断面でかんきつの魅力を再発見
品種ごとに断面の画像とあわせて特徴を紹介する“果物だんめん図鑑シリーズ”の新刊が小学館から10月28日に発売されます。
「いちご だんめん図鑑」、「りんご だんめん図鑑」に続き、第3弾は「かんきつ だんめん図鑑」です。
普段のお買い物でよく見かけるようなものから、珍しいものまで42品種を紹介します。
鮮やかでジューシーなかんきつの断面図を見ているだけでも楽しいのですが、親の交配品種が分かるのも面白いです。「この品種は、さっき出てきたあの品種を掛け合わせてできたんだ!」と新しい発見があります。
巻末には、味が「甘い」「酸っぱい」、皮が「手でむきやすい」「手でむきにくい」という軸で分類した、42品種の「分布図」が付いています。自分好みの品種を探してみてはいかがでしょうか。
作者のわたなべまこさんに聞いた見どころ
作者のわたなべまこさんは、以前東京の卸売市場の食材を紹介するサイトの制作に、デザイナーとして携わっていました。
果物を通販で販売する際、商品ページに「きれいに盛り付けた画像」や「産地・生産者さんの画像」はよく使われていましたが、おいしそうに見せる画像が優先されるため、断面をしっかりと見せている画像はほとんどありませんでした。リンゴを販売するための商品ページで「リンゴの蜜入り具合」を説明したくても、なかなかお客さんに伝わりません。そこで、わたなべさんがリンゴの断面図の写真を撮影し、Twitterにアップしたところ、予想以上にバズりました。
同じリンゴやイチゴでも、品種によって断面が違う、という面白さを伝えるためにコツコツと撮影してはアップする、という事を続けているうちにネットニュースで取り上げられ、図鑑を出版するまでにいたりました。
「かんきつ だんめん図鑑」の制作を始めた頃に、ちょうど新型コロナウイルスが流行しはじめました。かんきつの生産者さんと直接話す機会が無くなり、オンラインでの作業がメインになってしまった事が少し残念だったと言います。しかし、マイナスのことばかりではありませんでした。オンラインだからこそつながる事ができた人もいます。
わたなべさんは「最近は農家さんもバリバリとSNSなどを駆使して情報発信されている方も多く、問い合わせに親切に対応してくれて、とてもありがたかったです」と、だんめん図鑑を制作するなかで農家さんとのつながりを感じたことを話してくれました。
そうして完成した「かんきつ だんめん図鑑」は、これまで出版した「いちご」や「りんご」以上に、外観の色などの個性が強く出ていて更に見ごたえがある図鑑になっているといいます。
「かんきつは、断面図も外観も品種により特徴が全く違いますので、パラパラとめくって眺めているだけでも面白いと思います。これが今回のだんめん図鑑にかんきつを選んだ理由でもあります。そして、今回は『色』にもすごくこだわりました。みかん=オレンジ色、というイメージが強いかと思いますが、かんきつ全般で見てみると実はオレンジ色だけではないんですね。とてもカラフルに仕上がっていると思います」とわたなべさんは話します。
かんきつ だんめん図鑑も読んでみたいとツイートしていた読者も多く、期待に応える1冊になっているようです。
「そろそろ八百屋さんやスーパーの店頭にミカンがズラリと並び始める季節になってきました。ミカンと言えばこたつ、みたいな、冬に食べるフルーツという印象がありますが、ミカンを含むかんきつ類の品種はとっても多いのです。品種や産地、または栽培方法によって一年中ずっと品種リレーをつないでいますので、一年中かんきつを食べる事ができます。
『かんきつ だんめん図鑑』にはミカンだけではなく、さまざまな種類のかんきつを掲載しています。
冬だけではなく一年を通してお使いいただける図鑑なので、どうぞかんきつを食べながら眺めてみてくださいね」(わたなべさん)