直売所で売れる野菜苗を作る! 価値が上がるひと手間

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生産者の試み

直売所で売れる野菜苗を作る! 価値が上がるひと手間

連載企画:直売所で月3万円稼ぎたい!

直売所で売れる野菜苗を作る! 価値が上がるひと手間
最終更新日:2019年12月05日

野菜苗・花壇苗販売は「直売所に興味はあるけど、畑がない」と躊躇(ちゅうちょ)する方にオススメの品目。軒下のわずかなスペースでも商品をつくることができ、農業の基本である育苗の勉強にもなる。今回は、育苗に失敗するなかで身につけたコツや、新しく販売を始めた新商品「そのまま植えられる苗」をご紹介!

直売所で野菜苗は売れる!?

直売所に並べた私の苗。ネモフィラやカーネーションは春先の人気商品で、クスッと笑えるポップを掲げるようにしている

3年前に植木屋さんで週6日働きながら、日曜日の休日を利用して始めた私の直売所ライフ。今でこそ畑は多少大きくなったが、その当時の稼ぎ頭のひとつが、軒下でつくる野菜苗や花壇苗だった。

苗販売はほんのわずかなスペースでもできる。極端な話、畑がなくても、小さな庭やベランダがあればいい。一畳分の敷地があれば、100個ほどの苗をつくることができる。手間がかかるため、大きく畑をやっている人は手が回らず、ライバルが少ない品目でもある。

「田舎に移住して、直売所に生産物を出してみたいが、何からやればいいかわからない」と悩んでいる人でも、苗販売だったら明日からでも始められるのだ。

育苗のポイント

なんといっても育苗は農業の基本。私も数えきれないほどの大失敗を繰り返しながら、苗販売をやってきて、とても勉強になった。
まずは、私なりの育苗のポイントを、おすそ分けしたい。

バーミキュライトとイネ育苗箱で発芽がうまくいく

発芽が揃ったシンテッポウユリの苗

私も最初の頃は、セルトレイの半分ほどしか芽が出ないことがたまにあった。真夏や真冬の育苗が難しい時期(発芽適温とずれた時期)でもなく、ちゃんと水をやっているのに、なんだか発芽がうまくいかない。近所の人に見てもらうと、原因は「水のやりすぎ」らしい。酸欠で発芽せず、タネが腐ってしまっていた。

それを解決してくれたのがバーミキュライトの覆土と、イネ育苗箱。近所の人に教わったこの方法で、ほぼ確実に芽が出るようになった。

セルトレイに一般的なタネまき用培土を詰めて、くぼみをつけ、タネをまく。通常なら先ほどの培土を被せるが、覆土だけをバーミキュライトに置き換える。バーミキュライトはサラサラっとした土で排水性がよく、軽い。多少乱暴に水をかけても濡れた覆土がタネを押さえつけることがなく、酸欠になりにくいそうだ。

覆土をしたら、全体に水が浸透するくらい大量に水をやり、イネの育苗箱でフタをして、発芽するまでの数日間は水をやらないでおく。すると、たいていの場合は発芽が揃う。

覆土して水をまいたら、イネの育苗箱でフタをして保湿。トレイの下にも育苗箱を置き「下駄」にすると、根まきがよくなる

春先の育苗は「腹巻き催芽」がオススメ

これからの季節だと、まだ寒い春先にナスやトマト、ピーマンなど発芽適温が高いものをまくときは腹巻きが便利だ。

キッチンペーパーなどに種子を包んで湿らせたうえで、絞って余分な水分をとる。それをポチ袋サイズのファスナー付きポリ袋に入れ、腹巻きの中に仕込んで生活する。365日24時間、正確に36度前後を保っている自分の体を利用すれば機械は必要ないうえ無料。オマケに、お腹も冷えないと、一石二鳥。

ピーマンはちょっと時間がかかるが、ナスやトマトなら3〜5日くらいで根が出てくるので、セルトレイやポットにまく。発根する際にはちょっと酸っぱい臭いがするので、キッチンペーパーをめくらなくてもわかる。

一度発根すれば、寒くても死んでしまうことはなく、ゆっくりと生育が進み、いつかは立派な苗になる。

激安市販培土に赤玉とくん炭を混ぜる

左の市販培土に対して、赤玉土2割(黄土色)、くん炭(黒)1割、化成肥料(白)少々を混ぜるオリジナルブレンドが使いやすい

セルトレイからポットへの鉢上げをする際は、ホームセンターで売っている一番安い市販のポット用培土に、赤玉土とくん炭を少量混ぜて使っている。

私が使う最安値の培土には保水性を保つためにピートモスが大量に含まれている。ピートモスは「一度乾くと、水が浸み込みにくい」という性質があり、水やりが不十分だと乾いた部分だけ水が通りにくくなり、逆に常に湿った状態にすると根っこが張りにくく、ポット全体に根が行き渡らないことがある。

赤玉土やくん炭で土に隙間(すきま)をつくることで、水が流れる道ができ、ポットの中のほうまで根が張る。そのおかげで、ナスなどの果菜類は植えてからもほとんどしおれず、長く収穫できるようになった。

オリジナル培土でつくったナス苗。これくらい根を張れば最高

ポットにもこだわってみる

そんな私の新しいチャレンジが、普段の苗を「そのまま植えられる苗」としていつもより多少お高い値段で販売することだ。

使ったのは、ジフィーポット(サカタのタネ)。ジフィーポットは、ピートモスやウッドパルプといった植物性の自然素材を固めて成型したポット。微生物などによって分解されるうえ、根がポットを貫いて伸びていくため、ポットごと畑に植えることができる。したがって、定植の際に根鉢が崩れることがなく、ダメージが少ないという。

ジフィーポット。すでに、スリットや底面から根が飛び出してきている

また、自然派のお客さんにとっては無駄なゴミが出ない、という点も喜ばれるのではないかと考えた。

使い方は一般的なポリポットと同じ。私も初めて使ってみたが、ポット自体が水を含む素材なので、浅く水を張ったトレイにポットを置いておくと底面吸水ができ、水やりの手間が省けた。また、この性質は、直売所に並べたときもいちいち水をやらなくていいので、販売期間の管理がじつにラク、という直売所ならではのメリットもある。

1日で2000円売れる商品に

かくして「そのまま植えられる苗」のデビューの日。
「そのまま植えられるから根傷みしない」「ゴミが出ない」との手描きポップを掲げて、菜花とサニーレタスの苗を、直売所の相場の倍、1つ100円で売ってみた。

苗を手にとってくれたお客さんの1人はベランダ菜園の人だった。「そのまま植えられるのがおもしろそう」ということで、4つ買ってくれた。以降も順調に売れ、1日で20個の苗が売れた。滑り出しは順調だ。

この「そのまま植えられる苗」。苗価格の相場が高い長期どりのナスやピーマンなどの果菜類やペチュニアなどの花壇苗、あるいは花木や果樹苗なんかだと、もっと売れるかもしれない。

【参考サイト】
無料会員登録でお得! サカタのタネ オンラインショップ

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