植え付けた白ナス、その後
食べたことのない真っ白なナスを食べてみたい──。食いしん坊な気持ちがムクムクと膨らんで、5月に白ナスの苗を植えつけました。何としても収穫までこぎつけたいと考えて購入した苗は2つ。しかも、日当たりと風通しが一番良いベランダの特等席を空けて、気合い十分でのぞんだのです。
心構えは万全だったものの、その後はなかなかどうして、いばらの道をたどりました。
うどん粉病の発生……⁉
まずは、これです。実は植え付けの段階からうっすらと、うどん粉病の症状が現れていたのです。

うどん粉病といえば苦い記憶があるが……
冗談じゃあない。うどん粉病で野菜を失うのは、もうまっぴらごめん。過去の失敗経験が頭をよぎります。とはいえ、これはすでによく知っている病気。うどん粉病は早めの対処が肝心です。
そこで毎日念入りに葉を観察し、少しでも白いものが葉に浮かんでいれば重曹スプレーで退治。それでもカビ菌に負けそうになった葉は、思い切ってバッサリ切り落としました。

中央に一番花、病気の症状が出ている葉は後日切り落とした
ナスの仕立て方は、一番花の直下のわき芽を残して、それより下のわき芽を取り除く3本仕立てが一般的です。わき芽は摘むと言われているものの、この段階で葉の方を切り落とすことは通常はしないと思われますが、病気が広がらないための苦肉の策でした。
アブラムシの襲来
かいがいしく世話したおかげで、なんとか病気を振り切ったかに見え始めた頃、また新たな困難に見舞われました。別の記事でも書いた、アブラムシの大量発生です。

弱った株ほどアブラムシに襲われるという
退治しても退治しても出現するアブラムシ。こちらも毎日せっせと格闘してきましたが、結局、7月後半の梅雨明け近くまでケアが必要でした。その間に、着果しないまま落ちてしまった花もいくつもありました。
長引く梅雨のために日照不足だったのは明らかで、まだ株も小さくアブラムシに襲われていたくらいなので仕方がないとも思いましたが、次々と落ちていく花を見るにつれ、だんだん不安が募りました。
ついに収穫! 白ナスの味は?

実が膨らみ始めたところ。アブラムシと共生しながら育った
このまま花が落ち続けて実が一つもつかないのでは……? そんな心配に駆られ始めた7月下旬、ようやく最初の実が膨らみ始めました。この頃に、続けていくつも着果。それらの実は8月に入ってから、ようやく食べられるくらいの大きさに育ちました。
そして待望の、初・収・穫!

実がなっている姿はほれぼれする

シシトウと一緒に収穫した
我が家のベランダで取れた白ナスとシシトウ、それに同じ時期に農家さんからいただいた白ナスも加わり、あの手この手で憧れのナスを食べ尽くしました!
油で揚げてトロトロ食感に

シンプルに一番好きな揚げ浸し
まずは、定番の揚げ浸し。比較のために、普通の紫色のナスでも同じものを作って食べ比べてみましたが……白ナスの方が明らかにトロトロでねっとりした食感! 味の方はナスらしい香りが少なく、淡白に感じました。
我が家ではキレイな白い色を生かすために皮を残しましたが、普通のナスより皮が硬めなので、むいてしまってもいいかもしれません。油で揚げた料理では、他にひき肉のはさみ揚げや南蛮漬けにも活用しました。

香味ダレで食べたはさみ揚げ

収穫したシシトウも使った南蛮漬け
焼いてもトロトロ!
油で揚げるとトロトロ。では、焼いてみたらどうかと思い、今度はステーキにしてみました。ごま油をひいて酒を入れて蒸し焼きにし、最後にポン酢をかけます。さっぱり食べようという趣向です。
これは紫のナスとそう変わらないのでは……とも予想しましたが、口に入れて思わず驚嘆。やっぱりトロトロなのです! 口の中で溶けそう!

いろんな色のナスのステーキ
ちょうどスーパーで緑ナスを見かけたところだったので、緑ナスや普通の紫のナスも合わせて焼いてみましたが、それぞれ異なる食感と風味でした。種類の豊富なナスのこと、こうして食べ比べるのもまた一興です。
独特の食感のトリコに!
通称“トロナス”とも呼ばれる白ナスを育て、存分に味わいました。
ここで紹介した以外にも、白い見栄えを生かすつもりで生のまま薄く切ってサラダにしました。それはそれでおいしくいただいたのですが、やはり加熱した時の食感が最大の魅力だなと思いました。この食感はクセになりそうです。
とはいえ、いまだに販売されている姿を見かけたことはありません。また食べたくなったら、自分で栽培するしかないのかしら? ……そう書いている側からもう次の収穫が待ち遠しい! 大変な野菜に出会ってしまいました。
◆次の収穫は果たしてあるのか? 次回、白ナス栽培でやらかしていた失敗と新たな疑問。