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「作れば売れる」は昔話。稼げる農家が選んでいる9つの販路と「使い分け」戦略

鈴木 雄人

ライター:

「作れば売れる」は昔話。稼げる農家が選んでいる9つの販路と「使い分け」戦略

「どこで、誰に、いくらで売るか」。現代の農業経営において、こうした販路戦略は栽培技術と同じくらい、あるいはそれ以上に経営の命運を左右する重要な要素と言える。
「市場出荷はもう古い?」「ネット販売が正解?」。答えは単純ではない。本記事では、主要な9種類の販路について解説する。手数料の目安や取引価格のほか、それぞれの販路で実際に利益を上げている農家の「成功事例」、取材を通じて見えてきた流通の「シビアな現実」まで、詳しくお伝えする。

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農協(JA出荷・系統出荷)


個人で販路を持たず、JAの選果場(共選)を通じて出荷するスタイル。日本の農業を支える巨大インフラともいえます。

手数料は売上の15〜20%が目安。市場手数料に加え、JA手数料、全農手数料、部会費、選果場利用料、運賃などが含まれます。地域の農家と合わせて物量を多くすることで、選果や箱詰め、運送までを行うため、個人で行うより効率のいい出荷が可能となります。

価格は市場の「相場」が基本ですが、近年増加している相対取引では、事前に価格と数量が決まります。これにより、自分たちの農業経営にあった出荷形態を選ぶことが可能となります。1点、注意しなければならないのが、各農協によって取引先が変わるため、必ずしも全ての農協で相対取引ができるわけではないということです。

メリット・デメリット
JA出荷における最大のメリットは「作業負担の軽減」と「全量買取」です。選果・箱詰め・配送・集金といった業務をすべて任せられるため、生産者は農作業に集中することが可能。その分、栽培面積を限界まで広げることができます。

一方で、生産者個人の努力が見えにくい点がデメリットとしてあげられます。どれだけ高品質な作物を作っても、価格は部会全体の平均にならされてしまうため、品質に対するモチベーションをどう保つかが課題となります。さらに、相場での取引の場合は価格決定権がないため、その日の相場で価格が決まります。他産地の農産物が少ない時期は利益につながる一方、全国的な豊作時には価格が暴落し、出荷すればするほど赤字になるというリスクもはらんでいます。

出荷者の成功事例

長ネギを栽培する株式会社BRAVE

茨城県で長ネギを栽培する株式会社BRAVEでは、生産量の7割は生産組合に出荷し、残りの約3割をあえて「農協」へ出荷しています。メインの販路は別にあるものの、リスクヘッジとしてJAを活用し、廃棄ロスを出さずに生産に集中できる体制を構築しているのです。

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中間流通関係(市場・仲卸・商社)

JAを通さず、流通のプロフェッショナルたちと直接取引を行う方法です。ここは大きく「市場(本卸)への出荷」と「仲卸・商社などとの直接取引」に分かれます。

卸売市場(本卸)への出荷・個選

自分で市場(本卸会社)との口座を開き、直接出荷するスタイルです。

手数料(市場手数料)は野菜の場合(漬物を除く)売上の8.5%。果実の場合は売上7%となり、JA出荷よりも安く抑えられます。しかし、その分、運送会社を自分で手配する必要があったり、選果場を設けて自分たちで袋詰めする必要があったりと、手間と費用が増えます。価格は基本的にセリや入札による「相場」で決まります。

メリット・デメリット
最大のメリットは、市場が持つ「換金の確実性」と「個人の評価」です。市場法(受託拒否の禁止)により、市場には「農家が持ってきた農産物は全量引き受ける」という機能が維持されているため、豊作時などでも換金が可能。また、生産者の名前で取引されるため、品質が良ければ「◯◯さんの野菜」として指名買いや高値がつきやすくなります。

デメリットはやはり「物流と手間」。自分で運送会社を手配する必要があり、出荷量が少ないと送料が割高になって利益を圧迫します。また、相場による取引が基本なので、市場だけに偏ってしまうと相場が崩れた時に売り上げを確保できない恐れもあるので注意が必要です。

出荷者の成功事例
愛知県の武ちゃん農場は、トウモロコシは個人販売を行う一方、人参や玉ねぎなどの差別化しにくい野菜はあえて「市場出荷」を選択しています。営業の手間や直販の手間をかけるより、委託販売で大量にさばく方が時間対効果が高いという戦略的な判断です。

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仲卸・商社

市場内の仲卸業者や、場外の専門商社と直接契約して販売するスタイルです。

基本、価格は相対取引で決まりますが、最大の特徴は「実需者に合わせた出荷形態」です。 市場出荷のような画一的な規格ではなく、販売先が使いやすい形が求められます。例えば、スーパー向けなら「個包装」、加工業者向けなら「鉄コンテナ」などです。また、注文数に合わせて収穫する「出荷調整」や、指定場所までの「配送手配」も基本的には生産者の役割となります。

メリット・デメリット
メリットは「ニッチな強みが評価される」ことです。「ハーブに強い」「有機野菜専門」など、業者の得意分野と合致すれば、市場の相場に関係なく高単価で取引されます。個人の名前で売ることが可能となるので、自社のブランド化に繋がりやすい点も大きいでしょう。

一方で、デメリットは「コスト負担」と「リスク」の重さ。 上記で説明した「実需者に合わせた出荷形態」に対応するため、専用機械やコンテナへの設備投資、袋詰めの人件費といったコストが農家にのしかかります。また、市場のような「全量買取」機能がないため、豊作で注文量以上に収穫できても、余った分は引き取ってもらえません。さらに、民間取引特有の「代金未回収」のリスクも考慮する必要があります。

出荷者の成功事例

西洋野菜を栽培する三野農園

北海道の三野農園は、西洋野菜(リーキ、根セロリなど)を専門商社へ卸しています。一般的な市場では評価されにくいニッチな野菜ですが、販路を持つ専門商社と組むことで、少量多品目ではなく「中量中品目」での安定生産と高単価販売を実現しています。

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量販関係(スーパーマーケット)


スーパーのバイヤーと直接商談し、キャベツやブロッコリーなどの主力商品を「定番棚」に納入する手法です。

取引形態は、バイヤーとの商談で価格と数量を決める「相対取引」が基本です。販売手数料はありませんが、スーパーの物流センターを利用するための「センターフィー(センター利用料)」として、売上の5〜10%程度が差し引かれるケースも見受けられます。出荷形態は、指定された物流センターへの一括納品が基本となり、店舗での陳列作業を軽減するため、産地側での袋詰めが求められます。

メリット・デメリット
メリットは圧倒的な「販売力」です。スーパーは数店舗から、多ければ数百店舗を展開しており、その消費量は膨大です。一度採用されれば安定した大ロット出荷が見込めるため、規模拡大を目指す農家にとっては非常に魅力的な販路の一つです。

一方で、「強大な競合」と「供給リスク」がデメリットとして挙げられます。 この販路でライバルとなるのは、他の農家だけではありません。巨大な物量を持つ「農協」や、調達のプロである「仲卸・商社」とも真っ向から勝負することになります。彼らは、天候不順のリスクに備えて全国各地に産地を持っていますが、単独の農業法人ではこれらのリスク回避は難しいのが実情。もし自社の畑が被災すれば、出荷がストップしてしまうでしょう。バイヤーにとっても、この「安定供給リスク」は大きな懸念材料です。

そのハンデを背負った上で、いかにして「あなたから買いたい」と思わせるか。勝負を制するには、単なる安さや品質だけでなく、独自の提案力や高度な営業力が不可欠となります。

出荷者の成功事例

ほうれん草やブロッコリーを栽培する株式会社アグレス


長野県の株式会社アグレスは、3拠点でリレー栽培を行い、ブロッコリーの「365日通年出荷体制」を構築しました。「いつ注文してもある」という安心感を武器に、スーパーの定番棚を年間契約で確保することに成功しています。

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飲食関係(ホテル、レストラン、居酒屋)

レストランやホテルへの直接納品です。スーパーには並ばない珍しい西洋野菜やハーブなどが高く評価される、ニッチな品目の主戦場です。

手数料という名目はありませんが、1回あたりの納品量が少ないため、実質的なコストとして「送料」が割高になりやすいのが特徴です。出荷形態は少量多品目が基本で、キッチンですぐ使える簡易包装が好まれます。価格はメニュー価格に連動するため、シーズン中は「定価」で固定されることが多く、相場に左右されません。

メリット・デメリット
独自性が評価されやすく、味や珍しさが正当に価格に反映されるのがメリットです。市場相場が暴落しても、契約した定価で買い取ってもらえます。

一方で、デメリットは「在庫」と「完熟」です。飲食店は冷蔵庫が小さいため在庫を持てず、欠品も過剰納品も許されません。また、量販店向けとは異なり「届いてすぐ使える」状態が求められるため、輸送中の傷みや鮮度管理が非常にシビアになります。

出荷者の成功事例

そばを栽培する株式会社赤城深山ファーム

群馬県の株式会社赤城深山ファームは、そばの市場価格暴落を機に、自社製粉・直販へ転換しました。圧倒的な品質と業界常識の大袋ではない「5kg袋」での販売を徹底することで、全国約300軒の蕎麦屋への直販を成功させています。

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加工関係

コンビニのサラダ工場、カット野菜業者、冷凍食品メーカーなどと契約し、原料として納品するスタイルです。

大規模ロットになるため、買取価格は一般的な相対取引より安めに設定されることが多いです。出荷形態はコンテナ単位などの大ロットで、外見の綺麗さよりも歩留まりが重視されます。価格は年間またはシーズン契約による固定価格で、定時・定量の安定供給が絶対条件となります。

メリット・デメリット
価格と数量があらかじめ決まるため、経営の見通しが立てやすいのが最大のメリットです。包装などの手間がなく、物流効率が良いのも魅力です。

一方で、最大のハードルは「求められるロットの大きさ」です。 加工工場は一日数トン、数十トンという単位で野菜を消費するため、個人農家レベルの出荷量では相手にされないケースが多々あります。そのため、工場の調達先は必然的に「農協」や「中間流通」がメインとなります。ここでも量販店と同様、巨大組織と営業先が被るため、彼らに勝る提案ができなければ直接取引の口座を開くことはできません。

また、「欠品の重圧」も大きいです。天候不順で不作となっても納品義務があり、「欠品=契約違反」となる可能性があります。場合によっては他から仕入れてでも納品する覚悟が必要です。そのため、手数料を払ってでも中間流通に間に入ってもらった上で取引するケースも見受けられます。

出荷者の成功事例

加工向けに野菜を栽培するダイヤモンド十勝株式会社

北海道のダイヤモンド十勝株式会社は、約500haの大規模経営で、大手お菓子メーカーの加工用ジャガイモなどを生産しています。地域の農家と連携し、選果・加工まで請け負うことで、大企業が必要とする「巨大なロット」を確保し、安定取引を実現しています。

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直接販売(軒下販売・EC販売)

「中間業者を介さない」のが特徴の直接販売は、対面で売る「軒下販売」と、ネットで売る「EC販売」に大別され、特性が大きく異なります。

軒下販売(庭先販売)


自分の農場の敷地内や、自宅の庭先に直売所を設けて販売する、最も原始的かつ強力なスタイルです。

最大の特徴は「手数料がほぼ0%」であること。販売価格がそのまま手取りとなります。出荷形態は簡易的な包装で済む場合が多く、段ボールや送料もかかりません。

メリット・デメリット
メリットは圧倒的な利益率と、即金性です。その場で売上が上がるためキャッシュフローが劇的に良くなります。また、地元客らと活発にコミュニケーションをとることができ、ファンを獲得しやすいという側面もあります。

デメリットは「立地への依存」と「店番のコスト」です。人通りが少ない場所では売上が立ちません。また、無人販売の場合は盗難リスクがあり、有人販売にする場合は、栽培の手を止めて接客にあたる人件費(または時間)が必要になります。

出荷者の成功事例

武ちゃん農場の看板商品であるトウモロコシ「にっこりコーン」。ほとんどを庭先販売やインターネット販売で提供している

卸売市場の章で紹介した愛知県の武ちゃん農場では、選果場のすぐ近くに有人直売所を設置しています。作業風景を見せることで「工場見学」のようなエンタメ性を演出し、高単価でも飛ぶように売れる仕組みを作っています。

EC販売(ネット直販・SNS)


「食べチョク」などの産直プラットフォームや、「メルカリ」をはじめとしたフリマアプリ、自社サイトを活用して全国の消費者に発送するスタイルです。

手数料はプラットフォームにより異なりますが、売上の10〜20%程度かかります。それ以上に重いのが「送料」です。出荷形態は配送に耐えうる個別梱包が必要で、宅配便の手配も自分で行います。価格は100%自分で決定できます。

メリット・デメリット
メリットは「全国が商圏になる」ことです。農場の立地が悪くても関係ありません。また、市場に出せない規格外品も、ネット上では「訳あり品」として価値を持ち、廃棄ロスをお金に変えることができます。

一方で、「膨大な手間」と「見えないコスト」は無視できません。注文メールへの返信、送り状の作成、丁寧な梱包、発送後のフォロー、クレーム対応など、栽培以外の業務が多く発生します。また、「サイトに出せば売れる」わけではなく、SNS運用などの集客努力が必須です。

出荷者の成功事例

ミヤハラ農園の主力商品であるスプラウトにんにく

佐賀県のミヤハラ農園は、「メルカリ」で規格外品を販売しフォロワー数日本一を達成。商品にLINE公式アカウントへのQRコードを同梱してリピーターを囲い込んでいます。

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輸出関係(海外販路)

アジア圏などを中心とした海外市場への販売です。国内市場が縮小する中で、新たな活路として注目されています。

コストは非常に高く、輸出代行マージン、検疫費用、専用箱代、航空・船便運賃などで経費率が60〜70%を超えることも珍しくありません。出荷形態は厳重な検疫対応(土の完全除去)が求められます。価格はバイヤーとの相対取引で決まります。

メリット・デメリット
最大のメリットは「リスク分散」が可能な点。国内相場が暴落しても、輸出分は契約価格で守られるためです。また、厳しい輸出基準をクリアしている事実は、国内バイヤーへの強力な信頼材料(ブランディング)にもなります。

一方で、利益率は低くなりがち。上述のようにコストがかさむため、売値が高くても手取りは国内出荷と同等程度というのが現実です。また、輸送に時間がかかるため、高い品質や高度な鮮度保持技術が必要となります。

出荷者の成功事例

輸出向けにキャベツを栽培する株式会社大吉農園

鹿児島県の株式会社大吉農園は、キャベツの3割を輸出しています。利益率は国内と変わりませんが、「輸出もできる高品質な農家」という実績がブランディングになり、国内取引も有利に進めています。

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直売関係(直売所、道の駅)


直売所や道の駅、農協のファーマーズマーケットに出荷して、消費者に直接販売するスタイルです。

手数料は売上の10〜15%程度が目安。出荷形態は、自分で袋詰め、バーコード貼りを行い、店頭への陳列や売れ残りの回収まで行うのが一般的です。価格は自分で設定できますが、同じ棚に並ぶ近隣農家との競争を意識する必要があります。

メリット・デメリット
輸送費がかからず、中間マージンも比較的低いため、手取り額が多いのがメリットです。また、現金化のサイクルが早いことも特徴です。

デメリットは労働時間の圧迫です。品出しや回収に時間を取られ、肝心の農作業がおろそかになるリスクがあります。また、店頭に同じ品目が並ぶと、安売り合戦に巻き込まれやすいのも注意しておくべきでしょう。

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自社加工関係(6次産業化)

自社で野菜を加工(ジュース、漬物など)して販売したり、農家レストランを運営するなどが主な例。いわば、農業から「食品製造業」への拡張です。

コスト構造が農業とは異なり、製造原価に加え、販売管理費が必要です。自分で加工場を作る場合は数千万単位の設備投資が必要ですが、既存の工場に製造を委託する「OEM」を活用すれば、初期投資をゼロに抑えることができます。

メリット・デメリット
生鮮品の賞味期限問題を解決し、売れない時期でも在庫として販売できるのが強みです。単なる野菜ではなく「食品」として付加価値を高められます。

リスクは「本業圧迫」です。投資額も大きくなる上に、加工や店舗運営、営業に手間取られ、肝心の栽培がおろそかになり共倒れするケースが見られます。

出荷者の成功事例

有限会社栗原農園の「ネギキムチ」。SNSを活用して販路を拡大する

茨城県の有限会社栗原農園は、日持ちしない小ネギを「ネギキムチ」に加工し、賞味期限を大幅に延長して販路拡大に成功しました。一方、福岡県の株式会社ヨシウラファームは、かつて自社でカットネギ加工を行っていましたが、加工へ時間や人が取られたことで、栽培に悪影響が出たため「加工からの撤退」を決意。生産に集中することで見事V字回復を果たしました。

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まとめ/経営体にあった販路の組み合わせが重要

ここまで9つの販路を紹介してきましたが、最も重要な結論は「どれか一つに絞らないこと」です。農業は天候に左右される産業であり、リスク分散こそが経営安定の鍵になります。

だからこそ、各経営体にあった販路を組み合わせる必要があります。契約栽培を利用し、人件費や肥料代といった「固定費」を確実に回収する。これを経営の主軸に据えるのが理想的です。その上で、何割かを市場出荷などの調整機能として活用します。不作時には契約分を最優先して市場出荷を止め、豊作時にはあふれた分を全量買取機能を持つ市場へ流して現金化します。規格外品は自社加工または、規格外を扱えるような加工業者へ販売するのが理想です。

もちろん、根幹となる生産をおろそかにしないよう、営業もしなくてはいけないので、簡単なことではありません、だからこそ、農協や中間流通を利用しながら上手く構築する必要があります。

最後に、元々働いていた青果卸売会社の元上司らと話をしていると、口を揃えて「直接営業に来てくれる農家さんが少ない。むしろほとんどいない」と言います。これだけものが溢れている時代。「良いものを作っていれば誰かが見つけてくれる」という受け身の姿勢ではなく、最適な販路を選び、そこに自ら飛び込んでいく行動力こそが、新たな販路形成には必要といえるでしょう。

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