日本に30種類以上ある「香酸(こうさん)柑橘」 なぜ広まらない?目からウロコの使い方とは?

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日本に30種類以上ある「香酸(こうさん)柑橘」 なぜ広まらない?目からウロコの使い方とは?

日本に30種類以上ある「香酸(こうさん)柑橘」 なぜ広まらない?目からウロコの使い方とは?
最終更新日:2020年11月09日

香酸柑橘(こうさんかんきつ)って聞いたことがありますか?カボスやスダチ、ユズに代表される香り高い柑橘類のことをそう呼びます。ミカンなど生食向けの柑橘とは異なり、搾ることで調味用に使います。筆者は「さんまの塩焼き」や「ふろふき大根」など、ピンポイントな使い方しかしてこなかったのですが、実はそれって「人生損をしていた」のだと突然知りました。「香酸柑橘サミットオンライン」というイベントに参加した、その日から……。

日本に30種類以上ある「香酸柑橘」 消費のハードルが高い?

突然ですが写真に映っているくし切りの柑橘類の名前、それぞれ分かりますか?

分からないですよね、筆者も分かりません。むしろ、全部一緒じゃない?と思う方がいてもおかしくないでしょう。正解は以下です!

「香酸サミットオンライン」を主催した株式会社みかんの清原優太(きよはら・ゆうた)さんは、「香酸柑橘」の違いが知られていないのには3つの理由があるとしました。ちなみに清原さん、東京大学在学時に「東大みかん愛好会」を設立、卒業後は「株式会社みかん」を立ち上げ、産地や業種の垣根を越えて200人が集まる「みかんサミット」を開催する筋金入りの柑橘好きです。

香酸柑橘サミットオンラインを主催した清原さん

①敷居が高い
香酸柑橘の生産量が少ないため、入手のハードルが高い。そしておいしく作るためのハードルも高い。

②意外と産地連携ができていない
カボスは大分、長門ゆずきちは山口……と、それぞれの産地が別々にPRを頑張っているという状況。他産地の柑橘と「比べる」ということはあまりなかった。

③発信が十分でない
「こうさん柑橘」と聞いて「高い酸」を連想する人が大半では?実は、日本には約30種類以上の香酸柑橘がある。

この3つの課題にまとめて向き合ってしまおうと清原さんらが10月下旬に開催したのが、この「香酸柑橘サミットオンライン」。「搾る」だけで香りが立つ「香酸柑橘」のカルチャーを発信し、産地を越えてその「未確立な分野を皆さんと盛り上げていきたい」(清原さん)と、開会が宣言されました。
東京・大手町の「AgVenture Lab(アグベンチャーラボ)」から、4産地を中継しながらオンラインで配信し、約240人がリアルタイムで視聴しました。

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「香酸柑橘キット」を事前購入した参加者の手元には、4種の柑橘と食材一式が届いており、プログラムを見ながらの食べ比べが可能。隔世の感!

おすすめの味わい方【4選】

様々な”搾り先”を試す山口さん(右)と久保さん

前半パートでは、自炊料理研究家・山口祐加さんと、果物専門店の新宿高野・久保直子さんと一緒におすすめの食べ方を試していきます。ここで4種の柑橘の特徴をご紹介。

かぼす…大分県で多く育てられています。爽やかさ、渋み、バランスの良い風味が特徴。今回のイベントでは、認知度が高いので比較の際の軸としての役割を担います。

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へべす…宮崎県の特産で、名前の由来は発見者が「平兵衛さん」だったからとか。種が少なくて搾りやすいです。果汁が多いのでお得感あり◎

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長門(ながと)ゆずきち…山口県のオリジナル柑橘。名前のインパクトとは裏腹に、爽やかな香りと優しい酸味が特徴。醤油との相性が非常によく、黄色く色付いたものは「きになる長門ゆずきち」と呼ばれ、より上品な味わいになります。

関連記事 長門ゆずきちの特徴って?

辺塚(へつか)だいだい
…鹿児島県肝付町と南大隅町周辺という限定的なエリアが産地で、ダイダイに似て小ぶりで、薄く滑らかな皮が特徴。柔らかい酸味と穏やかでふんわりとした香りがあります。

【その1】炭酸水に搾る

表皮を下向きに搾れば、皮に宿るうま味や香りを逃さない。産地直伝の搾り方

果実の特徴が最もわかりやすかったのが、この炭酸水に絞る飲み方。砂糖不使用の炭酸水と氷と入れたコップに絞ると、香りと味が立ち上がりました。手に取ってよく見ると皮の厚さや色、種の数など見た目から全然違うことに気が付きます。

柑橘は皮にうま味や香りが詰まっているので、皮を下にして搾るのが大分県など産地での搾り方だそうです。含まれている有機酸から元気をもらいつつ、それぞれの違いを把握したところで次へ!

【その2】豆乳・牛乳に搾る

柑橘を豆乳へ。初体験の人が多く、会場が少しざわつきました。

豆乳・牛乳200cc に対して、2分の1個の柑橘を搾って頂く楽しみ方。マドラーでかき混ぜると途中でドロっと固まってきますが、完全に分離してしまうことはありません。ガムシロップやハチミツ、メープルシロップなどを仕上げに少し入れれば、即席ヨーグルト飲料の出来上がり!これがほんのり甘くさっぱりとしていてかなり美味です。恐る恐る飲んだ会場の評判も上々でした。臭みが全くなく、かき混ぜる面白さも含めてお子さんのいる家庭で喜ばれそう。ラッシー代わりにカレーと飲んでもいいですね。

【その3】お酒に搾る


こちらは定番の使い方と思いきや、使えるのは焼酎やウイスキーの蒸留酒だけではないということ。ビールに入れるのも、苦みをまろやかにしてくれるのでおすすめなんだそう。特に、果汁の多いへべすを搾ると、度数の高いお酒の角が取れて沢山飲めてしまう印象でした。「それぞれ酸味や苦みの具合が違うので、自分のお気に入りを探すのも面白い」と山口さん。

輪切りにして大きな器に入れると華やかになるのでパーティーなどにおすすめ

【その4】果物に搾る

この日用意されたのは、大分県特産の巨大梨「日田梨」。大きなものだと重さ1キロにもなるんだそう。

甘みの強い果物に柑橘を搾ると、お肉料理などを食べた後にぴったりな爽やかなデザートになります。「梨や柿などがおすすめ。そのまま食べても、柑橘を搾っても二度おいしいです」と久保さん。

後半パートでは、4つの産地を中継で繋ぎ、山口県、大分県、宮崎県、鹿児島県の生産者さんや町長さん(!)たちが、それぞれがおすすめの楽しみ方を紹介しました。ライブ感たっぷりの動画を要チェックです。

香酸柑橘の魅力は、「そのまま食べることはできないけど、それ以外の食べ方は自分次第で豊富になる」(久保さん)というところに尽きると感じました。酢飯のお酢の代わりに使うなど、香りの良い調味料としても活躍します。山口さんは、かつお節とみそ汁をご飯にかける「ねこまんま」に柑橘を搾るそう。「白米の重たさが全く目立たなくなりサラサラと頂ける」ということ。
なるほど、肩ひじ張らずに【普段のご飯+α】の使い方でいいんだと思うと、もっと気軽に取り入れられそうです。ぜひ皆さんもお家で食べ比べをして、自分好みの柑橘を探してみてくださいね。

(PHOTO=霜田直人、四方田里奈)

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