫できるのがキュウリの楽しみ! うまく仕立てて収穫に励みましょう!

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