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手ごわい雑草ヨモギの驚くべき生存戦略とその対策法

手ごわい雑草ヨモギの驚くべき生存戦略とその対策法

こんにちは、暮らしの畑屋そーやんです。春になるとどこからともなく顔を出し、気づけばあたり一面に広がっているヨモギ。草餅やもぐさの原料としてなじみのある植物ですが、畑では「しつこくて手に負えない雑草」として嫌われることも多いですよね。ただ、ヨモギの生態について調べてみると、意外と畑作りに役立つヒントも見えてきましたので、ご紹介します。

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ヨモギの繁殖力が強い理由

ヨモギの地下茎

真ん中の白い部分がヨモギの地下茎

ヨモギの繁殖力が強い理由の一つは、種をたくさんつけるだけでなく、地下茎によって地中でも増えていくという点です。秋になると数万粒ともいわれる種を風に乗せて飛ばしながら、同時に地下では水平に横走りする茎(根茎)を伸ばして、次々とクローンを増やしていきます。引き抜いても引き抜いても追いつかないのは、この地上と地下の2方向同時展開があるからです。

もう一つは「アレロパシー(他感作用)」です。ヨモギは根や葉から特定の化学物質を周囲に放出し、近くで育つ他の植物の発芽や根の伸長を妨げます。この影響はレタスなど多くの植物に及ぶことがわかっています。生えているヨモギだけではなく、刈り取った残渣(ざんさ)物からもしばらくは化学物質が出て、影響を与えるので注意が必要です。

ヨモギのアレロパシーは薬にもなる?

ヨモギの強力な「排除型のアレロパシー成分」は、基本的には他の植物の発芽を抑制します。しかし、実は低濃度では逆に発芽を促進することもあるのだそうです。海外のある実験では、ヨモギの水抽出液を低濃度にしてさまざまな種に散布したところ、ニンジンでは発芽率が70%も向上したのだというから驚きです。

こう聞くと何かに利用できそうですが、発芽は促進された一方で根の伸長は抑制されてしまったとのこと。そう単純なものではないようです。
こういった、ある成分が「高濃度では毒になるが、低濃度ではむしろ薬になる」という現象は他の化学物質でも見られ、ホルミシス効果と言われるそうです。アレロパシーが弱まれば、ホルミシス効果によってむしろ野菜の生育を促進してくれることもあるのでは?と思いもしますが、これを狙ってやるのはさすがに難しそうです。

ヨモギは香りで会話している!?

ヨモギは香り成分でコミュニケーションしている
ヨモギは独特の良い香りを持つことで知られていますが、実はこのような香り成分によって、他の個体とコミュニケーションをとっていることが明らかになっています。

例えばヨモギは虫に葉っぱをかじられると、傷口から特別な匂い成分(揮発性有機化合物)を空気中に放ちます。人間にはただの草の香りに感じますが、風に乗ってこの匂いをキャッチした周りの植物たちは臨戦態勢に入ります。害虫に攻撃される前に防衛成分を作り始めることで、予防をすることができるのだそうです。

ヨモギは益虫を呼び寄せる!

ヨモギにくるアブラムシ
植物同士の会話に加えて、昆虫たちとの関わり方にも面白い特徴があります。春先、ヨモギの茎や葉にアブラムシがびっしり付いているのを見て、ギョッとしたことはありませんか?
「大事な野菜にうつってしまったらどうしよう」と心配になるかもしれませんが、実は焦る必要はありません。ヨモギに集まるアブラムシはヨモギ専門で、トマトやキャベツなどの野菜を食べることはないのです。

この「野菜を食べないアブラムシ」をあえて畑の隅で生かしておくことで、アブラムシを狙うテントウムシやクサカゲロウ、ヒラタアブといった益虫たちが次々と畑に集まり、そこにすみ着いて繁殖してくれるのです。常に少しだけ害虫の避難所を残しておくことで、畑全体の生態系のバランスが保たれ、結果的に野菜に深刻な被害が出にくくなります。ヨモギは、畑を害虫から守る「バンカープランツ(天敵のすみか)」として素晴らしい働きをしてくれます。

さらに面白いのが、このアブラムシはお尻から甘い排せつ物(甘露)を出すのですが、これを求めてアリがやってきます。そのアリが、ヨモギの葉を専門に食べるヨモギハムシを見つけると攻撃して追い払うのです。ヨモギは栄養の一部をアブラムシへの対価として渡すことで、アリを傭兵(ようへい)部隊のように利用しているのではないかと言われています。

ヨモギのアレロパシーへの対処法

ヨモギの近くで立派に育つゴボウ

ヨモギの近くで立派に育つゴボウ

ヨモギのアレロパシーは野菜の生育にも影響を与えますので、どのような点に注意すべきか、どう対策すべきかをまとめます。ヨモギのアレロパシーの影響が最も大きく出るのは野菜が発芽し、根が伸びていく時期です。種をまいた直後や、発芽して間もない幼苗の時期に近くにヨモギがあると、本来の発芽率が出なかったり、根張りが悪くなったりすることがあります。逆にいえば、この時期さえ気をつけておけば、それ以降はそこまで神経質にならなくて大丈夫です。

最も手軽な対策は、種まきや苗の定植前にヨモギを刈り取り、数日〜1週間ほど間を置くことです。ヨモギのアレロパシー物質は水に溶けやすく、雨や灌水(かんすい)で流れていきます。刈り取り後に水をしっかりかけておけば、土壌中の濃度がぐっと下がります。「刈ったらすぐ種まき」ではなく、少し間を置くのがコツです。

さらに、炭素資材がアレロパシー物質の吸着に役立ちます。もみ殻くん炭や竹炭を土に混ぜておくと、多孔質な炭素表面がアレロパシー物質を吸着し、根への影響を和らげてくれます。同時に土の通気性も改善されるため、根が伸びやすい環境を整える一石二鳥の資材です。

腐植が豊かな土では、土壌微生物がアレロパシー物質を分解してくれるため、そもそも影響が出にくくなります。堆肥(たいひ)や腐葉土を入れ続けることが、アレロパシー対策の土台にもなっています。逆にいうと、土が痩せていて微生物が少ない畑ほどヨモギのアレロパシーが効いてしまいやすい、という構造があります。

ヨモギの数を減らすには?

まず、すぐに行える対症療法として有効なのが「地上部を定期的に刈り取る」ことです。ヨモギは地下茎に養分をため込んでいますが、その養分を作っているのは地上の葉っぱでの光合成です。芽が出るたびに地上部を刈り取り、光合成をさせない状態を繰り返せば、やがて地下茎のエネルギーが枯渇して勢いが弱まっていきます。

そして、刈り取ったヨモギはそのまま「草マルチ」として畝の間や通路に敷き詰めてみてください。アレロパシー成分が溶けだして他の厄介な雑草の発生も抑えてくれます。この発芽の抑制効果はヨモギ自身の種にも効果があります。

そして最後に、ヨモギの数を減らす根本的な対策としては「土づくり」が何よりも大事になってきます。ヨモギは本来、痩せた過酷な土地で勝ち抜くための武器を持ったパイオニア植物です。つまり、枯れ草などの有機物を補給して微生物が豊かな「肥沃(ひよく)な土壌」を作ってしまえば、ヨモギはその環境で優位に立てなくなり、自然と減っていきます。ふかふかの土になれば、ヨモギのような強靭(きょうじん)な地下茎を持つ多年草よりも、ハコベやホトケノザといった根が浅くて扱いやすい「一年草」が生えやすい環境へと自然に変わっていくのです。

土づくりで根本的な対策をしつつ、程よく残しておこう

うちの畑では、年々土が肥沃になるほどにヨモギの数はどんどん減っています。僕の実感では、野菜の株元から1メートルほど離れていれば、ヨモギのアレロパシーの影響はほとんど感じません。畝の上に出てきたヨモギはすぐ刈りますが、畝間や通路の少し離れた場所に生えているものは、むしろ益虫を呼ぶ役割も期待して、そのまま残しておくとよいでしょう。

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