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クラウドも危険!農業経営者が知っておきたいランサムウェア被害と今すぐできる5つの対策

クラウドも危険!農業経営者が知っておきたいランサムウェア被害と今すぐできる5つの対策

ランサムウェアは、コンピューターウイルスの1つで、感染したコンピュータは、利用者のシステムへのアクセスを制限し、解除するために身代金の要求をするものである。最近ではアサヒビールが被害を受け、ビールの出荷が制限されるなど大きな被害をだした。ここでは、農業経営においても求められるランサムウェアを含むコンピューターセキュリティについて考えたい。

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農業経営における情報セキュリティリスク

スマート農業、生産管理システム、会計クラウド…など、農業経営においてITツールやインターネットを介した通信機器は経営の効率化・高度化に必須のものとなりつつある。少なくとも多くの生産者は表計算ソフトなどで情報の管理をしているはずだ。こうした近年のデジタル化やスマート農業の進展に伴い、情報セキュリティ対策は、急速に重要性を増している。経営管理や生産現場でIoT機器や様々なソフトウェアが活用される一方で、サイバー攻撃や情報漏洩、データ改ざんなどのリスクも増大しているためだ。特に、個人情報の保護は社会的にも重要視されており、顧客情報や出荷先リストなど、取引関係者の個人情報を扱う場合には、外部への漏洩が信用失墜や取引停止につながる重大な経営リスクとなる。

さらに、社内でサーバーを設置しているだけではなく、Dropboxなどのクラウドサーバーを使っている場合でも、ネットワーク侵入による生産データの改ざんや、スマート農機の稼働ができなくなる、といった被害が発生する可能性がある。
また、農業経営体のなかに情報管理や情報セキュリティの専門知識を持つ人材がいることは少なく、経営上でも優先順位が低く置かれがちである。そのため、ウインドウズ(OS)のアップデートができていなかったり、パスワードを使いまわしていたり、退職者が出た後のアカウントの管理などがしっかりできていないケースも少なくない。

農業経営において取得している「栽培履歴データ」、「生産管理データ」、「顧客データ」、「経営管理データ」などの各種データは、「情報資産」であり、単なる記録ではなく、経営判断や生産技術を高めるための基盤であるため、情報セキュリティの確保は経営安定と経営発展にとって非常に重要である。
 近年は大手企業ですら、ランサムウェアの被害を受け、多額の損失を発生させている。情報セキュリティのリスクを甘く見ると多大な被害を受ける可能性があり、資金力が大手企業よりも弱い農業経営体においては、経営の致命傷になりかねない。

情報セキュリティリスクを下げるためには

では、どのような対策を情報セキュリティを守るために実施していけば良いだろうか。ここでは、5つのポイントを説明しよう。

①Windows(OS)の更新はできるだけ早く、確実に実施する

まず、基本中の基本として、Windows UpdateなどのOSの更新があった場合は、すみやかに実行するようにしたい。多くのOSシステムの更新は、機能の更新などもあるが、セキュリティホールと言われるシステムへの不正侵入に繋がる穴をふさぐものである。システムの更新をおろそかにしていると、こうした穴からPC内部や社内ネットワークに不正侵入されるリスクが高まる。不正侵入を試みるハッカーの中には、特定の企業を狙い撃ちする者もいるが、幅広く攻撃を行い、その中で見つけたセキュリティが弱いPCなどを対象にする者もいる。侵入される穴を防ぐ意味で、システムの更新はこまめに行いたい。

②パスワードの管理を徹底する

パスワードの更新などは非常に面倒ではあるが、システムへの不正アクセスの多くは不適切なパスワードの管理に由来するものである。同じIDとパスワードを複数のシステムで使いまわしている、PCの横にパスワードを紙で貼っている、パスワードが電話番号になっている、などの場合は早急に対策する必要がある。基本的には、パスワードを使いまわしにしない、簡単に予想できるパスワードにしない、パスワードは誰にでも見える状況にしない、といった管理にする必要がある。最近はパスワード管理ソフトなどもあるので、それを導入しても良いだろう。

また、意外なパスワード漏洩のリスクが退職者や臨時雇用のアルバイトなどの内部にある。「うちの社員には悪い奴はいない」と思いたいところではあるが、何があるのか分からないことに対応するのがリスク管理である。退職者が出た場合、その担当者のアカウントを削除することは当然であるが、当人が知っていたパスワードを変更するなどの対策が必要である。また、臨時アルバイトなどが社内システムにアクセスする場合は専用のアカウントやパスワードを用意し、こまめに状況を確認し、必要に応じてパスワードの変更を行う必要がある。

③アンチウイルスソフトではなく、統合セキュリティソフトを導入する

社内PCのセキュリティソフトは何を使っているだろうか。もし、使っているものが「アンチウイルス」という名前のソフトであった場合、注意が必要である。アンチウイルスソフトは、ウイルスの駆除や感染予防に特化したソフトウェアであり、それ以外の、例えば情報漏洩対策などにはあまり強くない商品が少なくない。

そのため、アンチウイルスソフトのみを導入している場合は、可能であれば統合セキュリティソフトにアップグレードすることをお勧めする。統合セキュリティソフトは、アンチウイルス機能に加え、不正アクセスや情報漏洩を防ぐなど、より広範な保護機能を持つ総合的なソフトウェアである。最近では、アクセスしたWEBサイトから、ブラウザーを通じてウイルスに感染するケースも多い。統合セキュリティソフトの中にはブラウザーの監視をできるものもあるため、よりセキュリティ強度の高いソフトの導入を検討したい。

④情報セキュリティにおける従業員教育を行う

どのようなセキュリティ対策を打とうが、それを使う、実行するのは人である。どんなに強固なパスワードであっても、それを大声で話していたら意味がなくなってしまう。農業の場合、情報入力を現場で実施することも少なくない。情報ネットワークに接続する機器を扱う従業員に対しては、現場や本社を問わず、一定レベルの情報セキュリティに対する教育を行う必要がある。自治体や商工会議所などで主催するセミナーなどで担当者が学び、それを社内でフィードバックするような形でも良いので、情報セキュリティの基本だけは社内でも共有しておきたい。

⑤ネットにつながらないバックアップを確保する

 ランサムウェアに感染した場合、身代金を払わなければデータが復旧できないと言われているが、身代金を払ったところで復旧するかも分からなないうえ、支払った身代金は次の犯罪の原資になるので、ランサムウェアの身代金は払ってはいけない。
 では、身代金を払わずにどうやって解決するのだろうか。それは簡単で、感染したPCやシステムを全て綺麗にリセットして、イチからデータを入れて復活させるのである。そのために必要なのは、インターネット環境や社内のネットワークから切り離された「独立した」バックアップデータである。定期的にデータやシステム設定のバックアップをとり、それをウイルス等の被害を受けない場所に保管しておくことで、万が一のウイルス感染などの場合に復旧を迅速におこなうことができるようになる。
 ランサムウェアなどの被害を最小にするためには、できるだけ業務を止めない、業務をいち早く再開することが重要である。定期的なバックアップはリスク管理として実施しておこう。

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