フラワーネットとは?
フラワーネットは、キクやアスターなど、切り花の倒伏防止に使う格子状のネット(網)です。
ネットといえば、キュウリなどに使う「つるものネット」がありますが、それよりも糸がだいぶ太く、丈夫で、大事に使えば何年も持つものです。また、糸が太いゆえ、花の茎がもたれかかっても、あまり傷つきません。さらに、細い糸のネットと比べると、くしゃくしゃになって絡む、ということも少なく、とても扱いやすいです。
大きさの規格も多様。網目の大きさは10〜30センチとさまざまで、マス目の数も選べます。品目やウネ幅、作付けする品目の数に応じて、自分に合ったものを選んでください。筆者の畑は80センチ幅のウネが多いため、20センチの網目×4マスのものを頻繁に使っています。
地域にもよりますが、切り花産地や農業が盛んなところではJAやホームセンターでも売っていますし、インターネットでも買えます。
フラワーネットの張り方の基本
フラワーネットは地面と平行にピンと張り、作物が成長するにしたがって、作物を支えるのにベストな位置にネットを引き上げていきます。
筆者が使っている自作の道具と、やり方を紹介します。
フラワーネットを張るための道具
フラワーネットの両端を固定するために、上写真のような平板を自分で作りおきしています。
材料は、「平板」「とりつける支柱の直径に合ったパッカー(留め具)」「ボルト」です。
作り方は簡単です。
まずは、フラワーネットの幅よりも1〜2センチ長いくらいに平板を切ります。少し長めに切るのは、そのほうがピンとフラワーネットが張れるからです。
平板の両端にパッカーをボルトで取り付けます。パッカーは主にハウスのビニールを固定するための留め具で、ハウスパッカーなどの名でも売られています。いきなりボルトをねじ込むのはやりにくいため、ドリル等で下穴をあけておきます。そうすることで、木板も割れにくくなります。ボルトで固定するのはパッカー1つにつき2カ所で十分です。
最後に、平板に、フラワーネットの網目に合わせた切れ込みをノコギリで入れていきます。深さは3〜4センチほどがちょうどいいでしょう。長く使いたい場合は平板に防腐剤を塗ってください。
この道具を1ウネにつき最低2つ用意します。ウネが曲がっている場合や、何十メートルもある長いウネの場合は、いくつか余計に作っておいたほうがいいです。
ウネの両端に支柱を打ち込む
ウネの両端に、それぞれ2本ずつ支柱を打ち込みます。支柱の幅はフラワーネットに、高さは栽培する品目に合わせます。
ここで使う支柱は、フラワーネットをピンと張るために力がかかるため、できるだけ太く、丈夫なものがオススメです。そうでないと、栽培期間中に曲がったり、倒れたりして面倒なことになってしまいます。ウネの長さにもよりますが、長さ30メートルほどのウネなら、22ミリ径以上の鋼管を深さ30センチほど打ち込めば大丈夫です。
この支柱に、先ほど加工した平板を取り付けます。平板の切れ目にネットの端を挿し込んで、ネットを広げ、できる限りピンと張った状態で固定します。
補助支柱を設置
この状態ではまだ間のネットがたわんだままなので、約2メートルおきに補助支柱を打ち込んでいきます。
ここで使うのは、両端の支柱より細いものでも構いませんが、直径19ミリ以上は欲しいところです。たくさんの支柱が必要なので、筆者の場合は余っているイボ竹などをかき集めて使っています。
ネットのいちばん外側のマス目に支柱を入れ、ピンと張るようにウネの外側に引っ張りながら打ち込んでいきます。イボ竹ならイボ(突起)に引っ掛けることができますが、オススメは上写真のように針金で固定することです。
針金の先をフックのようにして、ネットがずり落ちないようにしています。ネットを引き上げるのも簡単なうえ、このフックを調整することで、栽培期間中にネットがゆるんできても再び糸をピンと張ることができます。
ピーマンやナスの誘引にも使える
花だけでなく、野菜の倒伏防止にも使えます。丈が長いアスパラやトウモロコシに使うことが多いようですが、最近はピーマンやナスなどの果菜類にも使う人がいるようです。
筆者の場合は、ピーマンとトウガラシなどに使っています。以前は、枝を1本ずつヒモでつり上げて2本仕立てにしていましたが、ヒモを結ぶのに大変な時間がかかっていました。
フラワーネットを使う場合は、とても簡単です。切り花と同じようにネットを被せて、枝が重ならないように、ネットの網目に枝を1本ずつ入れていくだけです。
網目が枝をやんわりと支えてくれるうえ、大きくなった果実をネットが受け止めてくれるため、少々の台風では枝が折れません。
「葉っぱが混んできたら枝を整理するだけ」の放任栽培なのでそれなりの品質にはなりますが、ラクしてたくさんつくりたい場合は良い方法だと思います。
丈夫で、さまざまな規格がそろっているフラワーネット。シンプルな道具ゆえに、工夫次第でいろんな使い方ができそうです。