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【レモンバームの育て方】畑・プランター別の栽培方法や注意点を農家が解説

鮫島 理央

ライター:

【レモンバームの育て方】畑・プランター別の栽培方法や注意点を農家が解説

家庭菜園でおすすめしたいハーブ類。特にレモンバームは生命力が高く、栽培管理も簡単で初心者にもぴったりですが、いくつか注意したい点も。本記事では、初心者にも育てやすいハーブ、レモンバームの栽培方法を種まきから収穫、日々の管理や、剪定(せんてい)・病害虫対策まで詳しく解説していきます。この記事を読むことで、自宅で新鮮なレモンバームを楽しむことができるようになりますので、ぜひ参考にしてみてください。

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レモンバームとはどんなハーブ? 特徴や由来など

レモンバームは、シソ科コウスイハッカ属の多年生ハーブで、南ヨーロッパが原産です。和名はコウスイハッカ、セイヨウヤマハッカなどと呼ばれ、古代ギリシアでは蜜源植物として珍重されていました。現代ではハーブティーとしても人気があり、不眠症の改善や抗うつ効果が期待されています。また医療にも利用されているほか、料理にも使われ、魚や鶏肉料理のソースに生葉を加えると生臭さを消してくれる効果があります。

葉はミントに似ており、レモンのような香りが特徴で、夏の終わりには小さな白や黄色の花を咲かせます。耐寒性が強く、繁殖力が旺盛なのも特徴の一つです。

レモンバーム・レモンバーベナ・レモングラスの違い

レモンバーム、レモンバーベナ、レモングラスは、それぞれ独自の特徴を持つレモンの香りがするハーブです。

レモンバームはシソ科に属し、ギザギザした丸い葉が特徴で、レモンのような香りがします。耐寒性の多年草で、草丈は30センチから80センチ程度になります。

一方、レモンバーベナはクマツズラ科に属する半耐寒性の落葉低木で、細長い葉を持ち、草丈は1メートルから3メートルに達することもあります。こちらも触れるとレモンに似た爽やかな香りがします。
最後に、レモングラスはイネ科に属する非耐寒性の多年草で、ススキに似たシャープな葉を持ち、草丈は1メートルから1.5メートル程度になります。すっきりとしたレモンの香りが特徴です。
これらのハーブは見た目や耐寒性に違いがありますが、レモンの香りを楽しむ点では共通しており、料理やハーブティー、ガーデニングなどで多様に活用されています。

レモンバームの栽培暦

一般的なレモンバームの栽培暦について説明します。
地域によって栽培暦は異なりますので、あくまで参考としてください。

レモンバーム栽培は保湿性の高い、少し湿っぽい土が最適です。日当たりが良いところを好みますが、夏の直射日光や高温は苦手です。庭や花壇で栽培する場合は、木漏れ日が当たるような場所や、シェードなどで日陰を作れる場所が良いでしょう。

多年生の植物で、冬は休眠期に入るため葉がなくなりますが、越冬して翌年また新芽を伸ばします。

レモンバームの種まき

苗の状態で販売されているのを見かけることが多いレモンバームですが、種から栽培することも可能です。
ただ、レモンバームのようなハーブは、種が非常に小さく、慣れないうちはうまく発芽しないこともしばしば。しっかりポイントを押さえて、種まきの成功率をアップしましょう。

種まきの時期

レモンバームの種まきは春(3月~4月)と秋(9月~10月)、年に2回チャンスがあります。発芽するまでは長雨や霜に弱いので、余裕をもったスケジュールで種まきすると良いでしょう。
発芽適温は20℃前後が理想的で、発芽するまで10日~14日ほどかかります。

種まきの方法・コツ

種が小さいので、ポットを使って育苗するのがおすすめです。
種まきの際は、まず育苗ポットにハーブ用土を入れて水やりをし、湿らせます。
種は土の表面に均等にまき、軽く土をかぶせて、軽く押さえます。直射日光を避け、土が乾かないようにしながら、明るい場所で管理します。
発芽後は、半日以上日当たりの良い、風通しの良い場所に置きましょう。

花壇やプランターに直接まくときは、草を取って軽く耕した場所にバラまきましょう。

注意点

レモンバームの種はとにかく小さく、ちょっとした雨風でも流れてしまいます。露地に種まきする場合は、ダメになってしまう分も踏まえて、多めに種をまいて、後で間引くと良いでしょう。また湿った土壌を好むからといって、発芽する前に水やりをし過ぎると、種が腐ってしまうこともあるので注意が必要です。

レモンバーム苗の植え付け

レモンバームは種からの栽培のほか、育苗した苗や、ホームセンターやガーデンショップで購入した苗を植え付けることでも栽培できます。

鉢植えやプランターで栽培する場合と、地植えで栽培する場合、それぞれ解説していきますので、参考にしてください。

植え付け時期

レモンバームの苗を植え付ける最適な時期は4月上旬~5月下旬と、10月です。
種から育てる場合は、葉が5~8枚になった時期を目安に植え付けを行います。
レモンバームは暑さに弱いので、暑くなる前に植え付けましょう。

プランターの場合

◯用意するもの

・プランターor鉢植え(20センチの鉢植えで株一つ、65センチ以上のプランターで株二つがちょうど良いサイズ)
・ハーブ用土or野菜用培養土
・鉢底石、鉢底ネット
・プランターを置く台やブロック、すのこなど

◯やり方

初めに、用意したプランター(鉢植え)に、鉢底石と鉢底ネットを設置します。
次に土を入れ、軽くたたいたり揺らしたりして、土をならしましょう。
土の準備ができたら、苗を植え付けます。複数の株を植え付ける際は、株間30センチは取りましょう。
植え付けが終わったら、ジョウロなどで優しく水やりを行ってください。

◯注意点

ベランダや庭で栽培するときは、エアコンの室外機から離して置いてください。
室外機の温風が当たると、株が弱ってしまい、枯れてしまうこともあります。
プランターは直接床や地面に置かず、台やすのこなどに置いて、風通しを良くしてあげましょう。
また夏場は直射日光を嫌がるので、日陰に移しましょう。

地植えの場合

レモンバームの苗を植え付ける2週間前までに、ボカシ肥料と堆肥(たいひ)をすき込み、土壌づくりを行いましょう。
花壇などで土を入れ替えられる場合は、ハーブ用土を入れると便利です。

とくに畝などは必要ありませんが、植え付け前に草を取り、軽く土を耕します。
株間を30センチ取り、植え付けましょう。植え付ける際、ポットから取り出した苗の根がボロボロに崩れないよう注意しましょう。

水耕栽培の場合

レモンバームは水耕栽培で育てることもできます。
水耕栽培用のキットを使うと便利ですが、ペットボトルなどで自作しても良いでしょう。

◯用意するもの

・水耕栽培キット(ペットボトルなど自作のものでも良い)
・レモンバームの苗や種
・液体肥料
・ロックウールやスポンジなど

まず水耕栽培キットを組み立て、栽培容器に水と栄養液を適切な比率で混ぜます。次に、レモンバームの苗を用意するか、種をスポンジなどに植えます。
日差しが足りない場合はライトで光を当ててあげましょう。また水位を定期的にチェックして、必要に応じて水や栄養液を追加しましょう。

レモンバームの栽培管理

レモンバームはあまり手がかからない優秀なハーブです。
水やりの方法、剪定・摘芯の方法、施肥の方法を押さえておけば、しっかり育てることができるでしょう。

水やりの方法

◯プランター・鉢植えの場合

毎日たっぷりと水を与えることが重要で、鉢底から水があふれるくらいあげましょう。水やり後は土を少し乾燥させることで、根腐れを防いでください。

◯地植えの場合

根付いた後は基本的に水やりの必要は少なくなりますが、夏場の乾燥が続く時期には水やりが必要になることがあります。
水やりをする際は、朝夕の涼しい時間帯に行いましょう。

剪定(切り戻し)・摘芯

レモンバームの剪定(切り戻し)は、収穫を兼ねて梅雨前に枝をカットすると良いでしょう。葉が茂ると蒸れや病害虫の発生の原因になってしまいます。剪定することで多湿の環境を和らげて夏を越すことができ、長いシーズン楽しむことができます。

摘芯については、レモンバームの葉の収穫をメインに考えている場合、花を咲かせないように芽を摘む必要があります。花が咲くと株が弱り、葉の生長の妨げや香りが落ちる原因になるためです。レモンバームは6月〜7月頃に小さな白い花を咲かせますが、ハーブとしての風味を重視する場合は、花の開花前に摘芯を行うようにしましょう。

施肥の方法

レモンバームは栄養価の高い土壌を好むので、肥料を定期的に与えましょう。
まず植え付け時には、緩効性肥料を一握り与えます。
栽培中も、月に一度は緩効性肥料・ボカシ肥料などを株元に一握り与えましょう。
葉の色が悪い場合は、水やりのかわりに薄めた液体肥料を与えると良いでしょう。

レモンバームの収穫

レモンバームの収穫は、葉が十分に育った春から秋にかけて行います。収穫する際は、茎の上部から葉を摘み取ります。茎を傷つけないように注意しながら、必要な量だけ摘むことが大切です。

収穫後は、葉を水で洗い、用途に合わせて生で使用するか、乾燥させて保存します。摘み取ることで新しい葉の成長も促されるので、どんどん収穫していきましょう。

レモンバームの増やし方

レモンバームの増やし方には、種まき・挿し木・株分けの三つがあります。

種まきは3月~4月、または9月~10月に行い、種をバラまいて軽く覆土し、間引きながら育てます。

挿し木では、茎を約10センチにカットし、先端の葉以外を取り除いた後、挿し木用の土に挿します。カットした枝を水に浸けると、根が出やすくなります。

株分けは、3月または11月に行い、大きく掘り取った株を自然に分かれる位置で分けて、鉢に植えます。植えた後は半日陰で管理し、芽が出たら定植します。

レモンバームにつく害虫

レモンバームは、ハダニやコナジラミなどの害虫に注意が必要です。ハダニは葉裏に寄生し、高温乾燥環境で繁殖しやすいため、予防として葉裏に水をかけることが効果的です。コナジラミは小さいながらも繁殖力が旺盛で、吸汁によるウイルスの媒介やすす病の発生を引き起こすことがあります。これらの害虫は、植物の健康を害し、見た目にも悪影響を及ぼすため、早期の対策が重要です。特に、レモンバームのように収穫して利用するハーブの場合、害虫の発生には特に注意して適切な管理をしましょう。

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レモンバーム栽培の注意点

レモンバームを露地で栽培していると、株が大きくなりすぎたり、繁殖しすぎたりして他の場所に広がってしまうことも少なくありません。
レモンバームはこぼれ種と地下茎で増えてしまうので、必要以上に増やしたくない場合は、花を摘み取る・定期的に間引く、株分けして他の場所に移すなどの対処をしましょう。

まとめ

レモンバームは病害虫に強く、栽培しやすいハーブの一つです。
種から栽培すると少し難易度は上がりますが、栽培中は難しい管理や手入れの必要もなく、家庭菜園でも簡単に楽しむことができる作物といえるでしょう。

新鮮なレモンバームは香りが強く、リフレッシュにもピッタリです。
ぜひ本記事を参考にして、レモンバームの栽培に挑戦してみてください!

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