10月は気温も低くなり、虫や雑草の活動も落ち着いてくる頃ですので、順調にいけば草取りや虫対策の手間が必要なく栽培が可能です。しかし寒さに弱い野菜ですと、少しでも種をまき遅れると収穫がとても遅くなったり、大きくなりきらないことがあります。そこで今回は10月に種まき可能な野菜の中でも、寒さに強くて失敗しにくく、家庭菜園初心者にオススメの野菜を5つご紹介します。種まき時期としては関東以南の温暖地を基準にしていますので、地域によって最適な種まき時期は多少前後します。また品種やその年の気候の変化によっても変わってきますので、あくまでも参考として捉えていただければと思います。
イチゴ
家庭菜園でも比較的作りやすく、子供達にも人気の高いのがイチゴです。多年草で、ランナー(つる状の茎)で苗が増えていきますので、うまく植え替えを行っていけば、長年栽培を楽しめる点も特徴です。露地での栽培よりもプランターでの栽培の方がきれいな果実を収穫しやすいので、ベランダでの栽培もオススメです。
苗の植え付け時期の目安:一季なりは10月、四季なりは4〜5月、10月
収穫時期の目安:一季なりは4〜6月、四季なりは5〜10月
栽培難易度:2 ★★☆
四季なりタイプがオススメ
4〜6月ごろに実のなる一季なりタイプと、冬以外に実がなる四季なりタイプとがあります。一般的には一季なりの方が甘みが強いとされていますが、最近は品種改良も進みおいしい四季なり品種も増えてきていますので、長く収穫できる四季なりをオススメしています。
根元を埋めないように注意
イチゴは種ではなく苗から育てます。苗を植える際の注意点としては、茎が分かれている根元の部分が土に埋まらないようにしましょう。ここは成長点と呼ばれるイチゴの成長に大切な部分で、ここが埋まっていると腐ってしまったり、病気の原因になったりします。
湿気に注意
イチゴは比較的育てやすい野菜ですが、土の水はけが悪かったり、風通しが悪い環境だと、カビなどが原因で病気になってしまうことがあります。土の水はけを良くする、黄色くなった葉は早めに取り除いて、風通し、日当たりを良くするなどの点に気をつけましょう。
プランター栽培のポイント
プランターでイチゴを栽培する場合は、イチゴの実がプランターの外側にぶら下がるようにすると、実が腐りにくくなるのでオススメです。またプランターに入れる土の量が少ないと、根元に湿気がたまりやすくなりますので、縁から1〜2センチほどまで土を入れましょう。
小カブ
カブは比較的痩せた土でも育ちやすく、生育も早いので作りやすい野菜です。特に実がそこまで大きくならない小カブが育てやすいので初心者にはオススメです。メインの種まき時期は9月ですが、収穫までが早い小カブであれば10月でも間に合います。
種まき時期の目安:9〜10月
収穫時期の目安:11〜12月
栽培難易度:1 ★☆☆
時期をずらして2〜3回に分けて種をまこう
小カブは成長が早いので、一度にたくさんまくよりも数回に分けて種をまくことで、収穫の時期もずれ、長い期間収穫を楽しめるようになります。1〜2週間ずらしながら2〜3回に分けて種まきをしましょう。
多めにまいて間引き菜を楽しむ
小カブを自分で育てると大きくなった状態のカブだけでなく、その間の間引き菜も楽しむことができます。軟らかくてサラダやおひたしにしてもおいしいので、ぜひ多めにまいて間引き菜も食べていきましょう。2〜3センチ間隔で種を筋まきし、本葉が3~4枚出た頃から隣同士の葉が重なり合わない程度に間引いていきます。間引く時は残すカブの根が動かないように押さえて抜くか、ハサミで根元から切りましょう。
シュンギクやレタスと一緒に植えよう
シュンギクやレタスなどのキク科の野菜を近くに植えていると、アオムシなどがその匂いを嫌って、近寄りにくくなります。収穫のバリエーションも増えますので、ぜひ一緒に植えてみましょう。
早めの収穫を心がけよう
小カブは収穫が遅れるとスが入ったり、実が割れたりしておいしく食べられなくなります。スーパーなどで売られている大きさになるまで待つよりも、間引きしながら少し小さくても早めに収穫することをオススメしています。
プランター栽培のポイント
どの野菜でもそうですが、間引きが遅れると、徒長と言って野菜が細長くひ弱になってしまいます。プランター栽培の場合は、ベランダなどの畑よりも日当たりが悪く、夜間の気温が高くなりやすい場所で作る場合が多いと思いますが、このような環境だと特に徒長しやすいため、早めに間引くことが大事になります。
スナップエンドウなどのエンドウ類
キヌサヤやスナップエンドウ、グリーンピースなどのエンドウ類は収穫が翌年の春と栽培期間は長いですが、寒さに強く比較的痩せ地でも育ちやすいのでオススメです。
種まき時期の目安:10〜11月
収穫時期の目安:4〜5月
栽培難易度:2 ★★☆
早まきしすぎないように注意
エンドウは種を早くまくとその分苗は大きくなりますが、耐寒性は落ちます。本葉5枚程度、背丈10〜15センチほどで越冬できるように種まきのタイミングを調整します。大きくなりすぎた場合は不織布を被せるなどして寒さ対策をします。
加湿と多肥・酸性土壌に注意
エンドウは水はけの良い場所を好みますので、水はけの悪い畑では畝を高くするなどの対策をします。また、肥料分が多すぎると実のつき方が悪くなりますので、少なめにします。酸性土壌も嫌いますので、酸性に偏っている畑などでは有機石灰や草木灰などを入れて中和します。
春先に支柱を立て、ネットを張る
冬が終わり気温が少しずつ高くなってくると、エンドウは再び成長を始めますので、支柱を立てて、網目10センチほどのネットをつけ、上に伸びていけるようにしましょう。茎葉が上に伸びられず混み合うと風通しが悪くなって病気や害虫が発生しやすくなりますので注意しましょう。
プランター栽培のポイント
エンドウは収穫時期にうどん粉病というカビが原因の病気になりやすくなります。ベランダなどで栽培する場合は、ネットに茎葉をしっかり広げ、茂りすぎた場合は適度に剪定(せんてい)をするなど風通しに注意しましょう。
シュンギク
キク科のシュンギクは虫もつきにくく、育てやすい野菜です。アオムシなどの害虫が、キク科植物の匂いを嫌うため、他の野菜をうまく育てるためにも、畑にはぜひ植えておきたい野菜です。
種まき時期の目安:9〜10月
収穫時期の目安:11〜1月
栽培難易度:1 ★☆☆
長期間収穫を楽しむなら株立ち型を選ぼう
シュンギクには茎が長く伸びる「株立ち型」と、あまり上に伸びずに根元から横に枝葉を広げる「株張り型」の2種類があります。株立ち型は茎葉の先端を摘み取って収穫しますが、株張り型は根元から収穫を行います。冬の間長期間の収穫が楽しめるのは株立ち型ですので、基本的に家庭菜園ではこちらをオススメしています。
種は多めにまいて間引きしよう
シュンギクは最終的には大きくなる野菜ですが、発芽率が他の野菜に比べて低くなりがちですので、多めにまいて間引くのがポイントです。もちろんこの間引き菜も食べることができます。1センチ間隔で筋まきし、隣と葉が重ならないように適宜間引きし、株立ち型の場合は最終的に15〜20センチほどの間隔になるように間引いていきます。
ハサミではなく手で摘み取る
株立ち型の場合、茎の高さが30センチほどになってきたら、茎葉の先端の10〜15センチほどの軟らかい部分を摘み取ります。そうすると側枝がどんどん伸びて、そこからたくさん収穫できるようになります。この摘み取りを行う時はできるだけ手で摘み取るのがオススメです。シュンギクの茎葉は硬い部分もあるため、どこまで食べられる部分なのかの目安は手でポキっと簡単に折れるかどうかで判断します。ハサミなどで収穫するとどこまでが硬い部分なのかが判断しにくくなります。
プランター栽培時のポイント
小さなプランターで栽培する場合は株立ち型ではなく、小さい段階で株ごと収穫する株張り型の品種の方が収穫が早く、作りやすいのでオススメです。
ホウレンソウ
ホウレンソウは比較的肥えた畑でないと育ちにくいですが、気温が低くなっても育ちやすく、寒さに当たるとどんどん甘くなるので、ぜひこの時期にまいておきたい野菜です。
種まき時期の目安:9〜10月
収穫時期の目安:10〜12月
栽培難易度:1 ★☆☆
ネギと一緒に植えよう
ホウレンソウは土の中のアンモニア態窒素が多いとえぐみが出やすくなりますが、ネギはこのアンモニア態窒素を好んで吸収するため、えぐみの少ない食べやすいホウレンソウになります。また、ホウレンソウとネギは根を広げる深さが異なるため、栄養の競合が起こりにくい組み合わせです。ホウレンソウとネギの間隔は、葉ネギなどの小さい種類であれば15~20センチ程度、長ネギなどの大きい種類であれば25~30センチ程度離して、1列ずつ植えるとよいかと思います。同時ではなくてネギの後にホウレンソウを植えるのも土の中のアンモニア態窒素をあらかじめ減らしてくれるので有効です。
酸性土壌では育ちにくい
ホウレンソウは酸性土壌を嫌い、中性に近い環境を好みます。土が酸性に偏っている場合、有機石灰や草木灰などを使って、土壌を中和しましょう。
根も一緒に食べよう
スーパーなどで売られているホウレンソウは根が切られていることも多いですが、根の部分こそ甘みが強くおいしいです。自分でホウレンソウを栽培する場合は、ぜひ根も食べてみてください。
プランター栽培のポイント
プランターで栽培する場合も、ぜひ葉ネギと一緒に栽培してみましょう。料理にすぐ使える野菜として重宝します。
10月のうちにたくさん野菜を植えよう
10月はまだ本格的な寒さが来ていない時期ですので、さまざまな野菜の種まきや苗の植え付けに適した時期になります。しかし地域や年によっては一気に気温が下がり、適した種まきのタイミングを逃してしまうことがありますので、できるだけ早めにまいておくことをオススメします。また10月を過ぎてしまうと気温が低くなり、植えられる野菜が極端に少なくなります。この10月にどれだけ野菜を植えられるかで、この冬の間の収穫量が大きく変わりますので、ぜひ今回紹介した5つの野菜を中心に10月の間にたくさんの野菜を植えてみましょう。