丹波市に根付く農業人を育てる
農業をはじめるにあたり、「農業が好き」「やってみたい」という気持ちだけではなかなか上手くいかないのが現状です。「初期投資などの資金面」「技術の習得」「移住場所」「農地の確保」など、さまざまな障壁を乗り越えなければなりません。
そんな農業に新しくチャレンジしたい方の背中を押すために丹波市は、支援策を用意しています。まずは、「初期投資などの資金面」でのサポートをご紹介します。
初期投資などの資金面
事業名 | 主な内容 | 助成金額 | 期間 |
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家賃補助(新規就農者向け) | 新たに戸建または集合住宅を借りた場合 | 戸建:家賃の1/2以内(月上限4万円) 集合住宅:家賃の1/3以内(月上限2万円) | 12カ月間 |
家賃補助(認定新規就農者向け) | 新たに戸建または集合住宅を借りた場合 | 家賃の1/2以内(月上限4万円) | 2年間 |
農業機械助成(認定新規就農者向け) | 農業機械を導入する場合 | 購入費用の1/2以内(上限60万円) | ― |
農業施設助成(認定新規就農者向け) | ビニールハウス等の農業施設を導入する場合 | 購入費用の1/2以内(上限60万円) | ― |
丹波市での新規就農者への支援(それぞれの事業には要件があります)。
上記の他にも、国や県等の資金面でのサポートを受けることができます。
有機農業や経営を学び実践する『農(みのり)の学校』
技術の習得
2019年4月に開校したばかりの、有機農法を学べる『丹波市立 農の学校』。「有機の里」と呼ばれる丹波市市島町で、里山の資源を生かした農業の技術をはじめ、就農後に必要な最先端の農業経営を学べる学校です。第1期生として15名が入学。ITや建築などさまざまな職に就いていた県内外の20代~60代の受講生が集まっています。

就農してから役立つ機械の使い方やメンテナンス方法もしっかりと教えてもらえます。
受講生の頼れる相談役でもある、『農の学校』を運営している株式会社マイファームの笠井さんにお話を聞きました。
「地元農家さんとの関係ができれば、独立後にも助けてもらえることがたくさんありますよ」と、笠井さん。
『農の学校』は全国的にも珍しい、有機農法を学べる全日制の学校です。有機農法を軸に自然農法や微生物農法など、循環可能な農法を幅広く学べるというのも大きな特徴です。さらに、実際の農業経営をベースにした、カリキュラムも魅力のひとつ。農業経営で重要な「作物を売る」というところまで、1年をかけてしっかりと身につけることができます。また、地域の農家を訪れ、土地に根差した農業を体験することもできます。
カリキュラム | 日数・時間 |
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座学講義 | 180時間(60コマ) 農場運営27時間/農業技術基礎・演習・研究36時間/農業経営54時間/農業経営データ活用42時間/営農計画策定21時間 |
栽培実習・実践 | 976時間(約325コマ) 学校のほ場にて有機農法による野菜栽培(露地) 丹波市の特産物の栽培等については、地域マスター農家(※1)のもとで研修 |
視察および現地研修 | 60時間(20コマ) 丹波市の農業や暮らし・なりわい等を現地にて学ぶ |
農の学校カリキュラム(2019年4月~2020年3月)※授業料:51万2000円
※1 地域マスター農家:丹波市内で主に有機農業に取組んでいる農家を地域マスター農家と位置づけ、特産物等の栽培に関する講義などを行う
— 卒業後はどんな農家になってもらいたいですか?
「なりわいとしての農業で、豊かになってもらいたいです。そのために、農業の『基礎』を学び、実践的な技術力が身につくカリキュラムを用意しています。独立後は運営会社である『マイファーム』の販売流通の利用や、丹波市の直売所への販売なども可能です。学校で築いた組織力や人とのつながりを最大限に生かして、自分のスタイルに合った農業をしてもらいたいですね」

古くから土地に受け継がれるものも大切にしながら、丹波の資源を活かした農業の技術や最先端の農業経営にふれることができる農(みのり)の学校。
事業名 | 主な内容 | 助成金額 | 期間 |
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家賃補助(受講期間中) | 新たに戸建または集合住宅を借りた場合 | 戸建:家賃の1/2以内(月上限2.5万円) | 12カ月間 |
農業次世代人材投資資金(準備型) | 卒業後、1年以内に就農する場合(※国が設定する交付要件(就農時の年齢が50歳未満など)を満たす場合) | 年間最大150万円の給付 | 受講期間中 |
農の学校受講生に対する丹波市の支援(それぞれの事業には要件があります)。
丹波市では、黒大豆枝豆と小豆などを栽培している有機栽培農家(家族2名と繁忙期の雇用)で、年間1000万円の売上を確保しているところもあります。
大阪から丹波市へ! 移住就農の先輩にお話を聞きました
2009年に大阪から丹波市へ移住・就農をされた岩元さんの農園『たんぽぽファーム』を訪れました。丹波市有機農業研究会と丹波市、JAも参画している「丹波市有機の里づくり推進協議会」に発足時から所属し、日々栽培や経営の勉強を続け、丹波市の有機栽培をひっぱっている農家さんです。30aからスタートした農地は、露地栽培とハウス栽培を合わせて現在2haまで拡大。春はスナップエンドウ、夏はミニトマトとオクラ、秋はキュウリ、冬は根菜類など約20種類の季節の野菜を栽培しています。
以前からモノづくりの仕事がしたいと考えていて、農業に興味をもったのがきっかけだったそうです。「各地に新規就農の相談にも行きましたが、当時は有機農業を対象とした支援制度などがほとんどなく、門前払いされることも少なくなかったです」と、岩元さん。
そんな中、丹波市は独自の研修制度があり、金銭的な補助も充実していたので移住を決意。実際に、当時の研修制度を利用し、基本的に農薬を使わず、野菜の少量多品種生産をしている婦木農場で1年間の研修を受けられたそうです。

たんぽぽファームの岩元さん。
最初の1年間は、研修先の農家で農業のいろはを学びました。「丹波の季節に合わせた栽培方法を学び、土地に合った農業を身につけることができました。また、付加価値を付けた販売やJAへ卸す以外の販路なども、先輩の農家さんから教えてもらえたことが良かったです」と、振り返ります。
「最初は個人宅やレストランへの個別配送がメインでしたが、今はコープ自然派など大口の出荷になりました」と、現在の運営状況を話してくれました。業者への安定した卸しを可能にしているのは、生産者団体で共同出荷をしているからなのだそう。個人の小規模農家だけでは難しい経営面を助け合える仕組みは、岩元さんたち生産者にとっても心強いようです。こういった仕組みを可能にするのも、就農前から地域に溶け込めるような支援を行っている丹波市だからかもしれません。
まったくの農業未経験から始めて、今では新規就農を目指す人の受け入れも行っている岩元さん。今後も積極的に就農希望者を受け入れていきたいとのこと。収穫時の喜びと達成感が、何よりのやりがいだと笑顔で話してくれました。
その他、施設園芸経営を行っている農家では、トマト10aで約192万円、促成いちご10aで約265万円、抑制きゅうり8aで約92万円と年間を通して売上を上げている例もあります。
丹波市には、有機農業の生産者組織や若手農業生産者組織があり、活動に参加することで、地域とのつながりができ、出荷などの情報共有にも繋がっています。個人の小規模農家だけでは難しい技術・経営面を、生産者組織の活動に参加することで助け合えるので、新規就農者にとっても心強い仕組みとなっているようです。就農前から地域に溶け込めるよう、丹波市はこれらの生産者組織の活動を事務局としてサポートしています。
丹波市は就農・移住希望者を手厚くサポートします!
移住場所・農地の確保

講師の保坂さんから講義を受けて、真剣に農業計画について話し合う受講生たち。(農の学校の教室にて)
ここ数年、丹波市への移住者数は右肩上がりで、平成30年度は前年度比の約2倍(14件29人→29件52人※移住相談窓口を通じての移住者)という数字だったそうです。その理由のひとつが、移住や新規就農希望者へのサポートの手厚さがあげられます。ここでは、新規就農と移住の問い合わせ担当窓口をご紹介します。
丹波市農業振興課 農政係
『農の学校』で研修を受ける受講生や新規就農希望者に対して、就農までこまめに面談を行い、就農までのスケジュールを計画し、農地や住居などの就農・移住に必要なものをそろえるサポートを行っています。
・研修時の面談(終了後の就農スタイルなど)
・マスター農家との関係構築のサポート
・農地、農機具や空き家の相談 など
丹波市建設部 住まいづくり課(運営管理:一般社団法人 Be)
丹波市で生まれ育ったUターンや、田舎暮らしに憧れて移住してきたIターン経験者のメンバーで構成された、たんば“移充”テラス「Turn Wave」。自身の経験をもとに、さまざまなアドバイスやサポートを行っています。
・移住前の住まい探し、移住後の物件購入「丹波市空き家バンク(住まいるバンク)」等
・地域とのマッチングと気になる近所づきあいや、地域の付き合いについての相談
・移住後の仕事探し、「たんばの仕事」の運営
・幼稚園や学校など、子育て支援についての相談
・起業に関する相談や先輩移住者の紹介 など
その他、医療面や子育て面も充実。市内には40以上の医療施設があり、夜間や休日の医療体制が整っています。また子育て面では、14カ所の認定こども園や保育所があることや子育て中の保護者が相談をできる「子育て学習センター」があることも魅力です。単身でも、家族で移住をしても、生活しやすい環境が揃っています。
丹波市は新規就農者や移住者に対して、制度の紹介だけではなく、地域に溶け込んでもらえるようなサポートを継続的にしていきます。丹波市で新しい生活をはじめてみませんか?
【お問い合わせ先】
〇『農(みのり)の学校』について詳しく知りたい方はこちら
〇丹波市では、新規就農希望者に対してさまざまなサポートをしています。
この記事について、丹波市で就農を考えている方はこちら
丹波市産業経済部農業振興課農政係
電話:0795-74-1465
〇丹波市移住定住ポータルサイト『Turn Wave』こちら
丹波市建設部住まいづくり課
電話:0795-88-5039
【関連情報】
〇兵庫県では、新規就農希望者に対してサポートをしています。
兵庫県で就農をお考えの方はこちら〔ひょうご就農支援センターへ〕
〇兵庫県の各地の就農・定着応援プランはこちら
〇特集ページ『ひょうごde就農』はこちら
〇就農希望者バスツアー(令和2年3月7日)の詳細はこちら
※次年度(令和2年10月頃)は農の学校とたんぽぽファームを訪問先として開催予定です。