右肩上がりで増加する外国労働者とその需要
近年、国内の企業のあいだでは「募集をかけても採用できない」と、人材の確保に苦労する声があがっています。ご存知の通り、少子高齢化により生産労働人口が減少しているためです。
厚生労働省が発表している有効求人倍率をみると、2019年12月の有効求人倍率は1.63倍。これは求職者ひとりに対して1.6件の求人があることを指し、有効求人倍率が1を超えた2014年ごろから、国内の採用は売り手市場といえる状況です。
一方で、国内で働く外国人の数は右肩上がりで増えています。厚生労働省が発表している『「外国人雇用状況」の届出状況』によれば、2019年10月末時点で国内に滞在する外国人労働者数は166万人を突破し、過去最高記録を更新しました。
在留資格別外国人労働者数の推移をみても、2008年から10年間で2倍以上も増加していることがわかります。
こうした数字からも、国内の人手不足を伴うため、外国人を雇いたいという需要が高まっていることがわかります。また政府は、飲食業や宿泊業で外国人が働ける範囲を広げた「特定技能」の在留資格を新しく作るなど、人手不足への対応を進めています。
外国人を雇用する4つのメリット
では、企業が外国人を雇用することで得られるメリットをみてみましょう。
メリット1、人手不足の解消
まず考えられるのが、人手不足の解消です。国内だけでなく外国人を採用の対象に加えることで、求職者の母数が広がります。採用に苦戦していた職種でも、望む人材に出会える可能性が高まります。電子・電気や機械系のエンジニアといった専門スキルを持った人材の採用や、慢性的に人手が不足している宿泊・飲食といったサービス業の従業員の確保にも適しています。
メリット2、訪日外国人への多言語対応
日本語だけでなく、英語やその他外国語を母語とする従業員を幅広く雇うことで、訪日外国人への対応力を高めることができます。日本を訪れる外国人旅行客の数は年々増加しています。政府が観光を国の政策の一つに掲げ、2030年までの訪日外国人旅行者数を6,000万人に設定していることから、多言語対応の需要はさらに高まると予測されます。外国人の従業員が職場にいることで、違う文化の価値観を踏まえた、スムーズな接客が可能になれば、訪日外国人を多く取り込めるでしょう。
メリット3、採用にかかるコストの最適化
介護職や建設、飲食業といった国内で人材が不足しがちな職種では、思うように求職者が集まらず採用期間が長引き年中求人を出さなければいけないケースもあります。募集期間が長引く分、採用コストも膨らみます。
そこで国内だけではなく、外国人を対象に含めることで求職者の数が格段に増え、結果的に採用サイクルの短縮化が期待できます。求人広告費用など採用にかかるコストが改善されたり、期待通り求職者の応募が集まったりすれば、人材採用がより安定的に行えるでしょう。また、外国人を雇用した際に使える助成金もあります。国からの助成金だけでなく、自治体が独自で出している助成金制度もあるのでうまく活用しましょう。
メリット4、海外進出への足掛かり
海外へサービス展開を考える企業にとって、現地の法律や習慣、言語の壁は大きな問題です。もし社内に進出を予定している国をよく知っている外国人がいれば、海外進出の大きな助けになるかもしれません。今すぐではなく、数年単位で海外ビジネスの展開を検討している企業は、関連する国の言語や習慣に精通している外国人人材の採用を検討してみるといいでしょう。