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30年の思いが今、たわわに実を結ぶ。純日本産『小坂ワイン』誕生までの物語

30年の思いが今、たわわに実を結ぶ。純日本産『小坂ワイン』誕生までの物語

秋田県の北東端に位置する秋田県小坂町。人口5000人ほどの小さな町は、国立公園十和田湖、鉱山繁栄期の面影を残す産業遺産など特徴ある資源を生かした町づくりを行うとともに、未利用農地の有効活用を目指したブドウ栽培振興事業を積極的に行っています。この地域性を生かし、一昨年秋にワイナリーをオープン。約30年間にわたり、同町が取り組んできた純日本ワイン誕生までの軌跡とは。全国のワイン通をも、うならせる小坂ワインの秘密に迫ります。

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鉱山の町にワイナリーを!
ゼロからの挑戦『小坂町ワインプロジェクト』とは

戸田さんと杉原さん

プロジェクトの中心となって活躍する杉原さん(右)と、若手ブドウ農家の戸田さん(左)

構想30年の一大プロジェクトの始まり

秋田県小坂町は、明治時代から鉱山の町として栄え、明治後期には鉱産額日本一を誇り、日本の産業発展に貢献してきました。しかし、戦後は採掘量の減少や企業の撤退などにより鉱山は衰退。鉱業に支えられてきた小坂町の産業にも陰りが見えてきました。このままではいけない、と新たな産業の創出に取り組んだのが平成元年のこと。小坂町役場観光産業課の杉原隆広さんは、当時をこう振り返ります。

「鉱山に代わる、新たな観光資源の創出は、町の再起をかけた一大プロジェクトでした。さまざまな意見が出る中、町に自生する山ブドウにヒントを得て生まれたのが、小坂町にワイナリーを作るというもの。日本固有の山ブドウを栽培し、純国産のワインを作るという構想でした」。

とはいえ、これまでブドウ栽培の経験は皆無だった地域でワイナリーを作ることは容易ではありません。すべてが手探りの中、救いの手を差し伸べたのが、山ブドウ研究の第一人者である故・澤登晴雄さんです。

「日本における多くのワイナリー設立に尽力された澤登さんは、山ブドウの父とも呼ばれ、国産山ブドウの品種改良や開発に力を注がれていました。小坂町でしか作ることができない純国産ワイン造りへの思いに共感いただき、日本オリジナルの山ブドウ系品種『小公子』をはじめとする苗の譲渡、さらには栽培方法も一から指導くださいました」。

小坂の気候や風土を生かしたブドウ栽培

小坂町の『ブドウ栽培振興事業』が発足してから30年。天候に左右されやすいブドウ栽培は、安定した収穫が難しく、最初の10年は試行錯誤の繰り返しだったと杉原さんは語ります。

「年によっては、ブドウに実がつかなかったり病害虫の被害を受けたりすることもあり、採算が取れないとリタイアする人も少なくありませんでした。それでもワイナリー設立の夢を諦めずに続けることができたのは澤登さんをはじめとした、さまざまな方の協力があったからです。着実に育ち続けた小坂町産のブドウはやがてワインの原料として評価されるようになり、国内のワイナリーに出荷されるまでになりました」。

ブドウ栽培が軌道に乗り、町はいよいよプロジェクト最大の目的であるワイナリー設立に乗り出します。平成29年10月、日本の滝百選にも選ばれた小坂町の名瀑『七滝』の麓に『小坂七滝ワイナリー』がオープン。構想から30年の月日を経て、小坂産のブドウを原料とした『小坂ワイン』が誕生しました。

小坂ワインプロジェクト発祥の地で目指す、世界に一つだけのワイン造り

戸田さん

ブドウの生育状況は、葉をみれば分かる。栄養状態の把握や、樹勢管理管理に欠かせない大切なバロメーターだ

小坂町のブドウ栽培は、昭和63年に、同町の鴇(ときと)地区でスタートしました。標高300メートルに位置するこの地区は、太古に十和田湖の大噴火によって堆積した火山灰土壌。一般的には作物が育ちにくいとされる火山灰土壌ですが、水はけが良く、ブドウ栽培に適した環境だったのです。

「鴇(ときと)地区は昼夜の寒暖差があり、これがブドウの着色を良くします。また、十分な酸味も残るので、まさにワイン用ブドウの生育にふさわしい環境が整っていると言えるのではないでしょうか」。

そう話すのは、戸田農園代表の戸田喜輝さん。小坂ワインの次世代を担う若きリーダーとしてブドウ栽培に情熱を注いでいます。戸田さんは、非農家の出身で実家は和菓子屋。地元の特産品を使った和菓子を作りたいと模索する中、ブドウに出会いました。

「7年前、町の臨時職員として、ブドウ栽培に携わったことでワインプロジェクトを知り、その情熱に胸を打たれました。自分もその壮大なプロジェクトにかかわりたいと思うようになったことが、農園を始めたきっかけです」

現在、戸田農園では日本で開発された山ブドウ系のワイン専用種『小公子』『ワイングランド』『岩木山葡萄』などのほか、生食用のブドウの栽培にも取り組んでいます。約2haの畑にはブドウ棚が整備され、職人たちによって管理されています。

「ブドウは、樹勢管理をしっかりやらないと実がつかないこともあります。葉の状態で生育状況を把握し、それに適した手入れが必要となるため経験値が必要。生食ブドウは形が悪いと売り物にならないので、花の数を制限して養分の分散を防ぐ、房づくりもまた、難しい技術です」

職人技とも言えるブドウ栽培は、そのほとんどが手作業。農業の経験がほとんどなかった戸田さんを支えているのは30年前、小坂ワインプロジェクトに携わった先輩たちの存在です。

「当時、使われていない農地をブドウ畑に開拓した方から譲り受け、戸田農園はスタートしました。大切な畑を非農家出身の自分がやっていけるだろうか、という不安はありましたが、先輩たちのアドバイスや公的機関の就農支援のおかげで農園を開園することができました」。

農作物の中でも、手間がかかるとされるブドウ栽培は手をかけた分だけ応えてくれる魅力があると戸田さん。ブドウの収穫後は、ワインの醸造にも携わり、ワイナリー事業のスタッフとしても活躍しています。

「ワインは気候風土から生まれるものと言います。それはまさに、土地を飲むということ。経営者として利益を生むことはもちろん、品質の良いブドウを育て世界に一つだけのワインづくりを生産者として支えることが目標です」。

 

情熱を持ち指導をする杉原さん

ワインはプラス評価なんです、と杉原さん。「酸味がある、すっきりしている等々、いいところを評価してくれる」
だからワインの味わいは幅広いのだそう

生産者の夢をかなえる場所『小坂七滝ワイナリー』が担う小坂町の未来

オープンから3年目を迎えた『小坂七滝ワイナリー』。取材に訪れた6月中旬は瓶詰め作業が行われており、2019年産の小坂ワインが、出荷の時期を迎えようとしていました。

「かつては日本一の鉱山の町として、名を轟かせていた小坂町にとって、新たな産業拠点となるワイナリーのオープンは町民の切なる願いでした」と語るのは、小坂七滝ワイナリーを運営する『小坂まちづくり株式会社』代表取締役の高橋竹見さん。

小坂七滝ワイナリーで醸造したワインは、初年度から高い評価を得ており、幸先の良いスタートを切っています。その理由は、戸田さんをはじめとした生産者の弛みない努力によって育まれた良質なブドウで醸造されたことはもちろん、2018年に施行された日本初の『ワイン法』が後押しになったと高橋さんは分析します。

「これまで国産ワインとされてきたものは、輸入した濃縮果汁やバルクワインを原料に日本国内で混ぜたり水を足したりして製造したワインのことを指し、原材料の多くを輸入に頼っていました。ワイン法では日本で栽培されたブドウを使用し、日本で醸造されたワインのことを『日本ワイン』とすると定義されています。小坂ワインは、地元で採れる日本オリジナルの山ブドウ系品種にこだわり、醸造も地元で行うまさに純日本ワインなのです」。

適地適作によって誕生した小坂ワインは、山ブドウの特徴的な酸を活かしながらスッキリとした飲み口。ワイン通をも、うならせるそのおいしさは、日本ワインのさらなる発展を大いに期待できるものでした。

ワイナリーで町を元気に

醸造長を務める和田宗倫さんは、町の人々が誇れるワインができたことに喜びを感じると語ります。

「それまであまりワインを飲んでこなかった小坂の人たちが小坂ワインを一口飲んだ途端、笑顔になったことが印象的でした。ワイナリーは単にワインを醸造・販売するのではなく、生産者をはじめ、町の人たちの夢を育む場所であることを実感しました」。

ブドウの品種名がそのまま商品名となっている小坂ワイン。それは、品種本来が持ついおいしさを表現している自信であり、味の調整を一切行わないワイナリーの誇りでもあると和田さんは胸を張ります。

 

高橋さんと和田さん

自慢のワインとともに。高橋さん(左)と、和田さん(右)

小坂町を一緒に盛り上げる仲間を募集中

小坂町は今後、ワイナリー周辺にブドウを植え、体験農園を整備することや、ブドウの樹オーナー募集、地域食材とワインをテーマにしたイベントなどを開催し、多くの人がワイナリーを訪れる機会を作っていきたいとしています。同時に『地域町おこし協力隊』を募集し、町内でブドウ農家として自立する意欲のある方を支援。純日本産『小坂ワイン』は産地化を目指す山ブドウとともに町の未来を担う特産品として、ますます発展することが予想されます。ブドウとともに、夢をたわわに実らせてみませんか?


《小坂町地域町おこし協力隊に関するお問合せはこちら》
総務課 企画財政班(企画)
住所:秋田県鹿角郡小坂町小坂字上谷地41-1
電話:0186-29-3907

《小坂七滝ワイナリー》
住所:秋田県鹿角郡小坂町上向字滝ノ下22
電話:0186-22-3130
HPはこちら

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